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醒眼族の異世界学園覚醒譚  作者: 天御夜 釉
第1部、第9章 決戦の時。僕は大切な人の人生のために戦います。…貴方はこんな時、誰のために戦いますか?
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不安

どうぞお読みください!

------------------【リンセル視点】



 私とお姉ちゃんは、ラン君と別れて車に乗っていた。

 …ラン君と、すぐ再会できるって信じながらも、どこか…不安が。

 お父さんは強い。

 考えられないほど強い。

 …なのに、ラン君は歩みを止めてくれない。

 …私たちを助けるために…。


「…あれが、ラン・ロキアス。」

「何が言いたいのです?」

「…いえ、マスターとお嬢様を虜にしている男を一目見たいと思いまして。」


 お姉ちゃんのことを「マスター」と呼んでいるのは、ゼロ=オールって呼ばれるサミュリ。

 いろいろと諸事情あって、今の状態に至っている。


 …お姉ちゃんは何かに感づいたみたい。


「…まさか。」

「【あの日】の防衛戦に、私も参加しますが。…この調子だと、余裕そうですね。」


 …余裕?

 魔法も使えない、貴方が、余裕っていえる根拠はどこにあるのか。

 また、その自信はどこからくるのか。


 私は、我慢できずに口を挟んだ。


「…ゼロ。貴方の判断は間違ってるよ。」

「根拠は?」

「…ギリス・ランレイと、リュー君を殺した人たちを、ラン君は打ち破ってるから。」


 ゼロ=オールの目が見開かれるのを雰囲気で感じながらも、私は話すことをやめない。

 …ラン君は、今まで私が見てきた中で、特異だから。


 …ほめ言葉です!


「そもそも、貴方はサミュリで魔法が使えない。相手ランくんは3しゅ…4種族混血。」

「失礼ですがお嬢様。…魔法が使えない、ということはハンデになりません。…私は、マスターに【遠近両用護衛ハイブリッド型】として、改造カスタマイズされています。」


 たったこの前、4種族混血になっちゃったんだっけ。

 …ラン君の身体、紋章だらけになっちゃう…。

 また身体のどこかが機械になっちゃったり、翼が生えたりするのかな。

 …なにそのキメラ。


 …レザールとカラミタは見たことないから知らないっ!


「…後で泣きを見てください。…サイコル・ウェイカー・エリシュ・ケレイジの4種族混血に加え、【火】・【氷】・【光】・【闇】という4属性を扱える人は、彼しかいませんから。」


 お姉ちゃんが、ゼロ=オールの背中をにらみつけながらつぶやく。


 …ラン君、貴方は常軌を逸してるよね。

 …でも、そんなラン君も大好きだよ。

 …本気で好きだからね…?


「…楽しみにしています、マスター。」


 彼の口調は、皮肉めいたものだった。

 …バカにしてるんだね。







 4時間くらい【デルエクス】が走っていると、あたりは雪景色に変わっている。

 …そろそろ、カエシウス聖王国。

 …今の季節だと、銀色の世界に変わっているんだろうなぁ…とか考えたり。

 ラン君とこんなところ、散歩してみたいなーと思ったりもする。


「…。」

「綺麗…。」


 …雪が、私の感情を表しているようで。

 …なんだか、寂しい気持ちになった。


 ラン君…今頃、なにしてるのかなって。

 いつもラン君のことを考えちゃうの。


 大好きだから。


「泣いても、何にもなりませんよ。」

「…わかってるよ…お姉ちゃん。でも、なんでだろうな…。普通のお嬢様だったら、今頃ラン君と…って考えたら…。」


 無意識にこぼれてた涙を指でこする。


 こんな顔、ラン君に見せられないや。

 …ラン君、心配するから。


「このあと、幾らでも時間はありますよ。…ラン君を私は信じています。」

「ラン君…、最後に、大好きって言いたかったよ…。」


 そう思いながら、【デルエクス】の外をもう一度見やる。















 空は、相変わらずの雪景色。

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