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清楚系ヤンデレと天使な小悪魔と  作者: みゃゆ
一年 夏休み 前半
16/87

第十六話 水着購入(桜・初・藍編)

「藍ー。水着買いにいくぞー」

 

みんで海に遊びにいく二日前の昼前、詩織が花の部屋にいる同時刻、篠崎姉妹の姉・初は妹・藍を誘って水着を買いに行くことにした。


「初姉ぇ、藍水着持ってるよ?」


「かわいいのがあったらまた買ってやるから。ほら、行くぞ」


 そう言って車に乗り込む初。藍も続いて助手席に乗り込む。初がタバコに火をつけ車を発進させる。


「まずは桜を拾う。そこからショッピングモールだ」


「明日は桜さんも一緒なの?」


「聞いてなかったか? 明日は桜も来るぞ。水着を買いに行くのも桜が連れてけって言ったんだ」


 めんどくさそうな口調だが口元は笑っている。初は口調こそ悪いが面倒見がいい性格なのだ。遼曰く、それを本人に言ったら殺されるらしい。


 桜の家に着く。車から降りるのがめんどくさいので電話で桜を呼びだす初。しばらくすると桜が出てきて車に乗り込む。


「こんにちは、初さんと藍ちゃん」


 挨拶を交わしシートベルトを締めたのを確認し初が車を発進させる。


「遼は連れてこなかったのですか?」


「水着を買いに行くんだ。あいつを連れてきても邪魔なだけだ」


「えぇー。私遼に選んでほしかったです」


「藍も遼兄ぃに選んでほしかった」


 お前らはどんだけあいつが好きなんだと愚痴をこぼす初。


「桜すまない。お前から口止めされていたのに昔のことを遼に知られてしまった」


 初は申し訳なさそうに桜に謝罪する。その件に関しては連絡しておいたのだ。


「仕方ないですよ、いつかは話すつもりでしたし。元はといえば私があの日遼に声を掛けてしまったからですよ。遼びっくりしていたでしょ?昔の私と全然違って」


「ねえ桜さん。遼兄ぃも昔と違っているのになんでわかったの?」


 疑問に思った藍が質問してくる。遼の変わりようも見たら驚くほどなのだ。


「ご両親から定期的に写真が送られてきてたの。まだ小さい藍ちゃんも写真もあるよ。ちょうど遼がダイエットを始めたころから私も取り組んだのよ」


 そう言って藍の頭を撫でる桜。目を細めて気持ちよさそうにする藍。


 初はこのことを知っていた。桜の家庭教師は桜の両親から初達の両親へ行き初に依頼されたのだ。何年か振りに見る桜を見て初も驚いたのだ。


「桜さん、遼兄ぃのこと好き?」


「昔から想っているもの、好きよ。でもまだ……。藍ちゃんは遼が好きだから私に取られると嫌かな?」


 桜ははっきりとそう伝える。藍が少し不満そうな顔になり初は優しく微笑む。


「嫌……だけど、桜さんならそんなに嫌じゃ、ない」


 桜は微笑み再び藍の頭を撫でる。まもなくショッピングモールだ。


 ―――――――――――――――――――――


 ショッピングモールについた一行は、軽く昼食を取ることにした。某ファーストフードチェーン店だ。ポテトをみんなでつまみあう。


「お前水着あるのにまた買うのか?」


 遼が泊まった時に着ていたあれがあるはず。そう思った初は桜に問いかける。


「あれはもう遼に見られてしまったもの。明日同じのだと新鮮味がないと思ったんですよ」


 まぁ確かになと答える初。


「桜さん! 遼兄ぃに水着見られたってどういうこと!?」


 興奮気味に藍が席を立ちながら叫ぶ。周りの視線が藍に集まる。それを感じとった藍は席に座りなおす。少し恥ずかしそうだ。


「あれ? 藍、この前話さなかったか?」


 遼が桜の家に泊まった日に、桜は遼が入っている風呂場に突入したのだ。水着姿で。やらせたのは初である。あの日遼とホラー映画を見ていた桜に初がメッセージを送ったのだ。


「私は全裸で遼の背中を流せってメッセージ送ったんだけどな」


 そんな話聞いてないと藍が青ざめる。こいつにはまだ早かったか?と初、苦笑いする桜。


「でも突撃しただけでもすごいよ。私は冗談のつもりだったんだがな」


 そういって悪そうな顔で笑う初。顔を赤くする桜。


