第一話 やりたいことをやってみる
転生も召還もチート能力もない普通のラブコメです。
ぜひ読んでみてください!
11部にあとがきを記載しています。
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どれだけの日本人が自分の人生を楽しめているだろうか?
世界各国から見て、日本人の働き方が異常だと言われているこの現状で。
朝の出社ラッシュの満員電車に乗り、夜遅くまで残業してまでも働き帰宅。
休みの日は平日の仕事の疲れでほとんど部屋から出ずに寝て過ごしまた平日へ……
そんな生活で、本当に満足しているのか?
それが自分のホントにやりたい事ならいい。
しかし、ホントにやりたい事をやっている人は極めて稀だと思う。
そんな満足できない生き方でいいのだろうか?
俺はそんな人生ごめんだ。
「人間五十年」と昔の偉い人も言ってたし、さらには繰り返しが効かない一度きりだ。
転生物のラノベを読むと、「俺も転生してハーレム満喫したいぜ!」とか「俺tueeeみたいなことしたい!」とか思うが、現実は甘くない。死んだら終わり。それが人生。
そして、俺はどんな死に方であろうが、自分の人生に満足して笑って死にたい!反省はしても後悔だけは絶対にしたくない!やりたいことをやって生きていく!自分の人生は楽しまなきゃ!
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俺は篠崎遼。自分で言うのもなんだが、頭は割りといい方、スポーツも割りと何でもできちゃう、見た目は身長が高いせいか割りといい方に見えるらしい。そして今日から晴れて高校生!
私立調ヶ丘学園。地元では名の知れた進学校で、なんと言っても女子の制服がかわいい。入学式前に集まっている面々を見回すと、結構かわいい女の子多いぞ。進学校って聞いてたから真面目な子ばかりかと思っていたがこれは予想外。これから三年間楽しみだ!うへへへぇ。
「お~い、遼! そろそろ体育館に集まれってさ!」
「遼君、また女の子ばっか見てたでしょ! 早くしないと遅れるよ!」
そんな妄想にふけっていると幼馴染の小田一成とその彼女の佐田詩織が声を掛けてきた。一成は俺よりも身長が高く、細マッチョで短髪爽やかボーイ。詩織ちゃんは逆に小柄で細く貧乳、明るい髪色のボブカット、ふわふわしててかわいい女の子だ。こんな身長差がある二人は中学時代から付き合っている。リア充爆発しろと中学時代になんど叫んだことか……
「詩織ちゃん、またってどうゆうこと!? 俺を変態にしないでよ!」
「遼君は中学の頃から女の子を見てる時の顔が、にやけてて気持ち悪いよ」
と、にこやかな顔で俺に精神ダメージを与えてくる。この子は俺の精神を抉る発言が多い。
「おい、一成! お前の彼女の発言は毎度毎度俺を苦しめるのだがどういう教育していやがる……」
「ん? あぁ~まぁ~ホントのことだからな。どうにかした方がいいぞそれ」
どうやらここに俺の味方はいないようだ。一成とは幼稚園からの腐れ縁で昔からかなり気があうのだが、詩織ちゃんにはかなり甘い。それでもやはり幼馴染のこいつといるのは楽だ。
一成とは中学まで同じ野球部に所属していた。詩織ちゃんはそのマネージャーだった。二人は高校でも部活は野球にするのかな?
「一成は高校でも野球やるのか? そうなるとまた詩織ちゃんもマネージャー?」
入学式の会場である体育館に向かいながら問いかける。小中と一緒に野球続けてたからそのままやるだろうと思っていたのだか、一成と詩織ちゃんは首を横に振った。
「ほら、うちの家医者一家じゃん? 兄貴も大学の医学部だし。親も俺が医者になってほしいみたいでさ。高校三年間は医学部受験の為に勉強することにしたんだ」
「へぇ~。でもお前医者になりたいのか? 意外だったよ」
「なりたい訳じゃないんだけど、期待されちゃってるから仕方ない」
「まぁ、お前が決めたことなら応援はするけどさ」
正直俺は、一成がうらやましいと思う反面おかしいとも思った。自分の上に敷かれてる決められたレールを走っているだけでいい。ただ、目標の為にやるべきことをやればいい。でも、それはホントに自分の為なのだろうか?期待されているから流されるがまま、自分を殺してまで成すべき事なのだろうか?俺自身、やりたいことがわからないからそのことは決して口には出せないのだけれど……
「私はね、実は楽器がやりたくてバンド部に入ろうと思っているの」
「へぇ~。詩織ちゃん歌うまそうだしあってるかも」
「遼、残念ながら詩織の歌は壊滅的だ」
「え? まじ?」
「あぁ。詩織には悪いが俺達は今後一切カラオケデートはしないと決定した」
「べっ別にいいじゃん!歌うのと演奏するのはきっと別物だよ! きっと……。でもやりたいからやってみるもん! 新たなチャレンジだよ!」
顔を赤くしながら、詩織ちゃんが叫ぶ。やっぱりこの子は前向きだな。
「詩織ちゃんのチャレンジ応援するよ! 頑張ってね!」
「あぁ。こんなかわいい詩織だ、歌が壊滅的でもきっと大丈夫だ」
「一成君、かわいいだなんて♪」
一成と詩織ちゃんが手を繋ぎ見つめあう。
………………
あぁーこいつら二人の世界に入りやがった。おーい、俺いますよー。みんなも見てますよー。
……だめだこりゃ。いいもんね!おれもすぐかわいい彼女ゲットしちゃうもんね!
