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26 自分自身の心を誤魔化すな!

 大陸暦718年1月12日 15:00 軍事城塞コトー

 ソレイユ軍とフェアリー軍の開戦から1時間後、第2軍のオーベルシュトルツ軍は、軍事城塞コトーを包囲していた。

 軍事城塞コトーの最上部では、アードラー帝国に寝返ったバイイ伯爵が不安がる参謀のボルドーとともに、遠巻きに囲むオーベルシュトルツ軍を眺めていた。

 肥満で膨れた腹を押さえながら、バイイ伯爵がニヤリとする。

 「ふん、この難攻不落の軍事城塞コトーを落とすつもりか。片腹痛いわ」

対照的に細身小柄のボルドーが、血の気の引いた顔を引きつらせてうわずった声を出す。

 「バイイ伯爵様、しかし、敵の将はあのアードラー帝国軍4大軍神の1人、オーベルシュトルツ将軍です」

 「ボルドー、何を(おび)えているのだ。もう少しの辛抱(しんぼう)だ。こちらの4大軍神、謀神のデューク・フォン・フェアリー将軍がソレイユ軍を打ち破り、オーベルシュトルツ軍の背後から急襲するはずだ。

 その時に、我が軍がこのコトーから打って出て、挟撃すればよいだけのこと」

 「・・・バイイ伯爵様のおっしゃる通りです」

 「ボルドー、それはではこの軍事城塞コトーに籠り、固く門を閉じたまま決して動く出でないぞ。もう一度、兵に徹底しろ」

 「はっ」

ボルドーは、コトーから動くな、の指示に安心したように答えた。


 大陸暦718年1月12日 17:00 軍事城塞コトー

 ソレイユ第2軍のオーベルシュトルツ軍は、篝火(かがりび)()いて、遠巻きにしているコトーの城壁を照らしている。

 そこに第1軍のソレイユ軍が到着した。

 ソレイユの簡易幕舎に、オーベルシュトルツとジャンが入って来て報告する。

 「ソレイユ様、軍事城塞コトーに籠るはバイイ伯爵と兵4万」

 「コトーには人質が多数いるとのことだ。その全てを救出したい。

 オーベルシュトルツ、指示した通りコトーへの攻撃はまだ行っていないな」

 「はい、包囲のみです」

 レンがオーベルシュトルツに目で合図を送る。オーベルシュトルツは黙って(うなず)く。

 ソレイユの後ろに立つレンが口を開く。

 「ソレイユ様、軍事城塞コトーはオーベルシュトルツ殿が預かっていた城塞です。その時に、再奪還を想定して、仕掛けをつくってあります」

 「何! それは誠か」

 「コトーはパリリスを守る重要な軍事城塞、アードラー帝国軍が真っ先に狙う地となります。勝手ながら、レン殿の指示によって、奪回策を忍ばせてあります」

 ソレイユはレンを睨んだ。レンは眉一つ動かさずにいる。

 「その奪回策を説明してくれ」

 「軍事城塞コトーの城の地下と、1.5kmほど南の谷を繋ぐ通路を掘ってあります。その通路から兵1,000は送れます」

 「突然コトーの地下に現れた1,000名の兵士が、城の上部にある司令官室に奇襲をかけたり、城門を密かに開けたりできるということか」

ソレイユはオーベルシュトルツを見て確認した。

 ソレイユは振り向いて、レンに尋ねる。

 「レン、司令官室の急襲作戦及び、城門の開門から突撃する作戦の場合に想定される戦死者は?」

 「司令官を殺害または捕虜とした場合には、戦死者、我が軍40~300、敵50~400名。

 城門からの突撃の場合には、我が軍7,000~8,000、敵7,000~8,000といったところでしょう」

 「レオン部隊のトネール砲を使用した場合にはどうだ」

 「我が軍0~200、敵4,000~6,000」

 「人質の救出を優先すると共に、敵味方に限らず戦死者を極力抑えることを基本としたい。

 コトーに立てこもる兵は敵兵とはいえ、数日前までは、同じオロール王国の民だった。バイイの寝返りによって、多くの兵たちが己の意思とは無関係に、裏切り者の汚名を着せられたのだからな」

