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ピンポンシスター男の娘  作者: えま
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第1話 ピンポンピンポン

ゆるゆるとしたお話です。

 ピンポーン。


 高校2年の夏休み。夏休み初日の昼時ひるどき

 俺にはすでに親がいない。

 そのためボロアパートの2階にて一人暮らし。


 ピンポーン。


 十畳のフローリング部屋。

 そんな中、気ままに起き、食べ、ゲームをする。

 クーラーもきいておりとても快適。


 ピンポーン。


 夏休みが終わるまではバイトもしつつ好きに過ごそうと思う。


 ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン。


「……うるさい」


 狭い部屋のなかにチャイム音が木霊こだまする。

 ずっと無視してたけどそろそろ騒がしい……。

 宅配を頼んだ覚えはない。

 友人は……いるけど、んなと言っておいたはず。


 カメラ付きインターホンだとか高性能なものはなく、のぞき穴もない。

 扉を開けねば誰かも確認できない。

 いやいや玄関に向かい、扉を開けると。


「あ! やっと開けた!」


 声がした方……目線を下に向けるとそこには。

 金髪碧眼、身なりは修道服。いかにもシスターらしい人物が。


「はじめまして! コノコト教のユウカと申します! ぜひ、コノコト教にはい


 パタン。

 俺は無言で扉を閉じた。

 この手のやからにはこうすれば話が終わる。


 てか宗教勧誘とか久しぶりに来たな。

 昔、おばちゃん二人組で勧誘に来た記憶がもっとも新しい。

 けど今回はちょっと可愛い子が来た。

 でも宗教はお断り。


 ピンポンピンポンピンポンピンポーン。


 めっちゃ鳴らしてくる。

 諦めないなぁ……。


「すみません! まだ話は終わっていないので! よければ最後まで聞いてってください!」


 扉越し、ガンガン扉を叩きながらユウカと名乗った子が叫ぶ。


「嫌ですよ!? これ以上騒ぐなら警察呼びますよ!」

「……」


 お、静かになった。

 これで帰ってくれるはず。


「……ぐすっ……ぅぅ」


 ……扉越しに、嗚咽おえつが聞こえる。

 泣いているのだろうか。

 なんだか申し訳なく思う。

 扉を開けた時、あの子はそう大きくは見えなかった。


 身長が百七十の俺に対して。

 あの子はおそらく百四十ぐらいだろう。

 金髪碧眼、そして愛らしい風貌。

 幼さをも感じた。


 もしかしたら並々ならぬ事情があるのかもしれない。


 俺はゆっくりと扉を開ける。

 玄関より少し離れたところでうずくまり、泣く姿が。

 その子も俺に気づいたのか、ゆっくりと顔をあげる。


「あの……話ぐらいなら……」


 おずおずと俺が申すと。


「ほんとですかありがとうございます! この宗教に入るとですね!」


 その子はパッと顔を明るくし、俺に詰め寄って きた。

 そして早口かつ嬉々として説明。

 チラシと思しきものを見せられながら、懇切丁寧に。


「あとはですね!」

「え、ちょ、待って待って」

「どうしました? あ、疑問点とかあるなら遠慮なく……」

「違う。さっき、泣いてなかった?」


 うずくまり、膝に顔をうずめ泣いていたはず。

 なのに今はそれとは正反対の輝く笑顔を浮かべている。


 その子は俺の質問に対してこう答えた。


「あれは嘘泣き! こうすればほとんどの男性が扉を開けてくれるとおじいちゃんが……って、なんでまた閉めようと!?」

「嘘泣きかよ! もういい! 帰ってくれ!」

「あー待って待って! 閉めないで! もう少しお話をー!」


 しかし扉は無慈悲にもパタンと閉まる。

 閉めた扉越しから声が聞こえる。


「あー! ほんとに閉めましたね!」

「そりゃ閉めるだろ! さっさと帰ってくれ!」

「わかりました! 今日は帰ります! でもまた明日来ます! では!」


 ユウカはそう言い放ち、帰って行った。

 そして俺は扉にもたれ、安堵する。


 やっと行ったか……。

 厄介な子だったな……。

 まぁいい。ゲームでもやろうかな。


「忘れてました! 一応、広告と入信書をポストに入れておきますね! では!」


 嵐のようなやつだなぁ……。

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