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天才トランポリン少女  作者: 村上しのぶ


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4/7

君のためなら何でもしてあげるさ

 私は一気にスターダムを駆け上がった。

 スターもスター、スーパースター。

 国民的スターよ。


 こっちで、ピョーン、ピョーン。

 あっちで、ピョーン、ピョーン。


 あー、忙しい。

 国民的スターも大変ね。


 今頃、学校のみんなはどうしてるだろう?

 パパ、ママ、元気でいるの?

 今度、帰ろうかしら?


「ねえ、マネージャーさん。今日の予定はどうなってるの?」

「ウエヘヘ。午前中は、テレビ番組の収録でやんす。午後は、アルバムのレコーディング。夜はアメリカ大統領とトランプ、国連事務総長とオセロ、総理大臣とアルプス一万尺と、ずーっと予定が入っているでやんす」

「明日はどう?」

「明日も明後日も、その先も、ずーっと予定でいっぱいでやんす」

「まあ、それじゃ休むときがないじゃない!そんなの嫌よ、ウエーン!」


 私が駄々を捏ねていると、渋川栗男さんがやってきた。


「やあ、どうしたんだい、天才トランポリン少女?」

「栗男さん……。ぐすっ、ぐすっ。私、遊ぶ時間が全然ないのよ」

「かわいそうに。ほら、ジュースを飲みなよ」

「ありがとう。ぐすっ。冷たくて甘くておいしいわ」

「疲れているんだね。僕が足を揉んであげるよ。ムフフ……」


 モミモミ。


「ありがとう、栗男さん。あなたは出会った頃から優しかったわ」

「ムフフ、君のためなら何でもしてあげるさ」


 栗男さんの優しさに助けられて、その後も私は一生懸命に仕事をこなしていった。



 でも、何だか最近変なのよ。


 以前だったら、私がトランポリンをしたら、みんな大喜びしてくれたのに、今ではそうでもないみたい。


「ねえ、マネージャーさん。私、本当にライオンと戦わなくてはいけないの?」

「ウエヘヘ。君は天才トランポリン少女なんだから、みんなに夢を与えなきゃ」


 そうかなあ?


「ねえ、次はワニと一緒に一週間生活するの?」

「ウエヘヘ。みんな君に期待しているんだから、頑張らなきゃダメだよ」


 仕事がどんどんおかしなものになっていく。


「ウエヘヘ。今度はトランポリンで宇宙人と交信しながら、ゴリラと大八車でゲテモノ屋を巡るロケだよ」

「もう嫌よ、こんな仕事!」


 私は、とうとう我慢の限界に達した。


「芸能界なんて、もうコリゴリ。やめてやるわ!」

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