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第11話 財産没収されたの~嬉しいの~!

 王とメアリーの懺悔という名の会談が行われたが、終始メアリーは不機嫌だった。



「懺悔するの~!」


「はい、最近土地の値段が高騰をしています。これは何なのか?悪いものなら、どうしたらいいのか?ご教示下さい」


「罪深いが抜けているの~~」


「これは、失礼、そう思い悩む私は罪深いのでしょうか?」



 知らんわ。でも、興味持ってくれたらそれでいいか?



「悪いものなの~!土地の値段が上がりすぎなの~!インフラが整備されていない土地も値段があがって、更に何にもしない役人たちと王がいるの~!」


「これは手厳しい」


「貴方のことじゃないの~、これは投機なの。欲深い者が破産してもメアリーの知ることでないの~」


「しかし、善良な民が騙されているのかもしれません。小口で集めて投資専門の商会も出来上がっています」


「いいの~、もう、どうでも、欲に踊る者ははじければいいの~」


「その欲に踊る者の周りの人々を助けたい。対策をご教授願いたい」


「だから、貴方に言っても仕方ないの~!陛下じゃなきゃダメなの~!どうせ、聞きゃしないの~!」


「更に大商会オスカーの商会長も賛同しなければならないの~」



 終始不機嫌なメアリーであったが、対策を話し出した。



「居酒屋なの~!」


 フウ、これを仕掛けているのは、居酒屋に入る人数ぐらいだ。

 世界初のバブル、16世紀のオランダのチューリップバブル、イスラムから輸入されたチューリップの球根が大人気になって、職人の給料25年分の値がついたものもあった。


 しかし、近年の研究では、当時の情報伝達能力から見て、居酒屋に集まる程度の人で取引されるだけだったという説もある。


「問題は、仕掛け人の周りで踊っている人達なの~!彼らが、借金をしても買いたくないと思わせる金利を設定すればいいの~!」



「ほお、商取引では年利6パーセントまでが慣習だな。個人への貸し出しは法規制はない」


「オスカー商会が高利貸しの高利貸しをするの~!高金利で金貸し業の金主になるの~!場合によっては国庫を開いて資金を注入するの~!」


「しかし、さすがに時間がかかるぞ」


「なら、メアリーの資金、M資金を提供するの。フ、どうせ、誰も聞かないの~!」



「そうか、分かった」


「悔い改めるの~!」


「悔い改めよう。ところで外で待っているのは私の二番目の子だ。紹介しよう。次からはこの子を行かせる」



「初めまして、クロイツと申します」

「メアリーなの~。懺悔の代打はダメなの~!」


 ヒゲヒゲの男はそうして帰った。



 数日後、嬉しい報せが使者と共に届く。



「王命である。メアリー殿、資金を一時徴用する」


「はいなの~!」


 これはあれだ。戦争の時に物資を集める法令か?


「トーマス、全部吐き出すの~!」


「そんな、せっかく集めたのに、王国の奴ら商売は下手です。どうせ、溶けますよ」


 ベシベシ!


「いいの~、さっさとやるの~!」


「はい!喜んで」


 すっかり、ベシベシをするようになったが控えよう。年上だ。敬意を持って接しよう。


 と思ったが、

 更にベシベシするハメになった。


 ベシベシベシ!


