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崩壊した文明の先で  作者: 三茶花


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第一章 灰色の空の下で

考えた設定でAIを使って作成した作品になります。

読んでおかしそうな所は修正しますが、見逃し等あると思いますので温かい目で読んでください。

覚まし時計の電子音が、静かな部屋に鳴り響いた。


御影玲司(みかげれいじ)はゆっくりと目を開ける。


窓から差し込む朝の光は薄く、空は今日も鈍い灰色に覆われていた。


「……六時半か」


ベッドから身体を起こし、壁に掛けられた時計を確認する。時刻に狂いはない。


西暦二八六二年。


文明が崩壊してから四百年が経過した世界では、こうした時計ひとつを維持することさえ、決して当たり前ではない。


もっとも、ここ宇都宮では事情が違う。


人口およそ十五万人。三つの大企業によって運営されるこの都市は、周辺地域と比較すれば豊かな生活環境を維持していた。安定した電力供給、整備された上下水道、管理された農地、そして都市を囲む防壁。


旧文明のような便利さには遠く及ばないが、人々が日々の生活を送るには十分だった。


玲司はベッドから降りると、窓の外に目を向けた。


通りにはすでに人の姿がある。荷車を引く商人、仕事へ向かう労働者、武器や防具を身につけた探索者。遠くでは工場の煙突から白い煙が立ち上っていた。


いつもと変わらない朝だった。


玲司は顔を洗い、簡単な朝食を用意する。


硬めのパンに干し肉、それから一杯のコーヒー、コーヒーは旧文明時代のように安価な飲み物ではない。だが、彼にとっては朝の習慣を崩さないための小さな贅沢だった。


食事を終えると、部屋の隅に置いてある装備へ目を向ける。


自動小銃、拳銃、防弾ベスト、ヘルメット、バックパック。


ひとつずつ状態を確認し、弾薬の残量を確かめる。マガジンを取り出し、弾薬の装填状態を確認してから元に戻した。


続いてナイフの状態を確認する。


旧文明製のナイフだ。現代の技術では再現が難しい素材と加工精度を持つ、玲司の数少ない貴重品のひとつだった。


刃に欠けはない。


「問題なし」


必要な道具をバックパックに収め、装備を身につける。


鏡の前に立った玲司は、最後に防具の固定具を確認した。


特別な英雄でもなければ、名の知れた凄腕でもない。


ただ、仕事を選び、危険を見極め、生きて帰ることを繰り返してきた一人の遺跡探索者だった。


準備を終えた玲司は、部屋の鍵を閉めて宿屋を後にした。


探索者の1日は、探索者協会で依頼を確認するところから始まる。


報酬次第では、しばらく休暇を取ることもできるだろう。


もっとも、その予定が長続きしたことはあまりなかった。


宿屋を出た玲司は、朝の人通りが増え始めた大通りを歩いていた。


石畳の道沿いには、食料品店や衣料品店、武器を扱う商店などが軒を連ねている。

建物の多くは旧文明時代のものを改修したものだが、外壁には補修の跡が目立ち、増築された部分には現代の建築資材が使われていた。


道の向こうでは、荷車を引く大型の四輪車が低い駆動音を響かせながら走っている。

電力で動く旧文明製の車両ではない。燃料を使う現代製の輸送車だ。


技術の進歩は地域によって大きく異なる。


宇都宮のような企業都市では比較的高度な設備が利用できる一方、都市の外へ出れば電気すら満足に使えない集落も珍しくなかった。


玲司はそんな街の景色を眺めることもなく、目的地へ向かって歩き続けた。


やがて、通りの一角に三階建ての建物が見えてくる。


正面には金属製の看板が掲げられていた。


――世界遺跡探索者協会 宇都宮支部。


遺跡探索者の登録管理や依頼の仲介、遺物の鑑定、危険情報の共有などを行う中立組織の支部である。


世界中に支部を持つ協会は、各都市国家や企業の支配下に入ることなく、独自の規則と組織体系を維持していた。もっとも、その影響力が及ばない地域も少なくない。


玲司は正面の扉を押し開けた。


建物の中はすでに多くの人間で賑わっていた。


受付カウンターには職員が並び、壁際の掲示板には数多くの依頼書が貼り出されている。探索者らしき者たちが集まって依頼内容を確認したり、仲間同士で話し合ったりしていた。


その中には、全身を重装備で固めた者もいれば、軽装のまま腰に拳銃だけを下げた者もいる。


探索者の装備や活動方針は人それぞれだ。


玲司は受付カウンターへ向かった。


「おはようございます。御影さん」


顔なじみの受付職員が声をかけてくる。


「おはよう。何かいい依頼はあるか?」


「いくつかありますよ。いつも通り、単独で受けられるものがよろしいですか?」


「ああ。できれば近場で、報酬が悪くないものがいい」


「そうですね……少々お待ちください」


職員は手元の端末を操作し、登録されている依頼情報を確認し始めた。


玲司はカウンターに片肘をつき、壁の掲示板へ目を向ける。


護衛任務、資源回収、危険区域の調査、遺跡探索。


依頼の種類は多いが、どれも一長一短だった。


報酬が高い仕事には相応の危険が伴う。逆に安全な仕事は報酬も控えめだ。


どの仕事を選ぶかは、探索者自身の判断に委ねられている。


「お待たせしました」


職員の声に玲司は視線を戻した。


「こちらはいかがでしょうか。市街地から北東へ向かった場所で、新しい遺跡が発見されたそうです」


「新しい遺跡?」


「はい。発見されたのは数日前です。旧文明時代の小規模な施設と推定されています。周辺の簡易調査では、目立った危険は確認されていません」


職員は端末の画面を玲司に向けた。


そこには遺跡の外観写真と、簡単な調査情報が表示されていた。


「依頼内容は施設内部の調査と、回収可能な遺物の持ち帰りです。危険度は暫定的に五級。探索者等級の制限もありません」


「報酬は?」


「基本報酬が20,000Cr。発見した遺物については、鑑定後に別途買い取りとなります」


玲司は画面を確認する。


施設の規模は小さい。地上部分の構造も単純で、周辺に危険な生物や自律兵器が存在するという報告もない。


少なくとも、現時点では割のいい仕事に見えた。


「調査記録はどこまである?」


「発見時の写真と、周辺地形の情報程度ですね。内部については、まだ本格的な調査が行われていません」


「つまり、入ってみなければ分からないということか」


「そうなります」


玲司は数秒ほど考えた。


未知の遺跡に危険がない保証はない。しかし、報酬と想定される危険性を考えれば、十分に引き受ける価値はある。


「分かった。その依頼を受ける」


「ありがとうございます。それでは、こちらに署名をお願いします」


提示された契約内容を確認し、玲司は端末に署名を入力した。


依頼の受注手続きが完了すると、職員は遺跡までの位置情報と、現在判明している調査記録を転送してくれた。


「お気をつけて。帰還されたら、調査報告をお願いしますね」


「ああ。何か分かったら報告する」


玲司は端末をしまい、協会を後にした。


新しく発見された小規模遺跡。


特別な仕事ではない。


調査して、使えそうな遺物があれば回収する。危険があれば無理をせず撤退する。


いつも通りの仕事だ。


このときの玲司は、今日の探索が自分の人生を大きく変えることになるなど、想像もしていなかった。

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