第7話 祝福の儀
**祝福の儀と女神の暴走**
こんにちは。
八歳になった **レスティーナ・フォン・グランテ** です。
本日は **祝福の儀** を受ける日でございます。
この世界では、八歳になると教会で祝福の儀を受けるのが決まりだ。
なぜなら、発現している祝福は、この儀式を受けないと**消滅する**からである。
だから我がメモワール商会では、従業員の子供たち全員に毎年この儀式を受けさせている。
……ええ。
**全員である。**
だって、有能な祝福持ちが発見されたら?
その時点で――
**永久就職が決定するからだ。**
将来の夢?
うちの商会で働く一択でお願いしたい。
子供の夢を縛るな?
そんなの綺麗事です。
こっちは莫大なお金を投資してるんだから、
**子供でも返済義務はあるのよ!!**
ちなみに。
うちで働くのが嫌なら、今まで掛かった費用を**全額借金**してもらう契約になっている。
ふふふ。
逃げ道はないのよ。
……と、話が逸れたわね。
さて。
私の祝福の儀で**大事件**が起きた。
貴族は予約をして、専用の個室で祝福の儀を行うのが通例だ。
だから私も例に漏れず――
教会の奥にある小さな祈りの間に通された。
部屋には女神像が一体。
後は誰もいない。
やる事は単純。
**祈るだけ。**
まあ。
私は無神論者なので。
「どうせ何も起きないでしょう」
と思っていた。
……その瞬間。
視界が真っ白になった。
気が付くと――
**空中に浮いていた。**
天井もない。
地面もない。
上下も分からない。
ただ、白い空間。
うん。
これは多分――
**白昼夢**だろう。
そう思っていたら、声が聞こえた。
『……ナ!!』
無視。
幻聴でしょう。
『レスティーナ・フォン・グランテ!!』
無視。
『ちょっと聞こえてるんでしょ!?』
仕方なく視線を向ける。
そこには**光る玉**があった。
「返事ぐらいしなさいよ!!」
めちゃくちゃ怒られた。
私は呟いた。
「幻覚と幻聴が同時に出るなんて……」
「頭の病気かしら?」
父上、母上。
申し訳ありません。
どうやら娘は壊れたようです。
アーメン。
ラーメン。
冷やし中華そば――
『食べ物を羅列するなぁ!!』
光が怒鳴った。
『あとで供物として供えなさい!!』
……供物?
『って話が逸れたじゃない!!』
光が胸を張った(多分)。
『私は**創世神ガイア**よ!!』
「はぁ……」
そうっすか。
適当に相槌を打つ。
すると光がムッとした。
『む!?信じてないの!?』
「自称神って大抵悪魔だって聞きますし」
私は正直に答えた。
『なっ!!』
『私は創世神ガイアよ!!』
『悪魔と一緒にしないで!!』
「もう帰っていいですか?」
帰りたい。
本当に。
すると――
**泣かれた。**
『ひどい!!』
『この私を無視するなんて!!』
『天罰下すわよ!?』
「悪魔の呪いですね」
私は肩をすくめた。
「一回死んでるんで今さらですよ」
『悪魔じゃないってばぁ!!』
光が暴れた。
『こうなったら!!』
『スペシャルな祝福を授けて、私が本物だと証明するわ!!』
やる気満々である。
「いや、要らないんで」
拒否した。
すると――
泣く。
喚く。
駄々をこねる。
……うるさい。
仕方ないので私は言った。
「じゃあ条件付きで」
『なによ!!』
「祝福を二つください」
『いいわよ!!』
即答。
軽いな神。
「あと祝福は**隠蔽**してください」
『それもいいわ!!』
軽すぎる。
私は言った。
「一つ目」
「世界に接続して検索できる機能」
「前世風に言えば……**人工知能のググル先生**」
『え』
固まった。
「二つ目」
「**ネットショップ**でお願いします」
『う』
……。
やっぱり出来ないのでは?
「まあ仕方ないですよね」
私はため息をついた。
「創世神じゃないなら神力も少ないでしょうし」
「本物に怒られますよ?」
煽った。
すると――
『できるわよ!!』
キレた。
『私は創世神ガイアなんだからぁ!!』
そして光が弾けた。
私の体に何かが流れ込む。
どうやら本当に**ギフトを与えた**らしい。
私は聞いた。
「で?」
「対価は?」
神様がタダで動くわけがない。
するとガイアは言った。
『この世界の**滅亡**を防いでほしいの』
……は?
「滅亡?」
『ええ』
ガイアは続けた。
『実はね』
『二人ほど記憶持ちで転生させたの』
嫌な予感しかしない。
『でもね』
『どっちも**アレ**だったのよ』
ああ。
無能だったのね。
『魔力が膨大な者は寿命が三百〜五百年なの知ってる?』
「ハイヒューマンですね」
私は答えた。
「現国王も二百五十歳くらいですよね」
『そう!!』
ガイアは叫んだ。
『その二人がハイヒューマンなのよ!!』
嫌な予感が加速した。
『文明発展させる予定だったのに!!』
『国を滅ぼして星を滅亡させる未来を確定させたの!!』
……。
馬鹿だ。
これは完全に馬鹿だ。
私は言った。
「じゃあ頑張ってください」
帰ろうとした。
『ちょっと待ちなさい!!』
ガイアが叫ぶ。
『アンタが止めるのよ!!』
「無理です」
即答。
「私はハイヒューマンじゃないので」
するとガイアがドヤ顔で言った。
『大丈夫!!』
『魔力無限にしておいたから!!』
……。
私は本気で殴りたくなった。
「そんなの要らないわよ!!」
『もうあげちゃったもん!!』
ガイアは言った。
『その二人を抹殺すればいいのよ♡』
さらっと恐ろしい事を言う。
私はため息をついた。
「……リミットは?」
「転生者は誰?」
身分によって殺し方が変わる。
貴族なら社会的に殺す。
平民なら直接。
するとガイアは言った。
『相手は――』
『この世界の物語』
『**光の聖女と聖なる騎士**の』
『ヒロインと悪役令嬢よ!!』
そして叫んだ。
『三人目の転生者レスティーナ!!』
『二人を抹殺して世界を救って!!』
言うだけ言って。
**逃げた。**
気が付くと。
私は教会の祈りの間に立っていた。
女神像を見上げたまま固まっていたらしい。
父と母とジェイに回収された。
どうやら。
**具合が悪くなった**と思われたらしい。
数日後。
教会で祝福の確認をした。
結果。
**祝福なし令嬢**
爆誕である。
……。
隠蔽ギフト。
**仕事しすぎである。**