「何で、こんなに増やしているの~!知らないの~用地の転売に、浴場の周りに市場開設したの~!」


「ヒィ、もっと、ベシベシを、何ならムチで罪深いブタ以下の存在である小生を懲らしめて下さい」


 気がついたら、金が金を呼び。日本円にして100億くらいあった。

 これは、メアリー学校などの事業の運営資金を抜いた額だ。


 やはり、トーマスはバブルに踊っていたのだ。



「・・・しめて、大金貨一万枚分、一時借り受ける。これが証書だ」


「はいなの~!」



 よし、これで、シスター(仮)の修行に専念できる。

 と喜んでいた。




 ・・・・・・



 ☆☆☆高利貸



「何だ。年利200パーセント?暴利すぎだ」


「ええ、金を用立てるのに、費用がかかります。担保無しならこれぐらいもらわないと」


「なら・・・借りてまで土地を買うのもな」


 と諦める者もいれば、


「何、すぐに上がる!」


 と借りる者もいた。



「メアリー様、もしも、資金が土地市場に流れなくなったら次は如何されます?」

「次は情報操作なの~!目くらましなの~!」

「ええ、とそれは?」


 この世界では、魔道通信はまだ開発段階。

 このバブルは王都周辺に過ぎない。しかし、地方へは時間差で伝わる。


 日本だと江戸時代から明治にかけて米相場を、旗振り通信で伝えたのだが、この世界は市場が未成熟で助かった。


 バブルが地方に伝わる前に違う情報を流そう。

 吟遊詩人だ。

 吟遊詩人の言うことを嘘と見抜ける者でなければ楽しむのは難しい。とピロッキーさんの言葉をこの世界に置き換える。



 信長先生は、恩賞に土地を与えるのではなく、茶道具に価値をつけ。それで代用をした。

 私は土地の代わりに、夢を見せてやろう。



「ここだけの話しで、北方で魔石鉱山の開発をすると言うの~!」


「ええ、それは・・・嘘ではないですか?」


「捜索隊を出せば良いの~!ダメならダメで良いの~!」


「なるほど、費用は最小限ですね。目は釘つけですね」


 クロイツは聞き上手だ。話が進むな。Ifとしても面白い。


「更に、小技を使うの~!頭が悪い人が読むような本を出版するの~!」


「ええ、それは、どのような本を?」

「トーマスを使うの~!」





 これはトーマスに命じた。


「ええ、『雑草魂!金持ちトーマスのここだけの話!魔石鉱山開発はスコップで儲けろ』、小生の名で本を売れと、こんな恥知らずの本を?!」


「そーなの。本を出版するの。原稿は書いたの~!スカスカなの~!」



 ☆内容


『ワシはトーマス!金持ちになれる秘訣を教えてやろう。ここだけの話だ』

『ワーイ!ワーイ!』

『フン、どうせ、たいした話じゃないですわ!』


『魔石鉱山開発は、自分で探しに行くよりも、スコップや縄、荷馬車に投資した方がもうかるのじゃ』


『なるほど』

『まあ、まあ、ですわ!』



 ・・・・・




「これは、恥ずかしいーーー!?!是非!やらせて下さい!メアリー様のご命令ですよね!」


 何だ。何故、喜んでいるのだ。


 実際に販売したら売れてやがる。一万部のベストセラーだ。

 この世界では本はまだ高い。王都の人口を考えれば良い方だ。

 貸本の方も回転率が高いと聞く。


 世の中、馬鹿ばっかりか?


 この本の影響かどうか分からないが、


「土地が売れなくなってきているの~!」



 嬉しい誤算だ。

 そう言えば、私の名前はメアリー・スー。成功を約束された名だ。

 アメリカのSFの同人誌に寄せられた二次創作に、やたら中学生くらいのオリキャラが無双する話が殺到した。どう見ても、お前ら作者の投影だろうと、


 怒った編集者が、自らメアリー・スーの物語を書いた。お前らの書いた話はこの程度という訳だ。


 まあ、いい。やっと、世界が私の言うとおりに動いてくれた。

 資金を徴用された時ぐらいから、良い方向に向いていたな。



「メアリー様、王家御用達のお菓子職人にペロペロキャンディーを作ってもらいました」


「有難うなの~!裏庭で一緒に食べるの~」


「いえ、僕はペロペロキャンディーは結構です。二本とも召し上がって下さい。メアリー様の隣にいていいですか?」


「いいの~!猫ちゃんを見るの~!」


「ニャー!ニャー!」


「ニケちゃんと言うの~!」

「可愛いですね」


 ああ、こんな生活が続けばいいな。


 しかし、事態は急変する。







最後までお読み頂き有難うございました。

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