第一関門 4 -究極武器-
どうぞお読みください!
「護衛にしては、二人にも対応できないの?」
「あまり身構えなくても良かったか?」
まず動いたのはリューだった。
俺に目配せし、ゼロ=オールから見て左側に走り出す。
もちろん、こっちを警戒しながらもあちらを気にするだろう。
そもそも、第一巻門で俺が大きく動くことは、怒りが爆発しない限り無いと思った方がいい。
ゼロ=オールが腕をチェンソー型に変形させる。
鋭利な刃が、高速回転を始めた。
「《不殺の魔導陣》は、私にとっても、好都合だ。」
「へー。」
チェンソーを横薙ぎに振るゼロ=オールにたいし、リューは宙を舞うことによって回避。
空中で拳銃を構え、撃つ。一連の動作を、リューは息を吸うかのようにやってのけた。
しかしそれでやられはしないだろう。
まっすぐ俺に向かってダッシュするゼロ=オールに対して、俺は光と闇の剣を構える。
それぞれ、浄化系魔法と汚染系魔法が付与されている二つの剣。
その剣を薙ぐ…、と見せかけて足払いをかけた。
クイン聖王陛下から教わったフェイント。
フェイント、というと相手を騙したようで悪い気もすると思う。
でも、クインは女だから。
力では男に勝てないだろう。
「その体術…、王家の。」
「クインから教えてもらった。」
「陛下を、そう、呼ぶのか?」
クインは普通を求めていた。
だから、普通に名前で呼ぶさ。
「お前は、無礼と、いう、言葉を、しらない。陛下は、…そんなヒトじゃない。」
「それはお前の主観であって僕たちの主観じゃないともさ。」
リューが後ろに回り込んだようだ。
すぐに発砲。
ゼロ=オールはそれをよけたが…。
もちろん、反対側には俺がいる。
剣を構えて魔法の銃弾を、バットの要領で跳ね返した。
「うぐ。」
わずかなうなり声。
ゼロ=オールの肩に突き刺さる弾丸。
浄化と汚染を無理矢理付与させたのだが…。
付与量が足りないのか、あまり効果は得られなかった。
「早く倒さないと、時間が長引くと面倒なんだよね!」
リューが間髪を入れずに発砲。
しかも、おもいっきり邪笑している。
不気味だ。そして怖い。
「分かった。一気に蹴りを付ける。」
俺は、レイカー家当主のルークさんに勝つために、4種族でなにか混合的な物を開発した。
今から、それを使おうと思う。
「できるものなら…!」
「やってやるよ。」
まず、ウェイカーの瞬発力とケレイジの屈強さを利用。
高速で間合いを詰める。
止まる気はない。蹴りはすぐにつける。
「んなっ!」
「《融合せよ、光と闇、聖と魔の剣よ!》」
【光聖剣】と【闇魔剣】が、今一つになる。
宣言した。
「【光・闇】属性無階級近距離創造魔法、《聖魔天獄柩》。」
現れたのは、一つの柩であった。
階級未分類、いや、階級設定なし。
俺オリジナルの、たった一つの魔法。
黒と白が複雑に、幾何学的な模様を形どっている。
形は、吸血鬼の棺を思い浮かべれば分かるだろうか。
あれを薄くしてほしい。…そう、それでも高さ2メートル、奥行き30センチくらいはある。
ゼロ=オールが口を開けて唖然としていた。
関係ない。
そのまま、渾身の力で振り下ろした。
次回話から、第二関門の始まりです。