表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/14

第12話 崩壊は突然やってきたの~

 それは、突然、やってきた。



 ☆スー商会



「まあ、ドレスが何の脈絡もなく並んでいる・・・」

「でも、探すのが面白いかも」


「いらっしゃいませー」


「あの、店員さん。この張り紙は?」

「土地小口債権募集と書いているわ。ここ、ドレス屋さんよね」


「あ、お嬢様が土地に関連する取引をしているみたいで、難しい話なので無視して結構ですよ」


「お嬢様って商会長よね。どこにいらっしゃるのかしら」


「なんかー、最近は学園にもいかないで、喫茶店を借り切って難しい商売をしていますよ」


「今更、土地なんてね」

「「ねー」」




 ☆☆☆王都商業地区喫茶店「ゴールデンスー」



 オリビアは買い取った喫茶店を拠点にし、ここで土地取引に専念をしていた。



「では、お集まりの皆様・・・あら、少ないわね。本日の目玉、王都商業地区4の辻の3番地の土地とその上物、三階建て商館の売買を行います。希望される方は?」


「「「「シーーーーーン」」」



 こんな時もあるわ。



「・・・・次、王都北門地区の貯水池通りの空き地を希望の方は?」


「「「シーーーーーーン」」」



 ・・・・



「はあ、はあ、はあ、皆様!真面目に参加して下さいませ!」



「ワシら、いつも酒を飲みに来ている冷やかしだ。酒は無料だからな」

「ほら、いつも、手をあげている旦那衆は誰もきていないよ」



 そんな。馬鹿な。何がおきた?王国が規制している?そんな話は大公家からもきていないわ!



 バブルの崩壊は突然やってきた。

 この日を、『暗黒のオリビアの日』と呼ぶ者もいる。



「はあ、はあ、はあ、負債はどれだけあるのよ」


「それが、分かりません」

「今月必要な支払いは?」


「金貨500枚ですね」



 今、金庫には・・・


「金貨821枚しかないじゃない?!給料を払ったらあっという間だわ」


「お嬢様ー、織物ギルドの支払いもよろしくお願いしまーす」


「そうだわ。領地に早馬を出して至急資金援助をしてもらうわ」





 ☆☆☆領地



「緊急のお手紙です!」


「はい、どうも・・・と、オリビアからか」



 受け取ったのは財産管理人補佐の父だ。

 初めの三行を読むと破いた。


 ビリビリビリ~~


「やっぱりな。ここは何もしない無能の方が良かった」


「フランツさん。手紙の集荷終わりましたか?管理人に届けて下さい」

「どうも」




 一方、メアリーは・・・・


 もっと、お馬鹿になろう。

 そして、幻滅をしてもらおう。


 と、奮闘していた。





 ☆☆☆王都第18修道院


 ☆メアリー集会


 信者の二文字を合体させれば『儲』になる。

 金は吐き出した。

 次は信者を吐き出そう。



「メアリーは、お遊戯をするの~、皆に見てもらいたくて、練習をしたの~」



 ドン!ドンドンドン!



 ♩魔族がすくう世の中を~♩


 私は、扇を広げて、ヒラヒラ踊る。

 女神教の進軍歌だ。

 庶民でも歌えるのは、単調な軍歌ぐらいしかなかった。


 メアリー合唱団が知らない内に結成されていた。


 まるで、昭和のサラリーマンの宴会芸だ。

 これで、引くだろう。


 ♩進め。我ら、女神の下僕~♩



 パチパチパチパチ!


「メアリー様!」

「メアリー様、叱って!」

「女神様の御使者だ!」


 何故、感動する・・・・何だ、この熱狂は・・・・


 そして、更に、信者達がおかしくなった。



「「「「メアリー様!メアリー様!メアリー様!」」」



「何で、メアリーのお絵かきが金貨10枚で売れるの~!」

「はい、信徒が落札をしました。毎日、絵にお祈りを捧げています。小生は進行役なので参加できませんでした。小生なら金貨100枚出します!」

「高値販売は禁止なの~!祈るななの~~!」


 教会らしくチャリティーを行った。私は手持ちの財産はないから絵を出したのに、


 いや、チャリティーで集まったお金は全額孤児院や救貧院や負傷兵に渡すけどさ。

 メアリーちゃんが100キロ走っていないのに、この金額が集まるなんてヤバくないか?お絵かきだぞ。   

 ニケちゃんを描いたのに・・・



「義援金に手をつけたらぬっころなの~!」

「「「はい!」」」

「一度でもそんなことをしたら、信用なくなるの~!」

「「「はい!」」」


「ヨシなの~!」


 土地の価格が下落して、ようやく、金利を下げる政策が始まったと思ったら、これか。余剰資金が変な方向に流れやがった。


 それから、王宮から使者がやってきた。




「徴用した資金を返還する。証書を確認されたし。金貨は王宮の金庫で保管されている」



 あ、一時預かりだったな。

 帳簿上、金貨はかなり少なくなっている。

 いいぞ。

 10分の1か。大金貨1000枚か。後は、どうやって減らそう。


 と思ったら、机に書類を山のように積まれた。


 ドッサリ!


「何なの~!」


「不動産の権利書です。今回の土地騒動で、かなりの破産者が出た。それで接収をした土地だ。地価下落で値が下がったので多くの土地、建物が手に入った。貴殿の資金で高利貸しにかなりの高利で資金を提供したから、最終的な権利者は貴殿になった」


「多過ぎなの~、いらないの~」

「だめだ。王命である」


 もう、いくらあるか分からない。賃料も毎月入ってくる。真の金持ちは自分の資産を知らないとあったが、これか?


 うん?


「あの、スー商会から接収した不動産あるけど、なんでしゅか?」

「ああ、これは」


 お姉様が?破産した?

 そんな。優秀なお姉様が?


「今は細々と服を売っている。それからも返済している」


「そんなのやーなの。お姉様は輝かなければならないの~!」

「・・・貴殿、姉に追放されたのよな」


 私は提案をした。お姉様が輝く方法を・・・




 ☆スー商会


 スー商会は、元八百屋の店員の発案により。

 ドレス、庶民の服を乱雑に並べる陳列方法が一部受けていた。



「いらっしゃいませー」


「まあ、何故、焼き芋を売っているの?」

「串焼きだと煙が出て服に匂いがつきますから~」


「らっしゃい」


「オスカー商会の者だ。商会長と面会を希望する」


「上にいますよー」



 ・・・・・



「何ですって、スー商会を、オスカー商会の傘下に?嫌ですわ」


「いいや、もう、債権を肩代わりした。貴女はオスカー商会の支配人補佐になる」

「私は大公子の婚約者ですわ」

「大公家も破産した。家門は断絶したのは分かっているな。学費も払えなくて退学したと聞いたぞ」

「そんな。これから、頑張って・・」



「おって、沙汰を言う。しかし、面白い商法だ。勉強になる。日銭が入るから、使用人の給金は辛うじて払えている。期待しているぞ」

「クッ」


 使者が置いて行った債権買い取り通知を見た。

 信じられないことが分かった。


「メアリー!メアリーが!」



 許せない。欲しがり妹のくせに。


 調べたら、出るわ。出るわ。今評判の夢見の聖女?『投資家トーマスのシスターのお友達から聞いた話シリーズ』『トーマスのここだけの話』の仕掛け人。


 そうか、M資金の時から私を狙っていたのね。



「オリビアどうした」


「いいえ。大公家の皆様、金のなる木がありますわ!」



 私は、大公家の皆様をつれて、第18修道院に行くことにした。







最後までお読み頂き有難うございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