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醒眼族の異世界学園覚醒譚  作者: 天御夜 釉
第1部、第9章 決戦の時。僕は大切な人の人生のために戦います。…貴方はこんな時、誰のために戦いますか?
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休憩2 -意識連結-

どうぞお読みください!

…レイカー家の周りは、ただただ…、静かだった。

 美しい。 すばらしい。

 自然が、あふれている。


 目の前に広がるは、銀世界。


「来年も、ここでこうやってリンセルたちとみれるかな。」

「…みるつもりなの? 私たちと?」

「うん。」


 うなずく、するとリンセルは不思議そうな顔をして…すぐに顔色を戻した。

 ……俺に対して満面の笑顔で。


「…ラン君。お父さんのデータ、教えるね。」


 二人から分厚い書類を渡された。


 アンセルとリンセルが必死になって集めたのだろう。

 小説の設定集の如く、事細かにルークさんのスペックが記されていた。

 多用魔法、今までの逸話から事実、戦闘パターン。

 中には「なぜ知っている!?」と驚くようなことまで記されている。


 二人の頭をなでる。

 すなおに、ただ素直に、感謝するしかなかった。


「ありがとう。…でもいいのか? 実の父親だろう?」

「…ラン君に勝ってほしいですし、私は…生きたいです。」


 アンセルがつぶやいた。


 生きたい。


 この一言が、彼女の、彼女たちの本心だろう。


「でも、このまま【儀式】が始まったら、私はリンセルと戦わないといけません。…自分の双子の妹を殺すようなものですから、私は嫌です。」


 その言葉が、いやおうなしにおれの心に響く。

 その感情は、俺がミレイと戦うことになった時と同じだろうか。


 俺はミレイを妹のように感じていたせいか、彼女に対して少し甘いところもあるのかもしれない。


 でも、彼女は俺についてきてくれた。


 俺の後を追うように、自殺までした。


 ……俺は、彼女の気持ちに答えていけるのだろうか。

 今の、ルークさんとの決闘よりも正直言うと不安である。

 ミレイを失いたくない、傷つけたくない。

 でも。


「…絶対に、そんなことはさせない。」


 俺の内側から湧き上がる感情は、いったい何。

 俺の体は今、何を原動力にして動いている?


 自分が怖い。

 でも、自分に打ち克つ。


「そっか。」

「……絶対に、もうリンセルたちを泣かせたくないんだ。」


 リンセル、アンセル、クリーゼ、ミレイ。

 全員を抱え込めるかといわれると、たぶん無理じゃなかろうか。

 しかし、俺にはこの手段しか残っていないのだ。


 自分に勝たないと。

 克たないと。


「ラン君なら大丈夫ですよ。…私は、これでも一年間ラン君を見てきたんですよ?」

「……うん、ありがとう。」


 ありがとう。

 こんな俺を応援してくれて。

 こんな俺の言葉を信じてくれて。


「【聖魔の牙バルデュバル・ケル】。貴方は伝統に牙を穿つべき人なのです。今までの私たちの常識を、伝統を、……変えてください。」


 アンセルとリンセルが、そっと俺の両手に片方ずつ。




 ラウンジの上で、虹色の光が螺旋の柱となる。




 その柱は、天に直結し、俺にさらなる力を与える。



 【希望】。



 不安なんて、もう吹き飛んだ。


 俺は、強く彼女たちの手を握りこむ。


 光が一層増した。


 周りの属性をも吸い込み、その柱は太くなってゆく。



「ラン・ロキアスに、神々の祝福を。」

「ラン・ロキアスに、神々の加護を。」


 リンセルとアンセルがつぶやく。


 何かの儀式だろうか。


 でも、俺の力が、徐々に強まっていくのがわかる。











「…ふぅ。」

「今のは、なんだったんだ?」


 光の柱が消えて、リンセルが息をつく。


「ん、リンクを真面目にしたの。」


 …そりゃあそうか、この前みたいに一瞬触れ合っただけで、ほかの属性の魔法が簡単に使えるはずなんてないんだな。


「頑張って。……もっと、強くなって。」

「分かった。」


 強くなれるよ。

 背負うべきものがあるんだから、俺には。

次回はとびっきり甘くなる予定です。


ご容赦ください…っ。

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