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醒眼族の異世界学園覚醒譚  作者: 天御夜 釉
第2部、第5章 赤ちゃんが生まれたよ! …人のじゃないけど。
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夜中

最後まで読んでいただければ光栄に思います!

 俺は、寝息をたてるリンセルとエレメを見つめていた。

 深夜だ。少なくとも、寮からは何も音はしない。


『ままー…。』


 エレメは、完全にリンセルを親として認識している。

 そして、俺もか?


 分からなくなってきたな。

 リンセルは、エレメを娘として認識できるのだろうか。

 俺はできるが。


 リンセルを信じるべきだろう。


「…エレメ…。」


 ぎゅう、とリンセルはエレメに抱きついている。

 幼龍は、鱗の間に毛も生えているため、ふわふわしているのだ。


「生まれてきてくれて、ありがと…。」


 リンセルは、死ぬために今まで生きてきたと思っていたらしい。

 …結果的に、俺が救った形になるんだろうか。

 とにかく、彼女は今…どんな気持ちで生きているんだろう。


 俺は、彼女を救えているんだろうか。

 救いきっていないというのなら、とんだクソ野郎だろう。

 …あれだけ豪語して、結局は口だけかと。


「…リンセル…。」


 感情が押さえきれなくなる。

 寂しくなる。

 罪悪感で、心がいっぱいだ。







------------------




「…何をしているんですか?」


 寮の屋根で星を眺めていると、不意に後ろからアンセルの声がした。


「星を見てる。」

「…となり、かまいません?」

「おう。」


 アンセルが俺に寄りかかる。


「綺麗な星ですよね、…ラン君は、前の世界はどうだったんですか?」

「…前の世界は、工業が発達して星なんて見えなかったよ。」


 いや、中心部がひどいだけか。


「…それは残念ですね。…ラン君は、前の世界に戻りたいですか?」

「…アンセルや、リンセルやみんなが、一緒にきてくれるというのなら。…俺はどこにだって行くよ。」


 どこだって、という言葉にアンセルは笑う。


「…私もです。ラン君についていきますね…?」


 ああ…頼むよアンセル。


 俺はまだまだ弱い。

 だからこそ、その弱い部分を情けないけどフォローしてほしい。


「…私、一度記憶喪失になった方が、ラン君のこと…好きになれているようですね。」

「記憶、戻ってるのか?」


 アンセルは、頷いた。


「…黙っていてごめんなさい。…でも、ラン君ともう一度…関係に亀裂が入るのはイヤなんです。」

「アンセルはアンセルだ。…大丈夫だよ。口調はどうするんだ?」

「元には戻りません。…ラン君と、2度私は出会いましたから。」


 …アンセルの顔に、すこしだけ憂いの表情が浮かぶ。

 その表情はいったい誰に向けられたものか。


「…ずっと、ラン君のそばにいますから。」

「…ああ。」


 ラン君も、そばにいてください、とアンセルはつぶやいた。


「…ここで誓えますか?」

「ああ。…この世界に存在する神に誓えるよ。」


 前の世界では、神なんていないと思っていた。

 しかし、今は違う。

 スロツ=トールという存在から俺の、この世界での人生は始まったのだから。


「…安心しろ。…な?」

「はい。」

ありがとうございました!

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