 ソレイユはレンの瞳をじっと見て続ける。

 「よって、コトーの兵たちに汚名を注ぐ機会を与え、その誇りを取り戻させる作戦でいきたい」

レンは暫く黙って考え込んでから、

 「・・・ソレイユ様、文面はいかがしますか」

と、ソレイユがコトーを守る兵に投降を呼びかける書面を送るつもりだと判断して尋ねた。

 ソレイユはレンに笑みを向けると、文面を口に出す。

 「軍事城塞コトーの兵士に告ぐ。

 ソレイユ軍はアードラー帝国軍4大軍神、謀神のデューク・フォン・フェアリー将軍とその軍を打ち破った。司令官バイイが頼みとしていた救援軍はもう存在しない。

 バイイの裏切りによって、汚名を着せられた兵士の諸君。立ち上がれ! 

 親のため、妻子のため、そして己がためにその名誉を取り戻せ! 

 自らの意思でオロール王国に、その誇りと共に戻って来るがよい!

 明後日の朝までに、武器を捨てて城門から出て来る者の罪は問わない。

 罪を負うべきはバイイである」

 「承知しました。20通作成し、矢文として城内に放ちます」


 軍事城塞コトーに矢文が射かけられた。そして、巨漢のジルが城壁の下から大声を上げて、この文を読み上げた。

 コトーの城壁からは反撃や罵倒(ばとう)などはなく、水を打ったように静まり返っていた。松明(たいまつ)の橙の篝火が揺らぎ、時折ぱちぱちと()ぜているだけであった。

 ジルが馬首を返し戻り始めると、城壁上から静寂を破る大声が響く。

 「今、降伏を呼びかける文を読み上げたソレイユ兵に聞きたーい!」

 ジルは立ち止まり振り返る。その眼には城壁の石壁に1人の兵士が仁王立ちしていた。

 「解放の英雄ソレイユ様は、俺たちのような祖国に反旗を(ひるがえ)した兵士であっても、祖国オロール王国に戻ることを許すつもりなのか!」

 その声は夜の城壁や平原の闇に響き渡った。コトーの城壁の上や城内にいる兵士たちは、この兵士への回答に耳を澄ませていた。

 ジルは馬から降りると、腹から深く息を吸い込み、ゆっくりと明瞭な口調で返答した。

 「俺はオロール王国ソレイユ軍のジル・コランだ! その質問に回答する!

 お前たちは、オロール王国の民を傷つけたり、その命を奪ったりはしていない。

 それどころか、お前たちは、まだ何もしていない! その何もしていないことこそが問題なのだー!

 ソレイユ様は、バイイの裏切りによって、汚名を着せられた兵士諸君を哀れみ、自分自身で誇りを取り戻す機会を与えてくださったのだ。ソレイユ様のお心を信じろ!

