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第十一話 お風呂

 一度休憩を挟む形で時間も時間だったので夕食を取ることにした。夕飯は桜が作ってくれる。最近は女の子の手料理をいただける縁がある。俺も手伝おうか?と聞いてみたがお客様はゆっくりくつろいでくださいなと言われダイニングの椅子に座らされている。


 こう見えて俺は料理がうまい。味はともかくかなりレパートリーが豊富だ。姉と妹があれなので両親が不在の時は昔から俺が作ることになっている。ちなみに姉さんは全く料理ができない。藍はお菓子は作れるそうだ。


 桜が小さな体で台所に立つ。花は似合っていたが子供っぽい桜はなんか不釣合いだな。チラッとキッチンを覗いてみると案外手際がいい。大根の桂剥きは包丁の刃が滑るように進んでいる。俺よりうまい。この大根は味噌汁に使うようだ。と思ったが小さくされたものと少し大きめのものがある。周りの食材がにんじん、ジャガイモ、鶏肉、こんにゃく等からおかずは肉じゃがであると察する。それだと時間がかかってしまう。俺は我慢できなくなり台所へ向かい手伝うことにした。



 二人で台所で並んで料理を進める。この前も感じたのだがこれも新婚生活みたいな感じがした。こういった共同作業もありだな。初めての共同作業でーす! なんてことを考えながら手を進める。


 肉じゃがの具材を煮込んでいる間に、味噌汁のだしを取る。だしの基を使ってもよかったが昆布があったので昆布だしにした。だしが取れたら昆布を取り出し、火の通りにくい大根を先に入れる。その後豆腐とわかめを入れ、大根に火が通ったのを確認し火を止める。桜に赤味噌と白味噌どちらがいいか聞くと白味噌が好みだと言うので白味噌を溶かす。味噌汁が完成した頃に肉じゃがのいい香りがしてきた。桜が鍋のふたを空けてジャガイモに火が通っているか確認し火を止める。鶏肉は煮込む前に固くならない程度に少し火を通してあるから大丈夫だ。最後に桜が何かを入れお皿に装い完成。何を入れたのか聞くと食べてからのお楽しみだと。うむ、楽しみだ。


 ダイニングに料理を運び二人とも席に着く。


「「いだだきます」」


 さて、桜が最後に入れたあれの正体をここで明かす。俺は箸でじゃがいもを取り口に入れる。じゃがいもはしっかりと煮込まれて柔らかい。味もしっかり染み込んでいる。そしてこの後味。これは……


「生姜か!」


「せいかーい♪」


 肉じゃがを煮込む時、肉の臭みを消すために生姜を入れることがあるが、今回は鶏肉に火を通すときハーブスパイスを使い匂いを飛ばしたので生姜を煮込んでいない。そのため桜は最後におろし生姜を加えて生姜の風味を追加したのだ。俺が作る肉じゃがとは全然違う。桜、さっき台所に立っているのが不釣合いとか思ってごめんね。


 生姜は食欲増進や冷え性の改善、風邪の予防など様々な効能を持つ食べる万能薬とも言われているため俺もよく使用する。


 今度は鶏肉を口にする。バジルパウダーは匂いを消す程度でしか使ってないので風味が残っていない。コクのある味わいの後にくる爽やかな後味。これはくせになりそうだ。


 花の料理はお店で出してお金をとれるほどうまい王道の味だったが、桜の料理は優しい味と体に気を使った家庭の味だ。どちらも甲乙つけがたい。


 箸が進む。これはうまい。俺の作った味噌汁を飲んでみる。うまいのだがなんの変哲も無い味噌汁だ。桜の隠し味には勝てない。俺ももっと精進しないと。


「そんなにおいしそうに食べてくれるとうれしいよ」


「いや、桜すごいよ。これすげぇうまい」


「ありがと♪遼の味噌汁もおいしいよ。まさかだしから取るとはね」


 天使スマイル頂きました。こんな笑顔と一緒にうまい飯が食べれるなんて俺は幸せだ。


 ―――――――――――――――――――――


「「ごちそうさまでした」」


 食べ終わった俺達は二人で食器を洗い台所を片付ける。


 この後はもう一本残った映画の鑑賞だ。


「あ、その前にお風呂入ろっか」


 桜の部屋に戻ろうとしたところ体をターンさせ風呂場へ案内する桜。


 その言い方ですと一緒に入ってくれるんですか!? いやいやそんなことはあり得ない。藍ですら中学に上がってから一緒に入ることはなくなったんだ。しかし今日は男女一つ屋根の下、そんなイベントがあってもおかしくない。お背中流します♪ と言って自分の体を擦り付ける桜を妄想する。だがそんなことがあっては間違いが起こってしまう。姉さんが間違いは起こすなと言ってたしそんなことはあってはならない。信用を失ってしまう。てかそんなことがあったと姉さんに知られたら殺されてしまう。


