第十八話 海に行こう
夏といえば海だ。海といえばやはり水着だ。開放的な気分になり女の子達が際どい水着を着る。白い肌、揺れる胸、きれいなおへそ、かわいいお尻、すらりとした脚。そしてひと夏のアヴァンチュール。そう海は地上のパラダイスなのだ。やはりなんと言っても胸だよ。ポロリがあったらいいな。おっぱい! おっぱい!
今日はみんなで海に遊びに行く日だ。朝から気合が入る俺。姉さんは桜を迎えに行っている。人数が多いので一成のうちのワゴンカーを借りて姉さんが運転する予定だ。酒が飲めないじゃないかと言ってたがそこは我慢してもらおう。飲酒運転は犯罪です。飲んだら乗らない、乗るなら飲まないだよ。
姉さんから桜を拾ったからそろそろ出る準備をしておけとメッセージが届いたので、玄関の前で藍と二人で忘れ物がないか確認する。
「藍、忘れ物はないか?」
「大丈夫」
「タオル入っているか? 水着持ったか? 下着忘れてないか?」
「遼兄ぃ、子ども扱いしすぎだよ」
そう言って微笑む藍。桜の天使スマイルほどではないがやはり俺の妹はかわいい。頭を撫でてやる。最近の藍はあまり構ってあげなくても拗ねることはなくなった。これをきっかけに兄離れしてほしい。
「遼兄ぃこそ忘れ物大丈夫?」
そう言って俺のかばんを漁りだす藍。昨日も今日も確認したんだ。二重確認は大事だしね。そんなこと考えていると藍の手が止まった。なんだかプルプルしている。
「遼兄ぃ、これは何かな~?」
なぜそれが入っている。さっき確認した時はなかったはず。そもそも買ったこともないんだぞ。
藍が手にしている箱はコンドウさんだ。藍の表情を見ると怒りと恥ずかしさが混同した顔になっている。
そんな顔もかわいいよ。いやそうじゃない! たぶんそれは姉さんの仕業だ。出る前に箱をかばんに入れたのを見たがあれはタバコと思っていた。姉さんは俺に何をさせたいのだ!? そんなことより藍よ、それがなんなのかわかるのか!? 俺達の年頃の夜のプロレスには必須のアイテムだ。まさか、使ったことがあるとか言わないでくれよ!? ジーザス! 俺の妹の純潔を汚した輩はどいつだ! この世に生まれてきたことを後悔させてやる!
「遼兄ぃ、これを誰と使う気だったの?」
「それは姉さんが入れたんだ! 俺は買ったこともないし使う予定も今のところない!」
「ふぅ~ん。没収」
これは絶対信じていない目だ。妹に信用されない日が来るとは思いもしなかった。あとで姉さんを懲らしめてやる。
「それより藍、お前これを使ったことがあるのか?」
「ふぅえ!?」
「相手を紹介しろ。俺の妹の純潔を汚した罪、生きて償えると思ったら大間違いだ。万死に値する!」
「あほ! これが何でいつ使うのかぐらい中学生なら誰でも知ってるよ!」
じたばたしながら顔を赤くする藍。
まぁそうだよね。保健体育の授業で習うし。でも藍の反応がおもしろいしかわいいからもうちょっと続けよう。藍が持っている箱を取り上げる。
「で、いつ使ったのだ?」
「だから! 使ってない!」
「そんなこと言ってホントは経験済みなんだろ?」
箱を藍の目の前に近づけニヤニヤしながら尋問? をする。傍から見たらただの変態だ。藍が涙目になってきた。
そろそろやめておくか。なんだかかわいそうになってきた。あとでちゃんと謝ろう。
「遼がエッチでかわいい妹が好きなのはわかるけど、近親相姦はあまりよろしくないかなぁ」
顔を上げるとそこに立っていたのは桜だった。後ろのほうで姉さんが腹を抱えて笑っている。桜を連れて戻ってきたのだ。冷や汗ダラダラですよ。
「藍ちゃんおいで、怖かったねぇ。嫌がる子を無理矢理襲う男は最低だねぇ」
そう言って藍を抱きしめ頭を撫でる桜。藍はまだ涙目で俺の事を見ている。
完全に俺が悪者じゃん。別に藍を襲うつもりはなかったよ。あれは妹とのスキンシップなんだ。藍も否定してよね。じゃないと俺の心が潰れちゃう。
そんなことを目で訴えかけるが桜は俺をジト目で見下ろし、藍は桜に抱きついたまま俺と目を合わせようともしない。姉さんはまだ笑っている。
「………………やりすぎました。すいませんでした」
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「もとはと言えば姉さんがあれを俺のかばんに入れるから悪いんだ」
家を出発し小田家には歩いて向かう。十分も歩かないうちに着く近い距離なのだ。俺は先ほどやりすぎたことを理由にみんなの荷物を持っている。藍はまだ桜にくっついたままで俺と姉さんからは離れて歩いている。二人の信用を失ったのが荷物持ちよりも辛い。
「私の厚意だぞ。使わないのか?」
