第13話 お姉様が来てくれたの~
「ワー、楽しいのです」
「楽しんでもらえて良かったの~!」
「ニャン!ミャー」
今、私は現実逃避をしている。
もう、いくらあるか分からない。
聖女様と砂場遊びをしている。
裏庭に作ってもらった。
これくらいの贅沢は良いだろう。
聖女様はお山を作っている。
ほお、中々上手いな。トンネルを掘っているぞ。
あ、クロイツ君だ。
「懺悔するの~?聞かれて困らない話なら、砂場遊びをしながら、話すの~!」
「クロイツ様、今は私がメアリーちゃんと遊んでいるのです!」
あれ、クロイツ君を聖女様に紹介しようとしたら、既に知っていた。
「分かりました。着替えて参ります」
「フン!ダメなのです。クロイツ様はそこで見ているのです!!」
「ダメなの~!アリス様はお姉さんなの~クロイツ様もやるの~!砂場は仲良く使うの~」
「シュンなのです。グスン」
「ごめんねなの~」
「砂場遊び参加させてもらいます」
ほお、クロイツ君は、丁寧に街を作っている。
アリスちゃんは私の近くによる。
二人はお似合いだと思うが、そうか、聖女様は王族と結婚するから、むやみに殿方と仲良くなってはいけないのか?
「遊びながらで結構ですので聞いて下さい。社交界でメアリー様が話題です」
「そうなの~関係ないの~」
「他人事ではありません。メアリー様の資産を求めて縁談を目論む輩がいます」
「何ですと~~!」
「メアリーちゃん!お嫁に行かないのです!アリスと仲良しで暮らすのです」
「もう、メアリー様の資産は小国の予算規模です。うかつに婚約など出来ません。王宮で協議されています」
「もお、どうでも良いの~、全部王国に寄付するの~」
「そうもいきません」
「謹慎中なの~!」
「それも、協議中です。懺悔に縁談目的で殺到しますから、要注意ですよ」
それから、クロイツ君の警告通り。懺悔には私と同じくらいの男子が来るようになった。
正直に言う子もいれば
「あの、母上にここに来るように言われて、メアリー様の気を引いてこいと言われました。僕の家は、海運業をしています」
「帰るの~!」
「さあ、お帰りはこっちです!」
クロイツ君、目を光らせてくれている。
また、オラオラ系もやってきた。
「俺、デートの仕方わらかなくてよ。お前で試してやんよ、何が好き?父上に言って用意させるわ。俺の家、今はときめく」
「懺悔じゃないのなら、帰るの~!」
「あん?何だって、俺様が誘っているんだぜ!」
クロイツ君が割って入ってくれた。
「さあ、帰りなさい!」
「ああん?って、何で大人の家来がこんないるんだよ!おい、掴むな!」
フウ、難儀だな。嫌だな。この世界では婚約は早いのだっけ?
何故だ。前世でモテモテなら良いのに。
しかし、修行と懺悔業務をしていたら、トンデモない事実が判明した。
「あの、その、メアリー様は、どうして、こんなに素晴らしいのですか?」
「ニャに?」
三十前の女性だ。ネックレスから精霊教のようだ。
何故だ?若干、引いている。
後ろを見ると、信者達がニヤニヤ立っていた。
まさか、
「貴女は何故来たの~ここだけの話で良いから話すの~」
「はい、実は、私はメアリー市場で働いているものです。ここで働くには、改宗しなければならないと言われて・・・・グスン」
「何?!」
話を聞くと、屋台を5,6人に囲まれて、ここに連れてこられた。
何だ。オルグか折伏か?