「着替えはお兄ちゃんのもの持ってくるね。さっきお湯を沸かしておいたから先に遼が入っていいよ」


 そう言って脱衣所から出て行く。よかった。間違いが起こることはないみたいだ。服を脱ぎ、風呂場に入る。でもなんか惜しいな。


 頭からシャワーを浴びる。置いてあったシャンプーを使う。さっき感じた桜の匂いだ。女の子の匂いってシャンプーから来るのか?


「遼。着替えここに置いておくね」


 扉の外から桜の声。ありがとうとお礼を告げる。桜も待っているし早く済ませようと思っていたら急に扉が開いた。


「りょ遼、絶対こっち見たらダメだからね!」


 え?えぇぇぇぇぇっ!? 背後に感じる桜の気配。そのまま桜は湯船に浸かる。


「桜!? なんで入ってきたの!?」


「なんか一人でいるの怖くなっちゃって……。だから絶対こっち見ちゃダメだからね!」


 それって理由にしていいの!? ホラー好きなんだよね? と聞いたらいつもは家に家族がいるから大丈夫だけど急に一人になったら怖くなったらしい。確かにホラー映画見たあとの風呂やトイレはいつもとは違う感じがして怖くなる。特に一人でいるとやたら隙間や曲がり角が気になってしまう。そのことについて納得する俺。


 ……………。


 いや納得しちゃダメでしょ! 思春期の男女が一緒にお風呂なんて間違いが起きてしまう。早くこの場から退散しなければ。いつもの三倍速で体を洗い、腰にタオルを巻いて出ようとする。


「お湯に浸からないの? 今度は私が体洗いたいから入っていいよ」


 いや、ダメです。俺が湯船に浸かっている間桜の裸体が目に入ってしまう。思春期の男の子には毒だ。見たくないことはない。むしろ見たい。全身を舐めまわすように見たいです! でも俺達は付き合ってもいないしそういうのはちゃんとした関係になってからじゃないとね!


「遼? 私出るから浸かっていいよ?」


「いや、桜の裸が見えちゃうから……」


「遼は私の裸見たくないの?」


「見たいです!」


 あ、本音がでちゃった。しかも反応早いな。脊椎反射だろこれ。首だけゆっくり振り返る。この位置からなら桜の顔しか見えない。桜は……小悪魔な笑みを浮かべていた。


「エッチ。でもそうだなぁ、見せてあげてもいいよ?」


 そういって湯船の縁に手をかける桜。ダメだよ桜! 女の子は自分の体を大切にしなきゃ! 止めようと動いたら裸体が見えてしまう。顔を背けようにも見たい本能から目をばっちり開けて背けない。もう見せてくれるって言ってるしもういいや! 俺は何も悪くない! おっぱい! おっぱい!


 ゆっくり立ち上がろうとする桜。ついに女の子のおっぱいと初対面! おっぱい! おっぱい! 小悪魔的表情を浮かべたまま立ち上がる桜は……水着を着ていた。


「ざんね~ん。水着を着ているのでした~♪ 遼エッチ~♪」


 タオル一枚の裸のまま膝をついて愕然とする俺。なんかデジャブだ。前はパンツだったな。パンツですらちゃんとした関係じゃないとダメって言ってたのにさらにハードルが高いおっぱいなんて見れるわけなかったんだ。普通に考えたらわかる。でもやっぱり期待したいじゃん?


