赤派と青派に起きた異変
赤派の様子が変だと思いルゼリウスはステルス浮游球体を奥へと移動させると……。
あれから赤派の様子がおかしいと思ったルゼリウスは更に液晶ディスプレイを操作する。
そして、ステルス浮遊球体を移動させて内部の様子を調べていった。
片や英治とティラベルは液晶ディスプレイを覗き込んでみている。
赤派のアジト内を移動しながら透明になっているステルス浮遊球体は画像を映し出していた。
「この辺にも人が居ない。もっと奥に居るのか?」
「ルゼリウス、待て! 何かみえた。床を映し出してくれ」
そう言われルゼリウスは停止させると床を映し出している。
「……血の跡だ」
「ああ、エイジ……まだ新しいぞ」
「血……誰の?」
誰のだろうと思いティラベルは口を手で覆い嫌な顔をしていた。
「それは、まだ分からない。だが、この血痕を辿って行けば」
「これだけみても……何か起きているのは間違いないだろうな」
「そういう事だ。じゃあ血痕の跡を追うぞ」
英治とティラベルは頷き液晶ディスプレイへ視線を向ける。
それを確認したルゼリウスは液晶ディスプレイを操作しステルス浮遊球体を移動させた。
この血痕は奥に続いている。右、直進、左、直進と進み移動した。
すると何やら声が聞こえてくる。それだけじゃなく床に血を流し三名の者が倒れていた。
「やっぱり何か起きているのは間違いない」
ルゼリウスは声のする方へ、ステルス浮游球体のカメラを向ける。
視点が変わり左腕に青いスカーフを巻いた二人組を映し出した。
赤派の幹部らなのだろうか二人と一対一で殴り合っている。
いや青のスカーフを身につけている二人が一方的に赤派の幹部を、ボコボコに殴り何か叫んでいるようだ。
「珍しい……青派が赤派に殴り込みとはな」
「そんなに珍しいのか?」
「ああ……赤派が青派に殴り込みを入れることなら何度も目撃してる」
それを聞き英治は、なるほどと納得する。
「青派を怒らせるようなことを赤派がしたってことか?」
「この様子だとそうだろう。タダ二人で殴り込みとなると……勝手に動いて戦ってるようにも思える」
「青派の指示じゃないってことか?」
問われてルゼリウスは頷いた。
「断言できないが……恐らく、この二人は何かあって勝手に動いたんだろうな」
「この二人……強い。余裕で赤派の幹部、倒してる」
「ああ……それに、みない顔だ」
なんで青派の二人が赤派に殴り込んだのか理解できないルゼリウスは困惑していた。
例えこの二人に関係することでだったとしても、おかしいと思っているから余計にである。
「なんか気になることでもあるのか?」
「やり方が青派と違う。赤派同士での抗争にもみえない」
「そうなると何方でもない……別の派閥じゃないのか?」
それを聞きルゼリウスは首を横に振った。
「派閥は他に存在しない。どっちにも所属していないのがオレ達だ」
「この二人……知らない」
「じゃあ……別の町や村からとかじゃないのか?」
少し考えたあとルゼリウスは軽く頷き視線を液晶ディスプレイへ向ける。
「それは考えられる。そうだとして、なんの利益が得られるんだ!」
「もし他の町や村の者だったとしたら、この町の資源……いや動力を奪うためじゃないのか?」
「エイジ……頭いい。その可能性ある」
キラッと目を光らせティラベルは笑みを浮かべた。
そう言われ英治は照れたらしく微かに頬を赤くする。
「確かに、それしか考えられない。そうなると……青派にも」
「それってあり得るな。青派にも、ステルス浮游球体を向かわせた方がいいかもしれない」
「今度は、ボクが操作したい」
そう言いティラベルは目を潤ませ英治をみつめた。
「そうだな……ティラベルも操作を覚えた方がいいい。ルゼリウス、それで問題ないか?」
「オレも同意見だ。但し壊すなよ」
「ルゼリウスと違う。分解しないから心配するな」
ドヤ顔でティラベルはそう言いきる。
「ドヤることでもないぞ。まあ……確かに分解したけどな」
そう言いルゼリウスは苦笑した。
その後ティラベルは英治とルゼリウスに教わりながらステルス浮游球体を青派へと向かわせる。
そして液晶ディスプレイを操作した。
「青派……やっぱり予想通り」
「ああ、そうみたいだな」
「これ……もし両派閥共におかしいと気づいた時って」
そう英治に言われルゼリウスの顔は青ざめる。
「冗談じゃねえぞ! オレ達のせいにされかねないだろうがよ」
「そうなったら大変……どうにかしなきゃ」
「まだそうとは決まっていない。だけど、なんらかの手を打っておいた方が良さそうだ」
そう言い英治は二人をみたあと液晶ディスプレイへと視線を向けた。
「その通りだ。だが、どうする?」
「あと二個のステルス浮游球体を使って、赤派と青派に殴り込んだヤツらをつける」
「やっぱりエイジは頭いい。つけて……アジトをつきとめる」
真剣な表情で英治は頷きティラベルをみる。
「じゃあ早速手分けしてやるか!」
「俺は、あと二つ液晶ディスプレイを具現化する」
「人数分……ボクのは可愛いのがいい」
そう言われ英治は頷き液晶ディスプレイを創るため妄想し始めた。
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