 今、何をすべきか、自分で考えろ! 他人のせいにして、自分自身の心を誤魔化すな!」

ジルの声は城壁を飛び越し、夜の闇に浮かぶ城の上部の石壁にこだました。

 「ジル、それは誠だろうな。孫の代まで及ぶ裏切り者の誹りを、免れることができるのだな」

 ジルは声のトーンを落として、語りかける。

 「それは、お前の心根次第だ。だが、こちらを信じなければ、何も変わらん。お前が行動しなければ、何も変わらん。

 考えてみろ。我々は、コトーに(こも)る兵たちの命を、ただの1つも奪っていない」

 篝火に照らされたジルの顔に笑顔が浮かんだ。その愛嬌(あいきょう)のある笑みが、城壁の兵との精神的距離をぐっと詰める。

 「・・・・ジル! 話は分かった」

 ジルは乗馬すると馬首を返し、ソレイユ軍の陣へと戻って行った。


 ソレイユはジルが帰陣すると、

 「ジル、我の真意をよく代弁した。ご苦労だった」

と声をかけた。

 「ソレイユ様の言葉を伝えるだけだと考えておりましたが、城壁の兵士から疑問を投げかけられた時に、初めて自分の責任の重さを痛感し、ぎょっとしました。

 俺の返答次第では、数万の死傷者が出ると・・・心が震えあがりました」

 「ジル、命を尊いものだと信ずる其方の心が、降伏への脅しではなく、生き方の選択肢として示すことになったのだと感じた」

ソレイユはジルを温かい眼差(まなざ)しで見つめ、肩に手を置いた。

 「そう言っていただけるだけで、やって良かったと思います」

ジルは満面の笑みを浮かべた。

ソレイユは、包囲するソレイユ軍を500m下げた。


 大陸暦718年1月13日 0:00 軍事城塞コトー

 コトーの城壁から1本のロープが下がり、それを伝って4人の兵が城外に降り立つと、そのままソレイユ軍に投降して来た。

 「我らソレイユ軍に投降します。

 我らは人としての誇りを取り戻します。願わくは、オロール王国民として、生を全うすることをお許しください」

 「案ずるな。其方らは、元々オロール王国の民。

 その元気な顔を、親や妻子に見せてやるとよい」

ソレイユは投降兵の顔を見つめて、声をかけた。

 再び、ソレイユ軍とコトー城壁で炊かれた篝火で僅かに照らされた薄明りの中で、ロープにぶら下がる人影がらしきものがいくつも見える。

 静寂に包まれた城壁では、右に左に走る人影が篝火を断続的に(さえぎ)る。

 城壁から何十本ものロープが音もなく垂れ下ると、それを伝い降りて来る兵が続いた。

ついには、コトーの城門が半開きとなり、白目だけが異様なほど篝火に照らされた兵士が、両手を上げて駆け出して来た。その駆ける兵たちの列は際限なく続く。

 投降兵たちは、臨戦態勢のソレイユ軍1万3000の真っただ中に集められていく。


 群青色の空が白み始め、橙の光が照らす頃には、投降兵はソレイユ軍を上回る数となっていた。それでも城門から出て来る兵士の列は続き、登る朝日に顔や胸が白く輝いて見えた。


 大陸暦718年1月13日 8:00 軍事城塞コトー

 半開きの城門が完全に開き、中から後ろ手に縄をかけられた十数名と、女子供の数十名を従えて歩いて来る兵士たちがいた。その兵士たちは、ソレイユの前に片膝を着いて述べる。

