表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白魔女ちゃんとパーティ組んだら、アタシの堅実冒険者ライフが大崩壊! え、ちょっと待って。世界を救うとか、そういうのはマジ勘弁して欲しいんスけど……!~記憶の魔導書を巡る百合冒険譚~  作者: 難波霞月
第1期 第2章 ゴブリンたちと森の秘密

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/73

第23話 おふとんのなかでじゃれあい

 それから、ミーシャたちは、伸びたゴブリンを戸外の適当なところに転がすと、ヨーゼフの家に戻る。

 ハンナやおかみさんは、まず2人にけがはなかったか、ついで男たちは大丈夫か、最後に外の様子を聞いてようやく安堵した。

 

 「嫁入り前の娘さんに、傷でもついたら大変だよ。2人とも別嬪さんなんだからねえ」

 

 ハンナはそういって、戻ってきた2人をぎゅっと抱きしめた。

 

 それから少しして、男たちが戻ってくる。一息入れて気持ちを落ち着けるために、ミルク茶をみんなで飲み、しばらくして寝ることにした。

 このころの農家というのは、たいていは家族全員が一つの部屋で寝る、いわゆる雑魚寝である。

 2人は客人だということで、ヨーゼフ一家とは別の部屋をあてがわれた。

 ハンナがわざわざちょうどいいくらいにこなれた藁をシーツに包んで床に敷き、掛け布団に大きな羊の毛織物を持ってきてくれた。

 巡礼者や修道女を受け入れているとあって、手慣れたものだ。

 

 「今日も一緒の布団で寝るんですね」

 

 濡らした布で顔や体を軽く拭いたミーシャとエリサは、お互い下着姿になって、向かい合って座っていた。

 ランプの小さな灯が、ごくわずかな明るさをもたらし、互いの姿をかろうじて見せる。

 夜目の魔法もすでに効果は消え、相手がどのような表情なのか、あまりうかがい知れない。

 

 「エリサは、嫌……じゃない?」

 

 「どうしてですか?」

 

 「いや、だって……アタシたち、まだ出会って3日もたってないじゃない。それなのに、毎日一緒の布団で寝るなんて……」

 

 「ミーシャさんは、嫌なんですか?」

 

 「そんなことない! そんなこと、ないけど」

 

 「ないけど?」

 

 「……ちょっと恥ずかしい」

 

 すると、エリサはいきなりミーシャの胸に抱きつく。

 

 「何いってるんですか。昨日だって一緒に寝たじゃやないですか」

 

 いきなりエリサに抱きつかれ、慌てて両の腕で彼女を抱きとめたミーシャは、

 

 「ま、まあそれはそうだけど」

 

 「大丈夫ですよ。ミーシャさん、いびきもかかずに、寝言も言ってませんでしたよ」

 

 「そ、それならいいんだけど」

 

 「寒いから早くお布団入りましょう」

 

 (なんだか昨日も、お風呂に入る際にそんなことを言われた気がする)

 

 エリサは、羊の織物をまさぐって手元に引き寄せると、ミーシャに抱きついたままそれをがばっと被った。

 そのまま、なしくずしに、ミーシャはエリサに押し倒される。

 ミーシャはエリサを胸に抱いたまま、布団に横たわった。エリサの花の蜜のような香りが立ち込める。

 正直言うと、ミーシャは自分の手をどこに置けばいいのか、困惑していた。今はエリサの背中をホールドする形になっているが、

 (本当は、いろんなところを触ってみたい)という妙な気持ちと、

 (いやいや、そんなことしたらヘンタイじゃないか)という理性のはざまで揺れ動いている。

 

 一方のエリサは自由そのものだった。しなだれかかったまま横たわったことで、両手がふさがってしまう。そのため、もぞもぞとミーシャの腰のあたりから藁の敷布団をもぐり、ミーシャの背中あたりに両手を回す。2人がより密着するが、エリサの顔は、ちょうどミーシャの両の乳房のはざまに摺り寄せる形になった。エリサはそこに頬ずりする。

 

 「わたしよりもたっぷりあっていいなあ……」

 

 「ちょ、ちょっと。恥ずかしいって」

 

 ミーシャは、自分の顔が紅潮したのを感じ、身をよじる。

 

 「それに、腹筋が硬くてカッコいいですねえ」

 

 エリサは、後ろに回していたはずの手をいつのまにか前に戻し、人差し指でミーシャのへそのあたりを、すうっと一撫でする。

 

 「…っ」

 

 ミーシャはエリサの指が敏感な部分に触れたことで、全身に電撃が走ったような感覚を覚えた。

 ぞくぞくっとした蟻走感。とはいえ、けして不快なものではない。体の芯が、急に熱くなるのを感じる。

 

 「え、エリサだって、繊細できれいな肌してるじゃない」

 

 仕返しとばかりに、ミーシャはエリサの背中を下着の上からするりと撫でる。

 

 「ひゃ! くすぐったい!」

 

 「そう、くすぐったいの?」

 

 びっくりしたエリサにちょっといじわるしようと、ミーシャはエリサの背中全体をさわさわと指で撫でまわす。

 肌着の感触の上からでも、エリサの肌がふにふにしていることがわかる。子猫や子犬のお腹を撫でているようだ。 

 

 「ふ、ふわあ……っ……んくっ」

 

 エリサが急に変な声を出し、ぎゅっ、と体をこわばらせたのをミーシャは感じた。もぞり、とエリサが掛け布団の中で足をくねらせる。

 

 「ご、ごめん。だいじょうぶ?」

 

 「……だいじょぶ、です」

 

 布団の中から、ちょっと上気気味の、エリサの声がする。

 ちょっと気まずいかな、という思いがミーシャの中にこみ上げるぐらいの沈黙。

 

 ろうそくの灯がちょっとゆらめいた。遠くの方で、羊が小さくべぇ、と鳴いたのが聞こえる。

 2人はずっと黙っていて、お互いの息遣いが聞こえるようだった。

 ややあって、エリサがその沈黙を破る。

 

 「まだわたしが師匠と一緒にいたころ、毎日一緒のお布団で寝てたんです」

 

 「そうなの?」

 

 「たぶん、まだ小さかった頃、のような気がします」

 

 「のようなんだ」

 

 「記憶がおぼろげにしかなくて……もしかしたら、一緒に寝たのも空想かもしれません」

 

 エリサがそういうと、ミーシャは少し強くエリサを抱きしめた。

 

 「師匠のところを出てから、ずっと一人だったから、だれかとこうやって一緒に過ごせることが、わたしはとてもうれしいんです。一緒に歩いたり、ご飯を食べたり、お風呂に入ったり、同じ布団で寝たり……」

 

 「そっか」

 

 ミーシャは、布団の中から顔を出さないエリサの頭を優しくなではじめた。

 

 「……ミーシャさんの撫で方、師匠にそっくりです」

 

 しばらく押し黙っていたエリサが、ぽつり、といった。

 そういうところは覚えているんだな、とミーシャは思った。

 

 「もうちょっと撫ででもらっても、いいですか?」

 

 エリサが布団の中でもぞもぞと丸くなるのをミーシャは感じた。

 ミーシャは「いいよ」といって、そのまましばらく撫で続ける。

 ランプの油がなくなった。すぅ、とあたりは真っ暗になる。

 

 やがて、どちらからともなく、すぅすぅと寝息を立て始め、2人は眠りに落ちていった。

平日月・水・金の21時半更新です!


もしよろしければ、評価、ブックマーク、感想などお寄せいただけるとありがたいです!

レビューやSNSでシェアしていただけると、とてもうれしいです。

では、また次回もよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