「遼兄ぃの背中、流したの?」


 涙目になっている藍。かわいいなと頭を撫でる桜。


「無理だったよ。だって恥ずかしいじゃん。水着を見せるのも頑張ったもん」


 かわいい二人だ、この光景はとても絵になる。そう感じてた初は最後のポテトを口に入れ席を立つ。


「お前ら、そろそろ行くぞ」


 ―――――――――――――――――――――


 水着コーナーへ到着した三人。一般的なビキニから水着といっていいのかわからない紐みたいなものまで数多くの種類が取り揃えてある。


「桜さん、どっちが似合うかな?」


「どっちも藍ちゃんに似合いそうね。ねえねえ、私のはどっちがいいかな?」


 女の子の買い物は長い。こんなやり取りがすでに五回は行われている。試着はまだしていない。ちなみに初は最初に手に取ったものを試着しすでに購入している。


「じゃあ試着してみましょうか」


 試着室に入る二人。初は試着室の前で待っている。スマホのカメラを起動して。


「じゃーん! 初さん、似合ってますか?」


「あぁ、いいんじゃないか」


 先に出てきたのは桜。小柄だがもとがいいから何でも似合いそうだ。胸は初と藍よりは大きいが花ほどではない。


「初姉ぇ、どうかな?」


「いいぞ藍、こっちに目線をくれ。そうだ。次は少し後ろを向いて、そして目線はこっちに、いいぞ藍、かわいいぞ」


 スマホで藍を連写する初。この姉、妹にかわいい服を着させたのちにいつも写真撮影を始めるのだ。コスプレイヤーの撮影会のようだ。


「お客様、撮影はご遠慮させてもらってもよろしいでしょうか?」


「……すいません」


 店員に注意されスマホをしまう初。残念そうな顔である。


「初さん私の時とぜんぜん反応が違いますね……」


「かわいい藍がかわいい水着を着ているのだ! それを写真に収めずにいられるだろうか!?」


 篠崎家の姉妹は妹の藍がブラコンで姉の初はシスコンなのだ。周りからみたら成績優秀・容姿端麗の完璧姉妹だがそこが玉に(きず)だ。


「確かに藍ちゃんはかわいいけど私も褒めてほしいですよ」


 少し拗ねた感じの桜。桜も藍に負けず劣らずかわいいのだ。だがそこはシスコンクオリティ。同じレベルのかわいさでも断然妹のほうがかわいいのだ。


「お前は遼に褒められればいいだろ。この前の水着もかわいかったって言ってたぞ」


 それを聞いた桜は顔を赤らめ、あっちの水着見てきますと逃げるように去って行く。


 青春しているな。だが海には遼が気にしているはずのもう一人の子が来るのだ。それに前に遼が話した植物公園のあの子、遼はあの子と約束をしていた。少し考えるように手を顎に添える初。


「初姉ぇ? どっちがいいか決まった?」


「ん? すまない。どっちもかわいいから二つとも買ってやるよ」


 そう言ってレジに向かう初と藍。桜も決まったらしくレジにきた。水着を購入後は帰宅することになった。


 ―――――――――――――――――――――


「今日はありがとうございます。あさってもお願いしますね」


「あぁ、迎えに来るから時間までに準備しておけよ」


 買い物が終わり桜を家に届けたて篠崎姉妹も帰宅する。


「初姉ぇ、あさって楽しみだね」


 藍が楽しみにするなんて珍しいな。遼が学園に通い始めてから一番変わったのは藍かもしれない。そんなことを思いながらそうだなと答えタバコに火をつける初。


「初姉ぇはどんな水着を買ったの?」


「当日のお楽しみだ」


 そう言って助手席に座っている藍の頭を左手で撫でる。


「帰ったらさっきの水着をまた着てくれ。写真を撮りたい」


「うん、わかった」


 もうすぐ暗くなる。交通量も増えてきた。藍を乗せて危ない運転はできない。そう考えながら車を家へと走らせるのであった。


 帰宅後、二人は初の部屋にいた。


「はぁはぁ、藍いいぞ、今度は指を口元に添えて、そうだ! そのままにっこり、かわいいぞ藍!はぁはぁ。次は……」


 傍から見たらただの変態な姉であった。

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