プロローグ
プロローグには、「の」という文字がありません。
というわけで、「のがないプロローグ」をお楽しみください。
え、ちょっと待って。
そんなことを口に出すこともなく、俺は死んだ。
真っ昼間だった。
運が悪かったとしか思えない。
なぜ、ビル上から鉄骨が降ってくるんだ。
俺は、周りで起こる悲鳴&怒号による意味を知らなかった。
そして、何も知らないまま、俺は酷く重い物に頭を貫通され、ひねりつぶされ、…死んだ。
即死だろう。
…多分。
------------------------------------
「起きろ、紀伊嵐。…おい、起きろってば!」
誰かが俺を呼ぶ声がする。
声は地味に高い、男か女かわからないけど、一応男だと判断しておこう。
目は閉じているからか、暗い。
いや、俺は死んだはず…。
それならなぜ、俺には感覚があるんだ?
「起きろ、つってんだよオラァ!」
周りが一気に明るくなった。
そしていたい。
なんだ…頭痛がする。。
痛覚すらもどっているんだな。
飛び上がって前をみる。
「おお、やっと起きたか、紀伊嵐よ。お前は死んだ。」
…何こいつ。
なんて言い表せばいいんだろうか。
身体にスロットマシンがある。
しかも、一般的なスロットマシンじゃない。
文字がいろいろと、パネルに表示されている。
てか、人間?
ロボット…?
「我は、転生神『スロツ=トール』。」
「スロットマシーンじゃねーか!」
名前にずっこけた。
なに、こんな適当な奴が神様なんて俺は信じないね!
「…神だから、お前が思っていることは分かっている。バカにしているんだろう?」
あ、後ろに美人がいるよ。
「うおっ! 本当か!?」
おお、神様らしいね。
読むことが分かっているとは関心関心。
「…馬鹿にすることを大概にしろ。…今回は紀伊嵐、お前を転生させにきた。」
「それって、死んだ人は全員?」
しかし、『スロツ=トール』っていういい加減な神様らしい物は首を振る。
…絶対ロボットだろ。
「いや、俺様がスロットマシーンで決めた人だけだ。」
ゲーム感覚で決めるなよ!
「茶番は仕舞にして、そろそろ本題に入ろうか。」
妙に真剣な口調になり、スロットマシーンは俺を見つめ(?)た。
いや、目がどう見てもカメラなんですけど。
どう見てもカメラなんですけどぉぉぉぉ!?
中に人とかいるんかな。
「…生前スペックは…。引きニート、顔は下、運動神経も普通で勉強も普通…。特筆すべきところが何もないな。」
ロボットに言われたかないやい!
「ふん!俺にはこ『ゴッズ・スロット』という特筆すべき特殊能力があるんだよ!」
ロボットに…負けた…だと…!?
「…まあ、まずはスペックを決めなければならない。スロットスタート!」
…始まってるよ…。
項目は『容姿』、『身体・IQ』、『特殊能力』とあるけど。
転生する場所に、そういう能力がないところだと…チートになるんじゃないか?
「さあ、ストップと言うんだ!」
踊るなロボットめ!見えないだろ!
やけくそになった俺は叫んだ。
「ストップ!」
------------------------------------
「……フォオオオオオォォォォォォォ!?」
何ですかこいつ。
奇声出して。
「…フォォォォォォ…、すまん。…思った以上に奇跡が起こったもんでね。」
カメラがキラキラ輝いてるよ。
パネルも輝く笑顔になっている。
「Congratulations! はいチートですよー!」
『容姿』…めっちゃいい。
…なぜに関西弁。
『身体・インテリジェンス』…パネえ。
…なぜにギャル語。
さっき、IQっていわなかった?
『特殊能力』…相手は死ぬ。
…なぜにネットスラング。
ていうか、相手は死ぬって何!
「…さあ、お前がいくべき世界に行ってらっしゃい。」
「いや、何も決まって…。」
しかし、スロットマシーンは言い放った。
「…さっき、こっそり回してた。てことでさよーなら、『アルカイダス』へ。」
どこだよそこ! と思う前に床に穴があいた。
そして…俺は視界からスロットマシーンが姿を消したことを認識して…。
…死んだ(?)