超視力___正義のミカタは忙しい!
「あの女の人、なんかおかしくねえ?」
高校生達が指さす方をつられて見やると、2番線ホームの先頭部分に女性が一人佇んでいる。
30代半ばくらいであろうか。こぎれいで上品そうな服装に身を包んでいる。
だが朝の通勤ラッシュ時にも関わらず、乗車を待つ人々の列から離れた場所で、茫然と立ち尽くす姿は確かに普通ではない。
嫌な予感がする。
この駅は何かと問題が多い。
先日も日本刀を持った男が暴れて、事件になったばかりだ。
「電車が参ります。危ないですから、黄色い線まで下がってお待ちください。」
場内アナウンスが流れ、電車が進入してくる。
その時である。
「うおおお」
先程の女性が短い叫び声を上げると、突如として電車に向かって走り出す。
やはりそうか!
私は女性を制止しようとして、追いかける。
しかし間一髪のところで手が届かず、女性の体はホームから宙に舞う。
響き渡る電車の警笛、運転手のひきつった顔。誰かの悲鳴、、、、、、、
―――――――
まだ間に合う!私は祈る気持ちで瞼を開ける。
2番線ホームの先頭部分に女性が一人佇んでいる。
「電車が参ります。危ないですから、黄色い線まで下がってお待ちください。」
場内アナウンスが流れ、電車が進入してくる。
私は迷うことなく全力で走り出す。
「うおおお」
短い叫び声を上げた女性が電車に向かって走り出すのが見えたが、直前で何とか体を捕らえることに成功する。
「やめろ、早まるな!」
間に合った。また一人、人類を救うことに成功した。与えられた能力を使って。
そう、私は未来を見通すことができるのだ。
この能力を駆使して日々、人々の救済に全力を尽くしている。
ただ見通せるのは、たった3秒後の未来である。
だから、のんびりしている時間はない。正義のミカタは忙しいのだ。




