過去の後悔と今やるべき事
なぜあの時もっと必死で止めなかったのかとルゼリウスは後悔し……。
ティラベルの兄と仲間の数人が行動を起こし青派に乗りこんだ時に、なぜ止められなかったのかとルゼリウスは悔やんでいた。
「ルゼリウスだけのせいじゃない……ボクも同じ」
「それは……だけど、あの時……もっと強引にひきとめていれば違った」
「状況は、よく分からない。だけど……そうだとしても今更、過去に起こったことを悔やんだって意味がないんじゃないのか!」
ユックリと視線を英治に向けるとルゼリウスは軽く頷き「そうだな」と言葉をかえす。
「その通りだ。悔やんだって、あの時に戻れる訳じゃない」
「うん、そう。だから、もう……あの時のようなこと……起きて欲しくない」
「その通りだな。そういえば対策は何か考えてるのか?」
過去に悲劇を起こしているなら何か考えているんじゃないのかと英治は思い問いかける。
「考えていない。だが、そうならないように……なるべく両派閥と距離をとってはいる」
「なるほど……じゃあ、これからも何もしないつもりなんだな」
「それ違う。したいけど、できないだけ。だから助っ人を探してた」
それを聞き英治は「なるほど」と納得した。
「俺に声をかけた理由の中に、それも含んでたってことか」
「エイジ……なんでも具現化できる。それだけじゃない……あんなに高くジャンプしたから声をかけた」
「そんなに高く飛んだのか。みてみたいが、それはあとだ。それよりも本当に手伝ってくれるんだよな?」
ニヤリと笑みを浮かべ英治は頷き「そのつもりだ」と返答する。
「それで……携帯ゲーム機を本当に創るつもりか?」
「勿論だ。そのつもりでエイジ、お前を……ここに連れて来たんだからな」
「助っ人兼、生成をってことか?」
そう聞かれルゼリウスは首を横に振った。
「まだ……お前の強さが分かっていない。何方かっていえば生成の方を頼めるか?」
「それは構わない。だが携帯ゲーム機なんて大量に創って、どうする気だ?」
「売りさばく!!」
その言葉を聞いた英治は納得するも首を傾げる。
「そうだとは思った。だが誰に……まさか赤派や青派にってことじゃないよな?」
「いや、そのまさかだ。まあ……他の町や村に居る連中にも売るつもりだけどな」
「どうやって両派閥に売るつもりだ?」
英治は赤派と青派が買う訳ないと思い、ルゼリウスの言っていることを理解できずにいた。
「いきなり売る訳じゃない。先ずは、ここに居る連中に手伝ってもらう」
「それで……本当に上手くいけばいいけどな」
「不安なのか? そんなに心配することはない。俺たちは別に何方とも喧嘩をしている訳じゃないんだ」
そう言われるも英治は納得できずにいる。
「……じゃあ、どうやって製造したか聞かれたらどうするんだ?」
「そうか……確かに聞かれるな。その時はエイジが誤魔化せるような製造機器を具現化すればいい」
「今のレベルじゃ無理だ」
あまりにも無謀なことを言われ英治は機嫌が悪くなった。
「要はゲームのようにレベルが上がれば使える物って増えるんだよな?」
「多分……でも何処までの物が制限なしで、できるようになるか分からない」
「そういえば戦えるか分からない、って言ってたな」
急に話題が変って英治は、ルゼリウスの言いたいことを理解できず困惑する。
「なんで……いきなり話題を変えた?」
「別に話題を変えた訳じゃない。レベルを上げる方法が生成するだけなのかと思ってな」
「なるほど、そのことなら……ここにくる前に調べた。レベルを上げる方法は二通り……創作スキル【妄想】で多く生成する方法と攻撃して経験値を稼ぐ」
それを聞いたルゼリウスは、これならいけると思い口角を上げ笑みを浮かべた。
「それなら問題ない、な。そういえば経験値があるなら、ゲームのようにステータスも表示されるのか?」
「俺もそう思って調べたんだが……表示されないらしい。タダ生成レベルと経験値、戦闘レベルと経験値に総合経験値と総合レベルがプレートには表示される」
「それだけでも十分じゃないのか? まあ、どれだけの力があるのか気になるけどな」
これから面白くなりそうだとルゼリウスは浮かれている。
しかし英治は、まだ納得できていないことがあった。
「そのことについてはクリアできた。誤魔化し切れなかったらどうするつもりだ? 恐らく俺が創ったことを知られれば」
「その時は……その時に考えればいい。それにエイジが強くなれば、もしかしたら戦力になるかもしれないしな」
「適当だな。でも、それしかないか。俺も……どうなるか気になるし、やってみたい」
不安に思うも英治は今までのように安全圏に居たんじゃ前に進めないと思い納得する。それに今は一人じゃないと思ったからだ。
「楽しみ……どんなゲーム機ができるんだろう」
「この世界にマッチしたゲーム機を具現化したいと思ってる」
「ゲーム機だけじゃなくて……他の物も創ってほしいんだが」
そう言われ英治は「分かった」と言い頷き笑みを浮かべる。
その後も英治たちは話し合いをしていたのだった。
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