「使う相手がいないよ!」
「桜がいるじゃないか?」
「付き合ってないからね!」
姉さんの完全バックアップがきつい。応援してくれるのは嬉しいけどちょっとやりすぎなんじゃない?姉さんももう来年は社会人だし俺のことより自分の心配したらいいのに。あ、これ言ったら殺されるのでオフレコでお願いします。
それに付き合ったからそういうことができるとは限らないし。いや、ほとんどのカップルはヤっていると思うんだけど。桜はそこのガードが固い。そもそも桜と付き合うとかまだ俺にはわからないし。
俺はいらないから姉さんが使いなよと渡そうとするとすごい顔で睨んできた。だから美人が台無しだよ。そういうとボディーブローが飛んできた。姉さん痛いよ。
結局あの箱は俺が持っている。使う予定がないのでかばんの底にしまっておく。そうこうしているうちに小田家に到着した。
「初さん! お久しぶりです」
「おう。元気にしてるか? 一成とはどうだ?」
小田家にはすでに詩織ちゃんが到着していた。詩織ちゃんは姉さんを見かけると飛んできた。詩織ちゃんはうちの姉妹と仲がいい。なぜかは俺もわからない。
「一成君久しぶりー」
「桜さんと藍ちゃん、久しぶり」
こいつらいつの間に下の名前で呼び合っているのだ?まだ一度しか会っていないはずだ。
一成に話を聞くと、この前詩織ちゃんと隣町でデートしている時に偶然会ってそこからだそうだ。
「あれ? 花と平は?」
「二人は学園のほうが近いから今から迎えに行くんだ」
花と平がいなかったので聞いてみたら花には詩織ちゃんが、平には一成が連絡してこれから迎えに行くことになったそうだ。
姉さんがおじさんと話をしている。車借りるんだし挨拶はちゃんとやっとかないとね。姉さんがこの車禁煙ですかと質問しているのが聞こえた。姉さん、人の車なんだからそこは我慢してよ。
「そろそろ出発しましょー!」
「おー!」
詩織ちゃんと桜は元気だな。藍はまだ桜に抱きついている。いつになったら許してもらえるんだか。とりあえず車に乗ろう。途中でハーゲンダッツを買ってあげよう。
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車は八人乗りのワゴンカー。姉さんが運転で俺が助手席、後ろには一成・詩織ちゃん、桜・藍で座っている。花と桜を同じスペースにされるのはやばい気がする。かといって桜と藍のところに面識のない平を座らせるのもな。
「一成、席なんだけど……」
「わかっている。そこは任せろ」
一成がそういうなら安心できる。席のだいたいの予想は着くがそこは一成に任せよう。
「お前らシートベルト締めたかー?」
タバコを吸いながら姉さんがみんなに問いかける。結局タバコは吸うんですね。出発する車。まずは花達を迎えに学園へ向かう。
車の中では桜と藍がBGMのアニソンを歌っている。二人ともきれいな声だ。詩織ちゃんが私も歌うと言い出したが一成に止められた。聞けるようにはなったけどまだ人様に聞かせることはできないそうだ。
学園に着いたがまだ平しかきていなかった。約束の時間より早かったからね。平に桜とうちの姉妹を紹介する。
「平、こっちは友達の桜だ。隣町の高校に通っている。で、こっちの二人は俺の姉さんと妹の藍だ」
「よっよろしくお願いします! 自分、平慎太郎って言いますっ!」
平が緊張している? 珍しいな。学園で緊張している平を見たことがないぞ」
「篠崎! ちょっとこっち来い!」
平が俺を呼んだ。どうしたんだ? とりあえず話を聞いてみるか。
「おい、お前の姉さんすげぇー美人じゃないか! 紹介してくれよ」
なるほどそう言うことね。確かに姉さんは誰が見ても美人だ。少し目元がきついがそれも含めてだ。スタイルもいいし見た目は完璧な姉だ。だが、お勧めはできん。
「平、言っておくが姉さんはすごい暴力的だ。さらにタバコを吸っているぞ。お前タバコを吸っている女は嫌だとか言ってただろ」
「ぜんぜんありだ! 俺を罵って殴ってほしい!」
こいつドMだったのか……。だがこいつは農業部で女の子に囲まれている学園生活を送っている。こんなやつに俺の姉さんは紹介できない。
「紹介はできない。そこは自分の力で頑張るんだな」
「そ、そんな~」
紹介したところで歳も離れているし姉さんは見向きもしないだろう。まあでもあとで少し姉さんに話してみるか。
「じゃあ妹さんを紹介してくれ!妹さんも超絶美少女じゃないか」
「藍はダメだ。特にお前のようなやつは指一本でも触れたら許さない」
藍はまだ誰にもやらん! 貴様如きが藍に手を出してみろ。生き地獄を味あわせてやる!
