宴の終わりと
なんとなく前回の宴会から、モモとのコミュニケーションが上手く取れない。
アヤカシがすべてモモのように、人間を慕っている分けではないと分かったから。
という建前の理由のほかに、純粋に恐怖というものが生まれたからだ。
命の軽さ、とでも言えばいいのだろうか。
人間をとって喰う妖怪なんて、それこそ掃いて捨てるほど居る。
しかしそれが隣にいると思うと、どうしても心の奥に黒いわだかまりが生まれてしまう。
「なあ、モモ聞いていいか?」
「ご主人の聞きたいことならなんでも」
隣に座ってTVを眺めているモモに問いかける。
表情は、見ない。見えない。
「アヤカシってのは、全部ああなのか?」
我ながら愚問だと思う。
モモを見ていれば、少なくともモモは違うと断言できるはずなのに。
「どうでしょう? モモもアヤカシに成って短いので断言はできません」
「そうか」
沈黙がつらい。
なにか、踏み出す一歩が欲しい。
そう思ったとき、酒瓶に目が留まる。
酒に頼るのはどうかと思うが、モモとの間に溝は作りたくない。
俺は酒瓶に口をつけ呷る。
こんな時なのに、美味いと感じてしまう。
なんだ、俺の思っていたことなんて酒に流されるような詰らないものだったのか。
そう思うと、自然と笑いがこぼれた。
モモの頭を乱暴に撫ぜてやる。
「モモは、モモなんだろ?」
「はい。モモは、モモですよ」
「だったら、どうでもいいや」
「はい。モモからも一言いいですか?」
モモが真剣な目でこちらを見る。
「お酒臭いです」
すまん、と答えてモモの髪に手櫛をいれてる。
「あんまり乱暴にしないでくださいー」
そういいながらも、モモは尻尾を振っている。
満更ではない様だ。
「や、ちょっと、耳はだめですってー」
「へっ、尻尾はもっと駄目ー!」
ちょっとだけ、モモとの距離が縮まった。
「あ、お隣さんどーもです」
「え、ご主人と仲良くやってるでって?」
「はい。もうそりゃラブラブって感じですよ」
「へ? 胸焼けしそうだからご馳走様?」
「いえいえ、お粗末さまでした」
お隣さんの前を通ると、若いっていいわね。と、遠い目で呟かれてしまった。
モモ、何をした!?