 「我らを祖国オロール王国への帰順をお許しください」

 ソレイユはその兵を見つめると、腕や脇腹に刀傷があった。後ろの兵たちも同様であった。

 「オロール王国の民が無事に戻って来たのだ。リヤン・レクス・オロール国王もお喜びになるはずだ。

ところで、其方の後ろで縄に掛けられている男たちと、子供や女性について説明がほしい」

 「アレクシ・フォン・バイイ伯爵とその参謀のボルドー、その他一部の重臣たち、その後ろに控えます子供や女性は、人質として捕らえられていた者たちにございます」

 「そうか、人質を無事に救出できたのだな」

 「はっ、バイイ伯爵はアードラー帝国に寝返るにあたり、重臣や主だった指揮官の妻子を人質にして、従わせておりました。

 バイイを連行して来た我らは、妻子を人質に捕られていた者たちです。

 人質を救出した後に、バイイたちを捕縛しました」

 「これから、我らは、勝ち目の無くなったバイイに、人質解放を呼びかけるところであった。それを自ら成し遂げるとは・・・其方の名は何と申す」

 「モンジェ・ダインと申します」

 「モンジェと皆の者、ご苦労であった」

ソレイユは満面の笑みで、モンジェたちを(ねぎら)った。

 ソレイユは殺気を込めた視線を縄目にされた男たちに向ける。

 「ひっ、ひーぃ。どうぞ命だけはお助けください」

 「ひゃー、ひ、人質は全員無事です。お許しください。」

 「ご慈悲を」

 狼狽(うろた)える重臣たちを横目に、バイイはその肥大化した体型通りの太々しさで指図する。

 「ソレイユ、この縄目を解かぬか。

 このバイイは、国王陛下から信任の厚いアレクサンドル王都担当大臣とは昵懇(じっこん)の仲だぞ。其方の身を案じて警告してやろう。早く縄目を解け。

 ・・・今なら温情をかけてもよいぞ」

 「其方がバイイ元伯爵か。配下の者を従わせるために人質を取るとは、どこまで卑劣な奴だ。

 其方は祖国を裏切った。我の身を案じるよりも、己の身を案じるがよい」

 「・・・待て、このようなことは、アレクサンドル王都担当大臣が許さぬぞ」

 「・・・敵将として、礼を尽くす価値もない。

 この期に及んでも、まだ己ではなく、他人の持つ権力をあてにするのか。なまじ高貴な貴族に生まれたばかりに、大事なものを失っているようだな」

ソレイユはそう言い残すと、話す価値はないとばかりに背を向けた。

 ソレイユは人質となった女性や子供たちに近づき、その心中を察して、ゆっくりと言葉をかける。

 「自分たちが人質にとられ、夫や父親が異論を唱えられず裏切り者の(そし)りを受けることになるとは、妻として子として、さぞ辛い思いをされていたことだと思う。

 ・・・もう、安心だ。其方らの夫や父親は、勇気を出し、誇りを取り戻した」

 「ま、待て、ソレイユ将軍! アレクサンドル王都担当大臣に会わせてくれ・・・」

バイイは膝立ちになり、必死の形相でソレイユに懇願した。

 レンが膝立ちでじりじりと詰め寄るバイイの体を押さえ、冷静な口調で(たしな)める。

 「バイイ元伯爵、最後は威厳をお示しください。そうでなければ、貴方に付いて来て縄目を受けた重臣たちが浮かばれません」

 そして、レンはバイイの耳元で(ささや)く。

 「主として、重臣たちのために、ご覚悟を決めた姿をお示しください」

 「下がれ、下郎(げろう)!・・・ソレイユ将軍・・・アレクサンドルに会わせてくれ」

 レンは(あき)れた表情をして、更に囁く。

 「アレクサンドル王都担当大臣は正気を失い、国王陛下に対して不敬を働いたため、現在は投獄中です」

 「なっ! ・・・」

 ソレイユが振り向き、冷徹な視線でバイイを刺す。

 「アレクサンドルとは、獄中で会うがよい」

 「・・・・」

バイイは力なく崩れるようにしゃがみ込むと、項垂(うなだ)れた。

 「・・・我は(あお)ぐ主を見間違えたのか・・・」

参謀のボルドーもその場で項垂れた。

 レンが兵に合図を送ると、バイイたちはそのまま連行されて行った。

 人質であった1人の赤毛の女性がソレイユの背に声をかける。

 「ソレイユ様、オーギュストはどうなりましたか。青みかかった銀の髪の若い男性です」

 「オーギュスト・・・あのバイイの副官のことか」

ソレイユは振り向いて赤毛の女性を見つめた。

 「オーギュストは私の婚約者です。

 ・・・私が人質として捕らえられていたために・・・このコトーを離れて少数で戦地に向かいました」

