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携帯ゲーム機

自分が別世界から来たことを証明するために英治は能力を使い……。

 告白など一度もされたことのない英治は戸惑っていた。


「まさか……お前、告られるの初めてなのか?」


 そう問われて英治は、ハッと我に返るも恥ずかしくなる。


「そ、そうそう……能力を使うんだった」


 英治は言いたくないため誤魔化し再び何を創造するか考え始めた。

 その様子をみてルゼリウスは聞かない方がいいかと思い言うのをやめる。

 顔を赤くしながらティラベルは、どんな物を具現化するのかとワクワクしていた。


(仕方ない……知ってる範囲の物にしよう)


 考えが纏まると英治は目の前に手を翳して、こんな携帯ゲーム機があったらと思いながら妄想を膨らませる。

 すると翳した手の前に魔法陣が展開され眩く光った。それと同時に、チカチカしながら持てるぐらいの携帯ゲーム機が現れてくる。

 全て形になると英治は、その携帯ゲーム機を取って動作の確認をした。

 液晶画面には英治の知らないロールプレイングゲームが表示されている。


 その携帯ゲーム機は緑の長方形で四ヶ所共に緩やかな丸みを帯び中央部に液晶画面が付いていた。

 電源ボタンと思われる小さな魔石が右上に設置されている。

 操作ボタンらしき小さな魔石が液晶の左右下に四つずつ配置されていた。

 右側の小さな魔石が数と配置的に方向ボタンの役目をしていると思われる。左側のは何かボタン的な役目のようだ。

 それと専用のタッチペンまで付属している。


「思っていた以上だ。この世界にも携帯ゲーム機のような物があるのか?」

「ケイタイゲーム機……エイジが持っている物?」

「ああ、そうだが……」


 この世界にマッチした仕様の携帯ゲームだったため英治は、この世界にもあるのかと思った。


「ゲーム機はあった……でも、こんなにコンパクトじゃない」

「じゃあ……俺の居た世界のとコッチの仕様が、ミックスされてるのか」

「これは懐かしい。フェニックスクエストじゃないか」


 この世界でも、フェニックスと云う幻想的な神獣が信じられている。いや……実在するのだ。


「この世界のゲームか……やってみたい」

「俺が十歳の頃に流行ったゲームだぞ。確か今は配信されてないはずだ」

「ってことは表示されているだけなのか?」


 そう言い英治は携帯ゲーム機を隅々までみた。


「みせてくれ!」


 興味を示したルゼリウスは英治から奪うようにゲーム機をとる。


「そんなことをしなくても、みせてやるよ」


 いきなり携帯ゲーム機を取られ英治は不貞腐れていた。


「悪い……つい、な。それよりも、これは……ちゃんと動く」


 そう言いルゼリウスは早速ゲームをやり始めている。余程ゲームが好きなのだろう。


「ゲーム、か。昔、兄さんが遊んでたのをみてただけだけど。ずっとやってみたいって思ってた」


 ルゼリウスがやっているゲーム機を覗き込みティラベルは目を輝かせていた。


「もう一つ具現化するか? 色の指定があれば言ってくれ」

「イイの?」

「ああ……勿論だ。こんなもんで良ければ幾つでもイイぞ」


 それを聞きルゼリウスは、ふと何かを思いついたのか笑みを浮かべる。


「一度に幾つつくれるんだ?」

「待て……調べてみる」


 ガラス製のプレートを操作し英治は具現化できる数を調べ始めた。


「んー……一度に創れるのは今のレベルだと一つだけだ。でも無制限にできるぞ」

「そうなると……お前の体力次第か」

「そうなる……って、まさか大量に創れってことか?」


 そう言われルゼリウスは不敵な笑みを浮かべる。


「ああ、そのつもりだ。これだけの物が創れるってことは……他の物も可能そうだしな」

「なんで、そうなる? それに認めたって言葉を聞いてないぞ」

「そのことか、それなら問題ない。こんなもんを、アッという間に具現化できるヤツを信用しない訳がない」


 それを聞き英治は良かったと安心した。

 その後ルゼリウスから名前を聞かれ教える。

 そして、ルゼリウスもまた名乗った。


「それで、オレ達の仲間になってくれるんだったよな?」

「そのつもりだ。それに俺が別世界の人間ってことを聞いても仲間にって言ってくれてるしな」

「良かった! これで、エイジも仲間」


 ティラベルは向日葵のような満面の笑みを浮かべる。

 その笑顔をみた英治の頬は薄っすらと赤く染まった。


「ってことで……具現化してくれるんだろう?」

「構わないが、タダって云うのもなぁ」

「条件があるってことか?」


 そう問われ英治は頷き笑みを浮かべる。


「まあ……簡単なことだ。俺のことを裏切らないって保障してくれればいい」

「なるほど……それを破ったらどうする?」

「能力を使って何をするか分からない」


 妥当だと思いルゼリウスは条件をのんだ。

 そのあと英治は、ガラス製のプレートに内蔵されているメモ機能を開き誓約書を作った。

 次いでルゼリウスが誓約書の内容を読んでサインをする。

 それを確認した英治はガラス製のプレートを鞄に仕舞った。


「あとは、アジトに連れて行ってもらうだけだ」


 それを聞きルゼリウスは「コッチだ」と言い外へと向かい歩き始める。そのあとを英治とティラベルが追った。

読んで頂きありがとうございます(*´ω`*)


では次話もよろしくお願いします(^_^)☆

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