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醒眼族の異世界学園覚醒譚  作者: 天御夜 釉
第2部、第3章 勇者(自称)が思いのほか面倒です…。
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事件解決

最後まで読んでいただければ光栄です。

 魔神が、静かに俺を見下ろしている。

 その表情は、無表情。


「無表情が一番怖いんだぞ?」

『ええ、わかっていますとも。』


 アンセル…いや、魔神は答える。

 魔神よぉ…、なんとかしてくれよ。


「魔神…アヴァランチだっけ、引っ込めない?」

『私は主の怒りを体現するもの。…だめですね。』


 アンセルの怒りが収まらない限り、魔神もこの世にとどまり続ける…のか。

 困ったな。


『そこの男をころせば、怒りは収まりますが。』

「でしょうなぁ。」


 床でガクガクブルブルしているイリテをみて、俺はため息をついた。

 殺しとく?

 でも、人を殺すことは今までしたことがない。

 …したっけ?

 ドラゴンとか、魔獣とかは殺した…というよりかは、倒した。

 でも、さすがに人は一人も死んでいないはず。


 …アンセルとリンセルをさらった奴らも、部位破壊はしたものの一人も死んではいない。


「…それはダメだな。」

『そうですか。…残念です。』


 なにが残念なの?

 俺がそれを口に出す前に、イリテは氷の像になっていた。


「あ。」

『大丈夫です。死んではいません。内側から凍らせました、特に後遺症もなく溶けるでしょう。…3ヶ月ほど放置します。』


 魔神が、ネタに満ちている。

 マジで魔神が…げふんげふん。


「まあ、勇者問題はこれで解決!」

『…あ、はい。そうですね。』


 当事者が微妙な顔をするな。


「……怒りは収まったか?」

『…そうですね。…では、また。』


 俺が手を振ると、魔神はゆっくりとアンセルを地面におろしながら、霧散していく。

 アンセルを抱き止め、力を入れる。


 大惨事になりかけたとは言え、俺のことを思うがあまり暴走したことだ。

 …今日は一緒にいてやろう。


 かすかに、アンセルが動く気配。

 そして、小さく目を開ける。


「…ラン君…。」

「ん?」

「ごめんなさい、迷惑かけました…。」


 俺の首に掴まり、アンセルは涙をこぼす。

 アンセルの体を左手で支え、右手で彼女の涙を拭う。


「…大丈夫だ。…俺のことを思ってくれてやったんだもんな。ありがと。」


 アンセルは、怒られるのを覚悟していたのか、キツく目を閉じていたが…。

 予想外のことに戸惑ったのか、俺の目をかなり微妙な目で見つめていた。

 驚きが一周回って変なことになってしまったらしい。


 苦笑して、彼女の頭をなでる。


「…迷惑なんかじゃないよ。…さあ、戻ろうか?」


 アンセルの目を見つめ、銀色の髪の毛を見つめ。

 俺は笑って、彼女を抱き上げたまま闘技場から出ていった。






------------------【???視点】



 魔神を召喚できる少女。

 その少女をそこまで動かせる、男。


 しかも、【聖魔】のトレンドねえ…。


 【聖魔】は、ラン・ロキアスが【光】・【闇】の、二つの属性を…または、それを含んだ複数の属性を使用するから。

 しかも、それを混合させる魔法を、この前開発したのだから驚きだ。


 ラン・ロキアスのデータはあり得ないほど少ない。

 役所のデータベースに、管理者権限で入ってしまえば、普通の人間でも…紙数十枚の情報が出るというのに。

 彼のデータ量は僅か紙ページ2枚。


 明らかにおかしい。少なすぎる。


 枢軸国の中心、ポラリスのデータベースでも無駄なら。

 …まさかと思うが、3国にデータが分断されているようにしか見えなかった。

 彼の存在は、どこまで重要視されているんだ?


 仕方がない、…帝王に、直接聞いてみるしか、方法はない…か。


ありがとうございました!

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