 「・・・其方がマリエットか」

 「はい、マリエットです。なぜ私の名を・・・」

 「オーギュストは、我の命を狙う刺客として送り込まれて来た男の名だ」

 「! 申し訳ございません。ソレイユ様、お許しください。申し訳ございません・・」

マリエットは地に額を着けて泣き叫ぶようにして、何度も謝罪を繰り返した。

 「オーギュストは、我の暗殺に失敗した後に、自害を図った」

 「・・・オーギュスト様・・・では、もうこの世には・・・」

 「アードラー帝国軍暗殺者オーギュストは、自害して果てた」

 「・・・うううっ・・・ううっ・・・オーギュスト・・・うう」

マリエットは地に額を着け、指で泥を掴むようにして嗚咽(おえつ)した。

 ソレイユは眼でレンに合図した。レンは兵に何やら命じた。

 しばらくすると、兵に連れられて1人の男がやって来ると、その男はマリエットの肩にそっと手を置く。

 「・・・マリエット・・・マリエット」

マリエットは、聞き覚えのある声に、視線が上がる。

 「マリエット、すまなかった」

 「・・・オーギュスト・・・」

 「マリエット、心配をかけてすまない」

オーギュストはマリエットを抱きしめた。

 「あぁ、オーギュスト・・・」

 「ソレイユ様、ありがとうございます。またマリエットの顔を見ることができました」

 「オーギュスト、其方がコトーに多くの人質がいることを知らせてくれたお陰で、全て助け出すことができた」

 「ソレイユ様・・・」

 ソレイユはマリエットとオーギュストを見て、

 「マリエット、我の命を狙ったアードラー帝国軍のオーギュストは、自害して果てた。よって、其方に会わすことはできぬ。

 だが、オロール王国のオーギュストになら、会わすことができる」

 「・・・ソレイユ様、ありがとうございます・・・ありがとうございます」

マリエットの(ほお)には、喜びの(しずく)が伝い落ちていた。

 オーギュストは姿勢を正し、ソレイユに片膝を着いて頭を下げる。

 「ソレイユ様のお命を狙った身なれど、この命をお使いください」

 「オーギュスト、その命で、マリエットを大事にしてやれ」

 「承知しました。オロール王国が勝利を掴んだ後に、そうさせていただきます。

 それまでは、オロール王国民としてお仕えさせてください」

 「・・・デュラン!」

ソレイユが叫んだ。

 「ソレイユ様、そんなに叫ばなくとも、ここにおります」

 「デュラン、オーギュストは其方にあずける」

 「え、ちょっと待ってくださいよ。オーギュストって、ソレイユ様の命を狙った者ですよね。いくらなんでも、寛大過ぎやしませんか。

・・・しかも、なぜ俺に?」

 「デュラン、忘れたとは言わせないぞ。

 其方も我の命を狙って、戦場どころか、我の部屋まで忍び込んできたではないか。

 あの時、デュランにも寛容過ぎたのかな」

 「ぐぅぅぅ、痛いところを・・・それを言われると、ぐうの音も出ないな。あ、出たか、でたよね今。

ん?・・・まさか、ソレイユ様の暗殺経験者同士だから組ませた?」

 「理由など、どうでもよい。頼んだぞ」

ソレイユはそう言うと、(きびす)を返して歩いて行った。

 デュランはソレイユに向かって右手を上げ、指をパタパタ動かして、

 「ちょっと・・・」

と呼び止めたが、ソレイユは立ち止らなかった。

 デュランはオーギュストに両掌(りょうてのひら)を向け、指をぴくぴくさせてまじないをかける素振りをする。

 「オーギュスト、不幸な呪いは解いた。俺と・・・お前、失敗から人生をリボーンだ。

 愛しい子との別れはもう済んだのか? あぁ、そっちじゃない。そっちの経験豊かなご婦人、笑顔で振り向かないで・・・こっちの子のことだ」

 オーギュストはマリエットを見つめる。マリエットも見つめ返す。

 「マリエット、オロール王国民として行って来る」

 「はい、ご帰還をお待ちしております」

 「「・・・・・・・・・・」」

 「・・・いつまで抱擁しているんだ。オーギュスト、ついて来い」

デュランは、オーギュストにまじないをかける素振りをしながら声をかけた。

 

 ソレイユは白馬雪風に跨り命じる。

 「第2軍オーベルシュトルツ隊、軍事城塞コトーへ入城せよ」

 「はっ」

 かくして、ソレイユ軍は軍事城塞コトーを無血開城させ、これに入城した。


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