「なぁ頼むよ篠崎! 妹さんでいいから!頼む!」
妹さん“で”いいだと? 俺のかわいい妹はナンバーワンでオンリーワンなのだ。それをおまけみたいにいいやがったこいつには死よりも恐ろしい地獄を見せてやる。
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しばらくみんなが話をして俺が平をボコっていると花がやってきた。ここからだ。桜との対面でどうなるかわからん。下手をすると俺と桜は殺されてしまう。
「すいません。お待たせしました」
まずは桜から紹介した後姉さんだ。そう思い俺は花に近づく。
「そんなに待ってないから大丈夫だよ。約束の時間もまだだしね。は、花、こちらが……」
「あれ?」
「あら?」
ん?なんだこの二人の反応は。まさかここでおっぱじめようってわけじゃないよね!?
「花! 久しぶり! こっちに帰ってきてたんだ!」
「桜も久しぶりです。相変わらずお元気ですね。遼さんのお友達の桜さんって桜だったのですね」
ワケガワカラナイヨ。目が点になり頭が停止する。二人は知り合い? それに花が呼び捨てにするほど仲がいい?
「あ、遼。わけがわからないって顔してるね」
「遼さん、私と桜はいとこ同士です」
話を聞くと花の母さんと桜の父さんが兄弟で幼い頃花がイギリスに行くまではよく二人で遊んでいてまるで姉妹のようにだったそうだ。その後も何年かに一度桜がイギリスに遊びに行ったりするくらい仲がいいそうだ。
「最後に会ったのは私が中学二年に上がる前の春休みだから約二年半振りかな?」
「そうですね。ご両親に帰ってきたことを伝えているはずですが、伺っていないのですか?」
聞いてないよ! と桜がスマホを操作し電話をかける。たぶん桜の父さんにだろう。
「あ、お父さん、花が帰ってきてるんだけど、うん、うん、忘れてた!?」
桜パパ、大事なことですよ。俺殺される覚悟してたんですからね。
えーっと、花と桜の親が兄弟で二人はいとこ同士。うちの両親と桜の両親が昔から仲のいい友達でその子供の俺達が友達になった。うーん、世界って狭いね!
これなら今日はヤンデレ花が出ないだろう。むしろ二度と見たくないんだけどね!次は姉さんの紹介だな。
「花、こちらが俺の姉さんだよ。この前も話したけど大学で教育学部に通ってて英語を専攻している。九月からうちの学園で教育実習をすることになってるみたい」
「「なんだと!?」」
なんでそこでお前らが反応するんだよ。一成は顔を青ざめているし、平はまあさっきの件で喜んでいるのだろう。一成はいいかげん姉さん怖がるのよそうよ。
「なんだ一成。私が教育実習で来るの嫌なのか?」
姉さんも気づいた。昔から姉さんは一成をいじるのが好きだ。今も悪そうな顔をしてタバコに火を着ける。。
「いえいえいえいえとんでもございません! 初さんは美人ですし教え方がうまいので学園にとっても俺達にとってもいいことづくしです!」
一成すごい早口だな。そこまで嫌なのかよ。
「ふぅ~ん、そうか。おい詩織、あとでまた一成の恥ずかしい過去を教えてやるよ」
「はい、お願いします♪」
詩織ちゃんが姉さんと仲がいいのはそういうことだったのね。俺と一成は幼稚園からの付き合いだ。そして姉さんと一成の兄さんはよく俺達の保護者をしてくれていた。姉さんが一成の恥ずかしい過去をいろいろと知っているのだ。そういえば姉さんと一成の兄さんは仲がよかったはず。学部は違うが大学は一緒だからあとで聞いてみよう。
「姉さん。花に紹介しているんだ。あとでやってよね」
俺がそう言うと花が自己紹介をする。
「初めまして。瀬戸内花です。遼さんとはクラスが一緒でお友達をさせていただいています。私も英語専攻で教育学部を受験しようと思っているのでよかったらお話聞かせてください」
「君は……」
姉さんがタバコを咥えたまま驚いた顔をしている。花の自己紹介はすごい丁寧な言葉遣いだ。俺達の歳でこんな丁寧な言葉遣いの子なかなかいないから驚くのも無理はない。
「あぁすまない。一つ訂正するが“初めまして”ではないぞ」
ん? 驚いていたのは花の言葉遣いではないのか? それに会うのが初めてではない? 今日は一体どれだけ驚けばいいんだ。
「遼、この子だ」
「姉さん何のこと?」
それだけだと何もわからない。だが次の姉さんの言葉に俺は耳を疑った。
「この子が植物公園で迷子のお前を助けた子、そして幼いお前がある約束を交わした子だ」
とりあえず今まで出た伏線っぽいのはほぼほぼ回収!残すは初が言ってた『ある約束』だけですね。
約束ってなんでしょうね。私は忘れっぽいので昔のことをよく忘れます。一週間前に同居人と話した内容も「そんなこと言った?」と忘れるぐらいです。
ちなみに花と桜がいとこ同士っていうのに『えぇっ』となる方がいましたらうれしいです。私の幼馴染が実はいとこだったという衝撃の事実を最近知ったことから組み込むことにした最初からの設定です。
今後の展開は海でムフフなことがあったりなかったり(笑)。あるといいですねー(笑)。
ではでは、次の更新をお待ちください!
あ、読者さん的に誰が好みとか教えてくれたら嬉しいです。
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