「いつまでもそんな格好だと風邪引くよ。私もすぐ出るから外で体拭いて待ってて」


 そう促されたので風呂場を出る。脱衣所で体を拭いている時用意された服を見て桜の下着も近くにあると感じた俺は探したが見つからなかった。水着といい下着を隠すところといい桜の俺への対策は完璧だった。


 着替え終わりるとスマホにメッセージが届いた。姉さんからだ。


『桜の水着はかわいかったか?(笑)』


 水着はこの姉の差し金だったか! 絶対こいつ楽しんでやがる。


 あぁかわいかったよと返信し先に桜の部屋に戻るのであった。


 ―――――――――――――――――――――


 桜がお茶を持って部屋に戻ってくる。髪はまだ濡れており頬が赤い。ゴスロリワンピースではなくパジャマになっていた。風呂での件のこともあるがなんだかエロい。


 テーブルにお茶を置いた桜は先ほどと同じく俺の右側に座る。風呂上りということもありさっきよりいい匂いがした。


「それじゃ二回戦はじめよっか♪」


 なんか夜のプロレスみたいな言い方だな。まぁ一回戦すらヤってないんだけどね!そんなことを考えながらプレーヤーにディスクをセットする。念のため桜に見たことあるか聞いてみたがないと答えた。これは俺が一番怖いと思うとっておきの作品だ。俺が再生ボタンを押すと映画が始まった。


 この映画は内容はあまりよろしくないのだが、カメラワークがうまく特殊メイクも凝っているので驚くシーンが多い。またグロテスクなシーンを多いのでそこの描写はしないでおく。


 序盤から結構ハイペースに進むのでチラチラ桜の様子を見てみるが、やはり怖がっている様子はない。余裕の表情だ。先ほどみたいに腕を掴んでもいない。まだまだこれからだ。この映画は中盤からが恐ろしい。終盤に関しては俺も目を閉じたくなるものだ。


 中盤に差し掛かり驚くシーンの質が変わってきた。何度見ても怖い。桜を見てみると余裕の表情がなくなり少し口元に力が入っている気がする。怖いと思ってくれているかな。選んだかいがあったよ。


 終盤に近づくにつれて桜の体が時々小さく震える。悲鳴こそ上げないが怖いのだろう。俺だって怖いもん。そろそろこの映画の最大の見せ場だ。今日は桜が隣にいるんだ。かっこいいところを見せるためにビビッてなんかいられない。来るぞ……ここだ! 最恐のシーン。どんなものかというとグロテスクな表現が強すぎて言葉にできないとしかいいようがない。ただのグロテスクではないのだ。怖いしなんか痛い気分になる。


「ひゃっ!」


 桜が小さな悲鳴を上げる。映画で悲鳴を上げるのは今日初めてだな。抱きついてきたら頭を撫でて落ち着かせようとも考えていたがそんなことはなかった。まぁスマホが鳴った時に腕を掴む程度だったしそれはないよね。それからは特に怖いシーンもなく映画が終わった。


 ―――――――――――――――――――――


 俺は腰を上げプレーヤーからディスクを取り出し部屋の電気を付けた。


「最後のシーンは怖かったよ~。思わず声が出ちゃったし」


「俺もあのシーンは正直見るに堪えないな。毎回目をそらしたくなるよ」


 俺は桜の正面に座りなおし映画の感想を言い合う。これで今日見る分は終わった。しかしまだ終わっていなかった。まだ早いがそろそろ寝るか?と思っていたら部屋の窓からベシっと音が鳴った。


「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


 悲鳴を上げ抱きつく桜。俺も少し驚いたが正直桜の悲鳴にビビった。俺のお腹に桜の柔らかい部分が当たってる。この位置はまずい。元気になってしまう!


 引き離す為に少し桜の肩を押すが両手を俺の背中に回している。完全ホールド状態。このままだと離れてくれない。元気になるのを感づかれる前に原因を調べて落ち着かせないと。そう思い窓に目を向ける。カーテンがかかってて外側が見えない。だが耳を澄ますと小さな音がなっている。これは……虫が光に反応して窓に当たっているのか。おそらく先ほどの音は大きめの虫が窓に衝突した音だろう。原因がわかったので桜に教えなきゃ。


「桜。明かりをつけたから虫が光に反応して飛んできたんだよ。怖いことはないから安心して」


 怖がっている桜に対してできるだけ柔らかく伝える。それでも桜は離れない。そろそろまずい、仕方ない。俺は桜の頭を撫でる。少しビクっとする桜。昔藍が怖がっていたときにやったら落ち着いてくれだのだ。きっと桜も落ち着きを取り戻すに違いない。髪を撫でるように優しく撫でる。サラサラした髪だ。いい匂いもする。しばらく撫でてあげる。


「遼」


 落ち着いたのか桜が俺を呼ぶ。まだ第二形態ぐらいなので感づかれていないはずだ。よかった。これで離れてくれる。


「遼。……エッチ」


 感づかれていました。だって男の子だもん。反応するのは仕方がないよね! むしろこの状況で反応しない男子高校生と会ってみたいよ!


