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醒眼族の異世界学園覚醒譚  作者: 天御夜 釉
第1部、第1章  異世界に転生しても結局学園生活です。…普通のかどうかは怪しいけれど
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姑息

 サミュリ、という種族は魔法が使えない。

 つまり、彼はずっと俺に近づいて、近接攻撃を繰り返す…んだけど。


「おっと。」


 当たらない。

 しかも、魔法じゃないから一昨日のゼイルの魔法よりも遅く見える。


「いや、これ、1個もいらないと思うんだ。」

「減らず口をたたく暇はあるのか?」


 ある。

 いや、これは…いつでも相手をぶっ叩ける。

 軌道が余りにも単純すぎる。

 それに、それがパターンとして入っている。

 3週くらい見て、その後はそんなに気にしなくても良くなった。


 ルルルルルの学園長が、興味深そうにうなずいているけど。

 うん、だんだん女子の歓声も小さくなってきたけど。


「えっとあのー。そろそろ決めていいかな?」

「ふんっ!」


 ランレイは答えず、大きく横にチェンソーを薙ぐ。

 やっとイレギュラーな攻撃だけど。

 それをジャンプで避ける。

 イヤッホーゥ!


「何故だ…何故当たらない!」

「いや…瞬発力あるし。」


 あるしお寿司。

 いや…うーん。

 サミュリって、頭いいんじゃないの?


 あれか、時間切れであっちは攻撃を繰り出したのに、こっちは攻撃してないからあっちが有利って思わせる作戦かー。

 きたねぇ。

 マジ嫌い、こういう人。


 彼の一瞬の隙で、思い切り跳躍する。


「【闇】属性上級・・近距離創造魔法、《闇魔剣アビス・ブレード》。【闇】属性上級・・近距離創造魔法、《闇魔剣アビス・ブレード》」

「なんだってー!?」


 …うおおおおお。

 体力めっちゃくちゃ削られた。

 魔力を使うのには、必要だからねえ、体力も。

 いや、エリシュみたいな遠距離なら魔力で事足りるんだけど、近距離はそうも行かないらしい。

 つかれた。

 なんていうの、2本作り出すときは単純に2回削られるから…。

 【犠牲の指輪】を一つ、地面に落として《闇魔剣アビス・ブレード》で突き刺す。


「あ、体力戻った。」

「は?」


 あ、これはサイコルとウェイカー、フライドしか使えない方法だよ。

 いや、真似しても意味ないって。


 一昨日ゼイルと決闘するとき、アレルさんが教えてくれた、裏技だ。

 誰にも装着していない状態で、【犠牲の腕輪】を破壊すると、中に内蔵されていた防御膜が、体力・魔力になってそこから一番近い人に取り込まれるっていうヤツ。


 ウェイカーとサイコル、フライドは、体力・魔力を酷使する種族であるために取り込もうとするけど。

 サミュリは魔力がそもそも存在しない、つまりは魔法を使えないし、ほかの種族も一般的に片方しか使わないから、取り込もうとしないらしい。


「…ってことで。」


 ランレイに対して一気に突進する。

 相手もチェンソーを鳴り響かせる。


 が、単純すぎる。

 これなら、銃火器を積んだ方がいいと思うぞ。

 守りも単純か!


 まあ、サミュリは生まれたときからサイボーグらしいけど。

 そこは異世界なのね。帝王切開しか無理そうだね!


「んぐぅ!?」


 右手の《闇魔剣アビス・ブレード》をチェンソーと打ち合わせて、左手の《闇魔剣アビス・ブレード》で腹を突く。


 一回二回、三回。

 反動からそのまま、次にむかったらギリスはさすがに慌てたようだ。

 簡単に言おう、致命傷を肩代わりするだけで本当に痛いぞ。

 リンとの最初の魔法訓練…。

 殺されかけました。

 うん、あれは絶対にトラウマ。



 モニターをみると、残り1分の相手の【腕輪】は残り1個か。

 俺は最初からつけてないから2個のままだ。


「や、やめてくれ!」


 もう一突きしようとしたら、慌てて声をかけられる。


 一瞬手加減した、俺は次の瞬間後悔した。


 ランレイが手を挙げると、猿ぐつわを噛まされたリンが出てきたからだ。


「…何のつもりだ。」

「降参したら、離してあげてもいいよ。」


 手錠で繋がれている。

 それに、何かの石が埋め込まれている。


「ああ、これ? …きれいでしょ。手錠で繋いでいる人の魔法を封じる手錠だよ。」


 ランレイがリンの頬を撫でる。

 …学園長が何も言わないのは、これも決闘では付き物らしいからか。

 さすがに、度を超したら雷が落ちるんだろうけど。

 リンが泣きそうな目で俺を見つめてくる。


 …ちょっとキレそうです。

 殴っていいですか?


「美しいよね、さすがって感じだよね。」

「リンを離せ。」

「だから、降参しろと言っている。」


 頭脳戦も決闘のうちか。

 …リン…。


「…降参しない限り、どうなるか分からないぞ?」


 リンが俺に対して首を振る。

 …もう、いいんだよ。

 そんな顔で俺をみないでくれ。

 …俺に、助けを求めないでくれ。

 俺はただの…。


「本当に、お前卑怯だな…!」


 ウスギリがキレ気味に叫んだ。


「なんだよ、ゲン。…君が俺に声をかけないでくれるかな。」

「…お前がアイラを監禁・暴行したのは知ってるんだよ!」


 …はぁ?

 リンが、その言葉を聞いて恐怖からか、涙をこぼす。













 俺の紋章が、黒いウェイカーの証が、光った。


 不思議と、どういう意味なのかはわかった気がする。


 『…今すぐ助ける。』


 リンに『テレパス』を送り


 そして俺は、宣言した。










「…『アッパー』、発動。」

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