「入らなくていいの~市場規則では魔族教以外は大丈夫なの~!」
「そ、そうですよね」
「ごめんなしゃいなの~絶対に布教させないの~」
「有難うございます。しかし、不安で、その、ここの修道院の方々、目がギラギラして・・・」
「分かったの~」
だから、私はお絵かきを渡した。前世では絵のスキルはなかった。
現世では子供のお絵かきだ。
「これを飾っておくの~、布教する者がきたら、絵を見せてメアリーと仲良しと言うの~」
「はい、有難うございます」
集会を開こう。
☆☆☆全メアリー集会
「ダメなの~、布教はしてはいけないの~!」
ザワザワザワ~
「私達は美味しい料理を勧める気持ちで、メアリー様を紹介したのです」
「何故です!布教は正義の行いです!」
「いくらメアリー様でもあんまりです」
「メアリー様叱って!」
「馬鹿なの~!布教は資格のある者じゃなきゃしてはいけないの~!」
これはあれだ。宗教の負の面が出てきた。膨張だ。
いや、元々、宗教は戦争のツールだったという説がある。
逆なのだ。
ホモサピエンスはネアンデルタール人の生息域において生存競争で負け続けていた。
しかし、7万年前に認知革命が起きて、虚構を生み出した。この場合、宗教だ。
それ以来、部族が団結して、ネアンデルタール人を圧倒。
世界各地に移住し、先住人族や、大型哺乳類を絶滅させて来た。
十字軍もゴロツキの集まりだったが、逆に神の名の下にゴロツキがまとまった。
日本では、信長先生や家康先生の強敵は一向宗で、全国で一枚岩の団結を誇って対抗した。
勇者、聖女を生み出し魔王討伐をする。女神教のシステムも戦争そのものじゃないか?
さて、どうする。
「メアリー宮殿を作りましょう!」
「メアリー様、金のシスター服を着るべきです」
「そうよ!女神教メアリー派を立ち上げましょう!」
困った。こんな時はどうする。
原因は何だ。
「みんな~、今の女神教に不満なの~!」
シーーーーーン
この世界の人族は女神教一強、不満を言えないか?
「本当の懺悔をするの~!」
そもそも教区をまたいでここに来る者もいる。
一個、一個、信徒の不安を解消するべきだ。
「あの実は、私が元いた教会では、司祭様からセクハラを受けます。その。下履きの色は何色とか聞かれます。グスン」
変態親父か?
「なら、こうするの~」
☆王都デマリー女神教会
ほほー、いいな。今日は沢山お姉ちゃんが来ているぞ。今日もいろいろセクハラを出来る。
と司祭はニヤと心の中で下卑た笑みを浮かべるが。
「懺悔をして下さい。ほう、若い女性ですね。下履きの色を教えて下さい。いえ、これは健全な異性との交流を目的としたものです。適切な下履きの色なら正しい夫婦生活を送れるというものです」
「黄土色、ウンチもらしてもばれねじゃん」
「はい?」
「お~い。皆、司祭様は下履きの色をご所望だ。きちんと答えろよ!」
「「「はい!司祭様は下履きの色をご所望ですね!」」」
娼婦のお姉様たちにお願いをした。
「ダマリー教会の司祭様の下履き懺悔はきくよ~!」
「ヒィ、やめてくれ!」
と大声で宣伝をしてもらった。
娼婦は聖と俗、両方から離れた存在だ。こういう役にうってつけだ。
後にこの司祭は見習いに降格した。40過ぎなのに教会の伝達ボーイをしていると聞く。
「お姉様方、有難うなの~」
「良いってことさ。娼婦でも皆の役に立つなんて、嬉しいぜ!」
また、不正に献金を求めている教会には、聖騎士に護衛された高位神職が訪れた。
☆☆☆ゴールド女神教会
ドン!
「女神教査察隊である!帳簿を改めたい。建物を修繕する目的で信徒達から一人銀貨10枚を集めたと告白が来ている」
「ヒィ、そんな。たった銀貨10枚ですぞ!」
「集めておいて、修繕をしていないではないか?裏金にしているのは明白だ」
「庶民にとって、銀貨10枚は大金だ」
「そんな告発、今までは取り上げなかったのに!」
「聖女アリス様の署名が入った告発文だ!お前の上司も失脚したぞ」
「ヒィ、あの幼女が?」
これは、アリス様のお力をお借りした。
組織は必ず腐敗する。問題は腐敗した者を処分できるかどうかだ。
それが出来るかどうか。大きな問題だ。
不満を取り除いてやった。集まった信徒達も安心して元いた女神教会に戻るだろう。
と思っていたら。
「「「「メアリー様!メアリー様!メアリー様!」」」」
更に熱狂しやがる。
何故だ?
何故、こんな幼女に熱狂する。意味が分からない。
ヤバいな。こんな時にお姉様が来てくれたら、お姉様、断罪してくれたお姉様。
そう言えば、欲しがりをした謝罪をしていない。
あのときは気絶をしたからな。
そんなとき。
ドン!
【皆様!このメアリーは欲しがり妹、メアリー・スーです。騙されないで下さい!】
と熱狂を冷ましにやってきてくれた。
最後までお読み頂き有難うございました。