「でも、もう少し、このままでいさせて」


 おいおい、そんなんじゃ完全体になってしまう! そうなったら弁解のしようがない。落ち着け、落ち着け。あ、こういうときはお経だ!お経を唱えて無心になろう。ナムナムナム……。


 ―――――――――――――――――――――


「遼ありがとう。落ち着いてきたよ」


 俺がお経を唱えてから数分後、桜が落ち着きを取り戻し俺から離れる。完全体をさらさずにすんだ。桜の様子を窺う顔が赤い。なんだかドキっとしてしまう。


「今日はもう寝ましょうか」


 そう言って立ち上がる桜。そう言えば俺はどこで寝るんだろう? リビングにソファーがあったしそこかお兄さんの部屋のどちらかどろうかと思っていたら桜がベッドの下の収納スペースから布団と枕を取り出し床に敷いた。


「俺も同じ部屋で寝るのか?」


「そうだよー。ダメかな?」


 どうやらここで寝ることになるみたいだ。まぁ桜も怖がっていたし今日ぐらいはいいだろう。


「遼、エッチなこと考えていたでしょ?」


 小悪魔的表情でそんなことを言う。そんなことないので否定しておくか。


「いや、桜も怖がってたし今日ぐらいは同じ部屋で寝てもいいかなって思っていたんだ」


 そう答えると桜の顔が真っ赤になった。俺何か気に障るようなこと言ったかな?


「べっ別に怖くないし! 一人でも大丈夫だし! でっでも遼がどうしてもって言うなら一緒に寝てもいいよ!」


 一緒に寝るのはまずいよね。むしろそれだと俺が眠れない。布団も敷いてもらっているしそこで眠ることにする。


「ではお言葉に甘えてこの部屋で寝させていただきます。お嬢様」


 そういうと桜は満足そうにした。じゃあ寝ましょうかと桜がベッドに横になり俺が電気を消す。布団に横になる。こういうとき余計なことを考えると眠れなくなる。早いとこ睡魔に誘われるほうがいい。


「遼、ちゃんといる?」


 消えそうな声で問いかける桜。


「ちゃんといるよ」


「そっち行ってもいい?」


「それはダメ。早く寝よ」


「わかった。おやすみ」


 おやすみと答え目を閉じる。花もそうだが女の子は一人だと寂しいんだな。俺はそんなことを考えながら眠りに落ちた。桜の寝息はまだ聞こえなかった。

 時間ができたので書いてみることにしました。

 青春っていいですよね。私も学生時代部活をやっていたのですが、ゆるすぎてほとんど遊びみたいな感じでした。みなさんはどうでしたか?

 少し本編のお話をさせていただきます。主人公と出会う女の子の設定をどうするかをかなり迷いました。この作品は異世界に行くわけでもないですし、チート能力を持ったバトル物でもありません。そうなると自分があったことのある子をモチーフにしようと思ったのですが、女友達が少ないことに気づきます(笑)。いないことはないんですけど印象に残るようなインパクトが強い子はいないです。どうしたものかと思った矢先、ふと同居人が好きなタイプがヤンデレだったことを思い出したので一人はヤンデレ気質を持つ子にしました。ただ私がヤンデレについていまいちわかっていないところがあるのでそこは勉強中です。もう一人は私の趣味です(笑)。

 今後の展開ですが、どっちとくっつくとか誰ともくっつかないとかは実はまだ考えていません。ストーリー構成はほぼほぼ出来上がっているのでイベントを増やしていきながら考えたいと思います。人気投票で人気の高い子とくっつけるってのもいいですね。。


こんな感じで頑張っていきますので、感想やレビューをもらえるとうれしいです。


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