表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
醒眼族の異世界学園覚醒譚  作者: 天御夜 釉
第2部、第2章 学園に帰ったら、色々事件が起こってしまい困r(以下略)
145/442

王宮事情

最後まで読んでいただけたら光栄です

「ふにゃー。」


 リンセルが、俺をみてトロンとしていた。

 今し方正妻認定されたからだろうか、夢見心地だ。

 おうふ、かわいいなあ。


「…いつ結婚するかわかんないのに?」

「…魔王討伐の途中? あと?」

「あとかな。…その少し前でもいいけど。」


 リンセルが俺の膝でごろごろしていた。

 …まあ、いいんだけどさ。


「クインさん、どうなるんだろう…。」


 リンセルは学校の時の呼び方で定着させたようだ。

 よかった。

 様つけるのかなとか考えてました。


「…『普通』を取っ払ったような俺に、よく普通を求めている彼女がくっついてくるな。」

「そういうことじゃないよ。たぶん、『陛下』扱いじゃなくて、『クレインクイン』扱いしてくれたラン君に惚れたんだと思うよ?」


 …俺、何も特別な事してないんだけどなぁ…。

 むしろ、無礼な方だと思って…。

 直すつもりはなかったが。


「俺よりもいい人なんて、いくらでもいるというのにな。」

「ううん、ラン君に勝てる人なんていないよ。」


 愛するリンセルに即答され、すこし戸惑った。

 正直言って、俺はそんなに大それた人でも何でも無いというのに。

 …確かにふつうではないかもしれないが。


「強いし。」

「いや、それはリンセルみたいに、弱い人を守るためだろ?」


 リンセルが顔を赤くした。

 …俺、何か変なこと言ったっけ?


「優しいし。」

「これ、俺の一般的な態度だから、これ以上よくすることはできても悪くすることはできないよ。…だって、リンセルは俺の彼女じゃないか。」


 ボッ。

 リンセルの顔がさらに赤くなる。

 すでに、熟れたトマトのようだ。


「…キスしてもいい?」

「どうぞ?」


 リンセルが、俺の頬に唇をそっとふれる。


 …俺は、リンセルの肩に手をおいて。

 そっと押し倒した。


「…んぅ。」


 幸い、ここはベッドの上だ。

 スペースはある。


「…リンセルと出会えて、本当によかったと思っている。」

「…私もだよ? …入学式の日に、ラン君とお話ができてよかった…。あのとき、ぎくしゃくしていたら…。今は無かったのかもしれないね。」


 そっと、唇をふれあう。

 …今が一番幸せであった。










------------------





「昨晩は、お楽しみでしたね。」


 RPGに表示されそうな台詞を吐きながら、アンセルがにっこりと笑う。

 ここはあれだ。前と同じ寮なんだけど、すこしメンバーが替わっている。


 リンが『通常』の生徒と判断されたためか、別のクラスに行き。代わりにクインが入ってきた。


「…ああ、楽しかったよ。」

「今日は私ですか?」

「了解。」


 ここでも『普通』だと思われないクイン…不憫だな。

 しかし、昨日の態度をみている限り、このクラスでよかったらしいし。


「おはよう。ラン、アンセル。」

「おーおはよう。」

「おはようございます。」


 噂をすればなんとやら。

 クインがやってきた。


「元気そうだな。」

「ああ。今日はよく眠れた。」

「…王宮では、あまり寝れないのか?」


 頷くクイン。


「王宮だと、決まった時間に起こされるし、決まった時間に寝ないといけないし、庭でほかの人とコミュニケーションをとることすら叶わないことだが。…ここは違う。」


 まだ10時なんだけどな。

 アンセルもだんだん早起きになってきたし。


「…王宮では9時寝7時起きだ!」

「小学生か!」


 いかんいかん、ツイ突っ込んでしまった。

 それほど、普通ではないと言うことか。

 なんてこった。


「なんなんだその鬼畜。」

「…だよな…。」


 ショボーンとしたクインをみて、すこし同情した。

 …9時って。

 俺、遅いとき飯食ってるぞまだ。

 さらに遅いとき、まだカレルと訓練をしているぞ。


 …ルークさんに勝てるくらいになったのは、俺の魔力量が多くなっただけなんだよ。

 …カレルと戦って分かる。カレルは剣の筋も、その動きも。すべてが訓練され、精錬されてできあがったものだ。

 たしか、カレルは剣術を習って23年と聞いた。

 今28だから、5歳の時から訓練を始めていたこととなる。

 …俺が勝てるわけ無いよ…は日本人の考え方だ。

 俺は自由になった。カレルができるんだったら俺にもできるさ。


「まあ、また1年自由なんだろう?」

「…ああ。…ランとどこか行きたい。」

「俺限定っ?」

「…みんなと行きたい。…初めてできた、『友達』…だから。」


 よし。

 うつむいたクインの頭を撫でてやった。

ありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