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醒眼族の異世界学園覚醒譚  作者: 天御夜 釉
第1部、第9章 決戦の時。僕は大切な人の人生のために戦います。…貴方はこんな時、誰のために戦いますか?
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クレインクインとグレイシア

どうぞお読みください!

 今、俺は微妙な気持ちで王宮の中につれられていた。

 目の前でカレルと楽しそうに話をしているのは、カエシウス聖王国…聖王陛下のクレインクイン・ゲイボルグ・クライノートである。


 外見は美しい少女だ。本当に未成年なんじゃないかと思ってしまうくらいだが…。

 顔から何まで、すべてが整っている。いや、整いすぎている。

 白い、とにかく白い。

 髪の毛から目から。肌まで白い。


 …まって、どっかで見たような気がする。


「カレル・アテラット…うむ、話は聞いているぞ。【クレアシモニー学園】の若手ナンバーワン。」

「ナンバーワン…いえ、若手が3人しかいないんですが…。」

「そうか。…私もあそこの生徒だからな。」


 生徒ぉ!?

 …なるほど、もしかして、この前男女ペアで俺たちとすれ違った片方か?

 …疑いの目でみつめていると、聖王陛下クレインクインはこっちを見てにっこりと笑った。


 …うへえ、ふつくしい。

 普通の男なら1秒で陥落する。

 …だが残念だったな! 俺はまだマシだ!


「ん、本名を隠して登校しているが? …今度会ったときに教えようか?」

「それ、機密情報…。」

「大丈夫だ、クライノートは前代のまま、まだ入れ替わっていないという状態のはずだ。私も学生の身分であるからにして、最後まで在籍しろとの父上からの指示でな。」


 前聖王陛下、むちゃくちゃな指示を娘に出しますな。

 …それにしても、ちゃんと適応できているのか?


「ロキアスの強さは、直に見てきたから分かるぞ。…できればカエシウスに欲しいくらいだ。」


 傭兵として、と言われた。


 欲しいって言われても…。

 俺、特定のどこかの国に所属するつもりはないし。

 誰かに仕える気はないし。


 そんなことを考えながら歩いていると、一人の少女を見つけた。

 現聖王陛下クレインクインに話しかけようとして、躊躇って、下を向く。

 もう一度顔を上げて、話しかけようとして、躊躇って、下を向く。

 もう一度顔を上げて、話しかけようとして、躊躇って、下を向く。


 …これが延々と続いている。

 …コミュ障?


「…?」

「ああ、第二王女で妹のグレイシアだ。すこし引きこもり気味でな。」


 俺の視線を感じ取ってか、紹介してくれる。

 …ひきこもりかー。ヒッキーかー。


 容姿は陛下あねと同じくらい麗しいのにね。

 こうやってみると、リンセルとアンセルを思い浮かべるな。


 どっちも白いし。キャラかぶってるし。



「…ようこそ、カエシウスへ。」


 ぼそっとグレイシア王女がつぶやいた。

 うん、可愛い。


 …王女にこんなこと思っちゃいけないんだろうけど、可愛い。


「グレイシア、すまんが、この二人の部屋を探してくれないか?」

「…それは、王宮内ですか? 姉様。」

「うむ。」


 王女が俺たちに礼をして、なぜだか俺と一瞬目を合わせて、にこっと笑って。

 どこかに行った。


「…う、そんなに畏まらなくてもいいぞ、ロキアス。同級生なのだからな、敬語は必要ない。」

「…了解…?」


 同級生?

 …うん、本当に学園内にいるんだな。

 探そう。


「ずっと思っていたことだけど…。なぜ、俺たちをそんなに?」

「信用するか、か?」


 はぁ、とため息。

 そして俺をしっかり見つめる。


 目力すげえ。


「『セリシト魔法王国』の大賢者、マレイグ・パン・リーフから信用できる人間だと言われているからな。枢軸国同士、一人の王が言ったことは信用する決まりとなっている。裏切ったら、ポラリスが管理する仕組みだ。」


 ポラリス。…小都市国家だと思ったら、すごい役割を担っていた。


「ロキアス、君にはすべきことがある。それは何か?」

「…?」

「…アンセリスティア・フレイヤ・レイカーと、リンセルスフィア・フレイヤ・レイカーのふたりを救うことだ。【聖魔の牙バルデュバル・ケル】よ。」


 …なるほどね。

 広まっているわけね。

 …俺の噂。


「【伝統】とはいえ、カエシウス聖王国の国民を一人でも無駄に死なせてはならない。…一週間後まで、何でも必要なものがあったら遠慮なく言ってくれ。」

「実に言い出しにくい。」


 宝玉を鑑定して欲しいし、他の能力も知りたい。


「…安心しろ、ここにいる間は最重要要人として登録しておくから。」

「…そういう問題じゃないよ。」


 うん、そういう問題じゃないんだ、分かってくれ。







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 簡素だけど、豪華さがにじみ出るような部屋に通された。

 …うん。すごいねここ。



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