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清楚系ヤンデレと天使な小悪魔と  作者: みゃゆ
一年 二学期 前半
74/87

第七十四話 学園祭一日目:合流

 先輩達のダンスはやはり鮮麗なものだった。やはり経験の差は大きいが、一番の盛り上がったのは一年メンバーのダンスで間違いないだろう。そこには自信がある。


 俺のダンスを見たらステージ裏に来ると言っては桜達は、結局先輩達のダンスも見てからやってきた。理事長の権力を行使し、出演者以外立ち入り禁止であるステージ裏まで入ってきたのだ。


 理事長の姿を見た元部長はすぐさまステージ裏から飛び出し、一年以外の他の部員達はは直立不動のまま苦笑いを浮かべていた。ダンスと理事長は昔何かあったのかもしれないがそれは今度聞くことにしよう。


「貴様、なかなかすごかったぞ。久方ぶりに興奮したのじゃ」


「楽しまれたようで何よりです。花も間に合ったみたいでよかったよ」


 今日はまだ花のメイド服姿をあまり目にしていない。教室に帰ってきたときには忙しくなってそのあとすぐに理事長に連れ出されたからだ。


 他のクラスの女子のメイド服もそうだったが、やはり胸元が強調されている。前ほどきつくそうではないので新調したものだとすぐにわかるのだが、それでも花のおっぱいは収まりきっていない。さすがは国宝級のおっぱい。


 そしてその姿はまさにメイド喫茶のメイドさんそのもの。男の欲望を体現しているかのようだ。これは個人的な趣味だが猫耳をつけて『にゃ~ん』と言ってほしい。猫耳娘っていいよね!


「遼、あんた見すぎよ」


「そうです、遼さん。そんなに見られると恥ずかしいです」


 花はどこを見ていたのか気づいてはいないだろうが桜にはばれているようだ。もっと見ていたかったのだが、やめるべきだろう。桜にもメイド服を着させたいから委員長に余っていないか教室に戻ったら確認しよう。


「我なら穴が開くほど見てもよいのじゃぞ?」


「お嬢様、誠に失礼ながらお嬢様には見るところがございません」


「……確かに、花と比べると我と桜は雑草と変わりないからの」


「理事長よりは私ぜんぜん大きいわよ?」


 理事長はジト目で自分の胸をペタペタと触りながら花と桜を見比べている。個性だから気にすることはないと思う。ま、あるほうがいいに決まっているけどね。


「遼さん、そろそろ移動しませんか?ここにいると次の出演者達に迷惑がかかります」


 周りを見渡すと次の出演者が準備をしていた。ダンス部のみんなはまだ動かないのでここは花の言う通りにしたほうがよさそうだ。


「じゃあ教室に戻るか。まだ忙しいかな?」


「私が出る前には落ち着いてきましたので大丈夫かと」


「それなら行くのじゃ。花が我に接待するのじゃ」


 どうやら花と理事長は桜の時のような喧嘩に発展することはなかったようだ。おそらくだが、理事長でも勝てない相手には喧嘩を売らないのだろう。仲がいいのが一番だよ。


 四人でステージ裏から出てメイド喫茶である教室に向かう。部員達には騒がせたことを謝罪しておいたのだが、理事長が見えなくなるまでは終始動かずにいた。昔何があったのか気になる。


 ―――――――――――――――――――――


 かなり視線を集めている。目立つ格好なのは仕方ないのだが、それでもみんなこっちを見すぎだ。

 ステージを出た俺達四人は、桜と理事長が前を歩き、その後ろから執事服姿の俺とメイド服姿の花がまるで二人の専属であるかのように歩いているのだ。桜と理事長は小柄だが二人ともかわいいし、花はメイド服を着ているからか、いつもより可憐さが増して見える。


「なんかすごい注目されてるな」


「我がいるのじゃ。当然のことじゃ」


「女性はみんな遼を見ているみたいね」


「理事長はともかく遼さんはかっこいいので女性は目で追ってしましますよ」


 かっこいいとはうれしいことを言ってくれる。まあ、この格好だと普段よりはかっこよく見えるだろう。割とイケメンと噂される俺がこんな格好をしたら女性の目を奪ってしまうのは当然のことなのかもしれない。


