疫病女神寄生中
作品名:厄病女神寄生中
作者名:雑草生産者
ジャンル分け:コメディ
ストーリー性:☆☆☆
キャラクター性:☆☆☆☆☆
中毒性(特殊評価):☆☆☆☆☆ (最大数:五)
注意事項:ハマると止められなくなる
あらすじ:
理屈堅い大学二回生の冴上は先輩との飲み会で体力を消耗しながら、なんとか朝日を背に、帰路に着くことができた。
アパートの廊下を歩いていくと丸まった人が居り、それは高校時代の後輩である絹坂 衣であった。
有り得ない人物の登場に驚きながら絹坂の話を聞くと、なんと夏休みの間居候させて欲しいというお願いだった。
頑なに拒む冴上だが、絹坂の巧妙な魔の手により、絹坂の居候を許してしまうことに!?
後輩との奇妙な同居生活に苛立つ冴上だが、更なる魔の手が迫っていた!?
今ここに禁断の同居系コメディ解禁!
見所:
理屈堅い偏屈大学生が篭絡されていく様でしょう。プライドと頭が高い人は何処にでもいますが、冴上はその最上級ではないでしょうか。
その最上級たる冴上が徐々に、そして確実に追い詰められていく様が見所でしょう。
さらに読み続けていくうちに、物語の黒幕的存在に気付き、繰り返し読み返すと新たな読み口を見つけることが出来ます。
おススメの読み方としては、最近注目されているトリックアートと同じように視点をかえてみてください。計算尽くしの考えられた名作だと思います。
感想:
この作品は読み手の好き嫌いがはっきりと分かれる仕様となっています。
冴上は言葉遊びや理屈固めを普段から多用し、感情が先行する人は『何を言っているのか分からん!』と一蹴するでしょう。
私の場合は身近にそんな人が居たので、スラスラと聴けます。
また、主要な登場人物のキャラクター性が濃く、登場人物でも好き嫌いが分かれるでしょう。
ここまで聞くと『名作か?』と思うかもしれません。
しかしこの小説では突飛な事件が起こらず、過去と思考と行動の差異が生じず、描写が正確、という小説であるべき条件が揃っています。とてもシンプルだと思います。
この『疫病女神シリーズ』はシンプルでマイナー寄りなのかもしれません。
しかし私はこの作品を忘れることはなく、私と同じ思いで読む方がいらっしゃるでしょう。
それがこの作品が名作だという証拠だと思います。
本音:
この作品では、神という存在が特別な能力を譲渡するわけでもなく、平凡な主人公が突然世界平和のために戦うわけでもなく、漫画のような簡易な効果音が使われているわけでもありません。しかし面白い。
漫画を軽蔑しているわけでもありません。
唐突な存在を出すなとも思っていません。
大志を抱くなとも思っていません。
ただテンプレートに乗るだけで終わらせないでください。
流行に乗ったテンプレートは鉄のように加熱し、冷めていきます。そしてそうして生まれた作品は、読者はおろか、作者にさえも忘れられていき、あまりにも可哀想です。
テンプレートに頼るのではなく、自分で考えてキャラクターを作り、場所を与え、書き始めれば、自分が迷った時、登場人物が自分の足で歩いてくれます。
そういう作品はいつまでも誰かの記憶に残ります。
そういう作品が生まれて欲しくて、この作品を紹介しました。
私はこの作品が連載している頃から知っていますが、ふと読みたくなります。
その読み返したくなる感情こそ名作の証拠ではないでしょうか。
そして愛着に満ちた作品が増えて欲しい、そう思うのみです。
評価基準:
ストーリー性はしっかりとしていますが、比肩なきほど個性に溢れている、とは思えないので平均値にしました。
キャラクター性は間違いなく満点でしょう。
登場人物はそれなりにいますが、各々あまりにも個性的過ぎます。
それぞれが主役になっても面白い小説になるのではないでしょうか。そのため満点です。
中毒性も満点です。しかし初めは六でした。
今でも六にしたいと思っていますが、紹介数の少ないうちから基準値を壊すと比べにくいと思い五にしました。
今後紹介作品数が増えていけば『☆☆☆☆☆☆』などの評価をするかもしれません。
ふとした瞬間に読みたくなります。そしてそれが延々と続くので満点にしました。