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醒眼族の異世界学園覚醒譚  作者: 天御夜 釉
第2部、第1章 王族って、大変だね…。宮廷に入るつもりはないけどね!
135/442

背負えるもの3

ドラゴン、再来。


最後まで読んでいただけたら光栄です!

------------------【クイン視点】



「…クレインクイン聖王陛下ですね?」


 後ろから、いきなり声をかけられ、反射的に剣を抜く。

 …いつのまに。

 ここ、少なくとも結構な森の奥まできたはずなのに。


「…いや、私です。」

「…アテラット先生…。」


 カレル・アテラット先生。…いや、フルネームはカレル・ゼウス・アテラット先生。

 クレアシモニー学園でも特に実力が高いとされる先生の一人。

 若手の中ではナンバーワンとされる…。


「陛下、どうしましたか?」

「…いや、感情的になっていただけだ。」


 自分の胸に手を当て、考える。

 …ランは、私を拒絶しようとしてさっきの言葉を言っていたのだろうか。

 …いや。きっと…。それは間違いだ。

 ランは自由を求めていた。私と同じように。

 たぶん、自由を得るためなら名誉も捨ててしまうような人なんだろう。

 大切な人の命のためなら、迷い無く自分の命をも懸けられる人。


 世間一般の人と価値観が全く違う。名誉を誇りとする騎士ナイトに限りなく向いていない人だ。

 …王座をねらって、私に言い寄る人など死ぬほどいる。

 だからこそ、私はいやなのだ。

 お世辞を言って、それが逆に私を不快にさせる。


「クレインクイン陛下?」

「…いや、なんでもない。すこし気が動転していただけだ。すまない。」

「いえいえ…。ランのことですか?」


 うぐっ。

 …勘が鋭すぎる。何なんだこの先生は。


「…図星ですか。」

「…ああ。アテラット先生は、ランの兄貴分だと聞いた。」


 ああ、とアテラット先生は笑う。

 彼を誇りに思うような、そんな笑顔。


 同時に、アテラット先生がうらやましく見えてしまった。


「ランは成長の幅も大きいし、これからも成長していきます。…私が担任で、ランが信頼してくれて良かったと思いますよ。」


 これからも成長していく…か。

 …ラン、ついには私を追い抜いてしまうのだろうな。

 …すこしだけ、胸が痛んだ。


「陛下は、クレアシモニー学園に戻りますか?」

「…戻るさ。」

「そうですか。」


 ランといる時間を少しでも長くしたいからな。

 アテラット先生はうれしいような困ったような、そんな顔をしていた。







------------------【カレル視点】





 …ラン、なんて罪な男なんだお前は!

 …陛下まで手玉に取るとは。


 さて、この言葉をどう伝えようか。


 ①さりげなく伝える。

 ②偉そうに伝える。

 ③伝えない。


 いや、②は却下だ。絶対殺される。

 リアルで死刑だ。


「…陛下。」

「ん?」


 …ひぃ!

 なんだこの可愛い反応は!

 ……陛下もそんな声を出すのか。


「…クラス、一緒にしておきましたので。」

「え?」


 クレアシモニー学園の生徒は、先生が育てたい人を自己判断で決めてもかまわないことになっている。

 なぜかはしらない。というよりは、ほかの先生方も陛下の扱いには困難を極めていることだろうから、喜ばれた。

 ちなみに、ほかにも扱いが厄介そうな人が何人も一緒になってきたが…。

 ランたちご一行もそれに含まれた。

 そして、ランを妬んでいた人間は全員、ほかのクラスに丸投げした。


「…ランたちと、陛下のクラスを一緒にしました。担任は私です。」

「…ふぇ!?」


 目に見えて真っ赤になっている。

 …陛下、その顔は反則です。


「…あ、ありがとう!」

「どういたしまして。」


 単に、「問題児」と「異才」、「天才」を押しつけられただけなんだけどな。

 いいか。来年は楽しくなりそうだ。




 …突然の違和感。

 …何かのうなり声。


「陛下。ここは危険ですね。」

「…何かいるのか?」



 そのとき、雪を踏み分ける音が聞こえた。

 甲高い鳴き声。

 かなりあいては巨大だ。










「……あー。ドラゴンです。」


 目の前には、真っ白な。

 氷に包まれた、3メーティラの高さはありそうな…。

 …翼龍ワイバーンが、目の前にいた。






 気づいたら目の前にいたという方が正しいか。

 なんせ、雪の中に綺麗にとけ込んでいて至近距離に達するまでぜんぜん気がつかなかった。


 陛下をかばいながら、ゆっくりと後退する。


 敵の名前は翼雹龍ヘイルワイバーン

 魔獣階級は深淵級魔獣エンシェント

 翼龍のなかでも、生物を捕食対象とする。


 弱点は…暑い場所、熱だ。

 その身体は氷に包まれており、熱で溶けると鱗も弱くなる。

 氷の下に、鱗があるのだ。

 弱いと言っても、十分すぎるほどに堅いが。


「まてよ…ひぃ、ふぅ、みぃ…。」


 後ろで、陛下が青ざめているのがわかる。

 だって、俺の肩に当てた手が震えているから。

 …合計5体。…普通なら軍隊が出動するレベル、か。








 …さすがに俺でもまずいかもしれない。

 攻撃して刺激するよりは、陛下を守ることを優先しないと。

ありがとうございました!


大ピンチですねー(棒


今日は、あと最大で2話投稿するかもしれません!

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