「仮の話だが、花と桜はイケメンが通ったらやっぱり見惚れてしまうのか?」


「それはないですね」


「それはないわね」


 即答。この二人はイケメンが興味がないようだ。普通の女の子とはやはり違うんだな。普通にしてほしいものだ。


「お主らはほんとにこやつのことが好きなのじゃな? よいぞ、学生はこうであるべきじゃ。もっと青春を謳歌せよ」


 理事長が盛大に笑う。知らない人が見たら小学生がおっさんみたいな笑い方をしているなんて思ってしまうかもしれない。そう考えると少し笑えてきた。


 教室兼メイド喫茶が目と鼻の先まで来たところで突如理事長が立ち止まる。理由はすぐにわかった。曲がり角の先から殺気を感じるのだ。こんな殺気を込められる人なんて一人しか考えられない。空間の一部が歪んでいるような感覚に囚われる。なぜここまで殺気を出しているのかわからない。


 花は何が起こっているかわかっていないようだが、桜は完全にビビッている。いつも頼っているから仲が良いと思っていたがこれは別の話のようだ。そして曲がり角から殺気を出している人物が見える。


「やはり、お主も来ておったか。初よ。そちらのお主を小さくしてかわいらしいのは妹か、はたまた隠し子か?」


 曲がり角から現れたのは我が姉と妹だ。殺気をビンビンに出している姉さんのすぐ横にいる藍からも怒りを感じる。そう言えば藍には二人と和解したことを話していなかった。……というより忘れていた。侵入対策を考えるので頭がいっぱいだったのだ。


「隠し子には無理があるだろババア。てめぇ、なんでこいつらといやがる」


 姉さんはババアと言っているが、二人の歳の差は俺と姉さんとの差と変わりない。それだと俺からしたら姉さんもババアになってしまう。言ったら殺されるから言わないけどね。


「お主の弟とその周りの女子(おなご)に興味が出たのじゃ。それと何度も言っておるが我は学園の長じゃぞ? そのような口の聞き方は関心せんな」


 興味を持ったからという理由で巻き込むのは勘弁してほしい。こちらにも予定があるのだ。結構楽しんでるけどね。


「こいつらの邪魔をしてないだろうな?」


「邪魔などせぬよ。むしろこやつらの応援をしておる。あわよくば我もお主の弟のハーレムに入れてほしいがの」


「お嬢様、勘違いされているようなのでお伝えいたします。私はハーレムを望んでいるわけではないのです」


「正直に申せ。男であるなら数いるかわいい女子(おなご)を侍らせたいのじゃろ?」


「もちろんでございます!」


 あ、また本音が出てしまった。桜が振り返りジト目で睨みつける。花の顔からは表情が無くなり何か呟いているのか唇が小さく動いている。怖いからやめてほしい。


 そんな俺達を見てなのか、姉さんから発せられていた殺気がなくっていく。どうやらここで二人がドンパチ始めることはないようだ。


「邪魔していないならいい。もし邪魔してみろ。てめぇのその体、さらに縮めてやる」


「初姉ぇ、あの小学生誰?」


「聞いていなかったのか?あいつはこの学園の理事長だ。藍も来年はこの学園に入るんだから一応挨拶はしておけ」


 そう言って二人がこちらへ近づいてくる。姉さんから殺気は無くなったものの藍はまだ怒っているようだ。これは桜にでもお願いしよう。藍が理事長の前に立ち挨拶をするのか口を開いた。


「おいチビ、あんたに遼兄ぃは渡さないからね」


 初対面の相手に宣戦布告しやがった! 何を考えているんだ!?


「初の妹らしく、我を崇めないとは。なかなかいい度胸をしておる。お主、名はなんと申す?」


「篠崎藍」


「覚えておこう。お主の兄は姉と違い扱いやすくて助かっておるぞ」


 二人の視線が交差する。火花が見えそうだ。頼むからみんな仲良くしてくれ。


「それで、お前らはどこに行くつもりだったんだ?」


「これから教室に戻るよ」


「メイド喫茶だったな。……よし私と藍も一緒に行こう」


 この二人も合流してしまうといつものメンバーが揃うことになる。平は教室にいるし一成と詩織ちゃんもこの時間にはもう来ているかもしれない。この先どうなるんだ学園祭。

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