心にそう刻み込み再び女の子観賞を始める俺であった。なかなかおっぱい大きい子発見、要チェック。
そういや、詩織ちゃんが音痴とは意外だったな。少し気になる。今度お願いしてみよう。
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体育館に到着し、丁度三人が座れる席を見つけ座る。真ん中に一成、左に俺、右に詩織ちゃん。
「遼、お前は野球続けるのか?」
席に着いた直後一成が尋ねてくる。部活のこと俺だけ話してなかったか。
「いや、野球はもう……」
「そっか。お前元々中学も野球するつもりなかったもんな」
野球は小学生からやっているが、正直あまり好きではない。暑い中毎日走らされるし、丸刈りにしないといけないし、人数多い部活の分やたら人間関係めんどうだし、etc.………。
でも、野球やってよかったと思っていることもある。野球するまで、太ってていじめられていた俺は今ではスマート体型。あの時の苦しみは二度と味わいたくない。イジメ!ダメ!ゼッタイ! もう誰にもデブなんて言わせないよ!でも野球はもういいや。
「そしたら遼君は部活何するの?」
そこなのだ。帰宅部という選択肢もある。しかし、俺は先ほど詩織ちゃんが言ってた言葉を思い返す。
『やりたいからやってみるもん!新たなチャレンジだよ!』
やりたくない事はやりたくない。ダメな大人になっちゃうね。けど、やりたくない事をやって楽しいのか。やりたい事をやって楽しいのが一番だよ!
では俺のやりたい事ってなんなのだ?
「部活にはなにかしら入部するつもりだけど、まだやりたい事が決まってないかな。やりたいことをやってみる、新たなチャレンジ。この学園大きいし俺のやりたい事が見つかるかもしれない」
「そっか。そうだね。見つかるといいね」
にこやかな詩織ちゃん。かわいいな。俺もこんなかわいい彼女ほしいよ。あ、そっか!女の子の比率が高い部活にしたら……
「あ、遼君。先に言っておくけど女の子目的はダメだからね」
な、何故わかった……!?
「顔に出てるよ♪」
「……はい」
そんなにこやかな顔でこの子はどこまで俺の精神を攻撃するのだ。隣で一成がため息をついた。
「式が始まるからそろそろ静かにな」
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入学式が終わり初HRを各クラスで行うとの事で俺達はそれぞれの教室へ移動する。ちなみに三人ともばらばらだった。そりゃそうだ。一学年で二十クラスとかどんだけ多いんだよと思いつつ俺は自分のクラスに入る。
これから一年過ごす仲間だ、可能な限りみんなと仲良くしたい。そして可能な限りかわいい女の子とお近づきになりたい。
俺の席はまさかのクラスのど真ん中、まあ一番前の教卓の目の前よりはいいかと思いながら席に着く。
着席後、俺の横を女の子が通った。スタイルがよくかわいい。詩織ちゃんのようなふわふわしたかわいさではなく、黒髪ロングで清楚系の可憐さとでも言うべきだろう。顔がこわばっているのははきっと緊張しているからだろう。通った後の残り香がすごくいい匂いだ。
うん、この子とは絶対仲良くなろう!
そう考えている内に先生がやってきた。まだ若めでメガネを掛けた真面目そうな男の先生だ。
その後はみんなの自己紹介と今後の授業や学園のスケジュールの説明が終了し解散となった。
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「さすがでかいだけあって部活も多いな……」
HR解散後、俺は部活勧誘を見学しに来た。
メジャーな部活はもちろん、あまり浸透していないスポーツや活動内容がやや不明な文科系の部活まで様々だった。
こんなたくさんの中、俺がやりたい事ってあるのかな?
趣味が無い訳ではない。スポーツは全般的に好きだし、ゲームやアニメ、読書も好きだ。ただ、それは趣味であって、部活としてやることではないと思う。趣味を部活にしたら息抜きすることが難しくなるかもしれないからね。
スタイルのいいお姉様方が多い水泳部や、きれいな和服を着たお姉さま方のいる茶道部にも惹かれたが、女の子に惹かれただけでありやりたい事ではない。水着姿の水泳部員のお姉様方は眼福であった。
「もういっそ、俺も帰宅部で一成と勉強でもやっとくべきか……ん?」
何やら騒がしいと思ったら、野外ステージのコーナーまで来たようだ。ちょうどバンド部が演奏中となっている。
「新入生のベイベー、俺達に興味があったら待ってるぜ!」
そんなセリフを言いつつ、バンド部は舞台裏に下がっていく中、会場の女の子達がキャーキャー言ってる。
バンドってモテるのか?それなら俺もバンド部に入って女の子にモテモテ……いや待て、詩織ちゃんもバンド部に入るって言ってたな。詩織ちゃんのことは嫌いではないが、三年間詩織ちゃんにいじられ続けてたら俺の心が持たない。
バンド部はないな。とりあえずしばらくステージを見ていくか。
その後の吹奏楽部や手品部、空手部の演武などあったが、特に惹かれるものはなかった。
「続いてはダンス部のみなさんです!お願いしまーす!」
フラダンスかフォークダンスか? そんな部活まであるのか。
フラダンスならお姉様方のくびれを見れて眼福だし、フォークダンスなら合法的(?)に女の子の体に触り放題なので興味を示した。
しかし、ステージに出てきたのは男共。男がフラダンスをするのかと思ったが、音楽が流れ出した瞬間、俺は目を離せなくなっていた。
アップテンポの曲合わせてステップを踏み、バク転・バク宙をきめたり、カンフー映画とかで見るクルクル回るやつをやったり、ステージにいる全員の動きが一つの作品のように見えた。
今まで、こんなにかっこいいことをやっている人達がいるなんて知らなかった。
心が昂った。胸が熱い。こんなこと今までにあっただろうか。
―――――――――――――――――――――
帰宅した俺は、自分の部屋で先ほど見たダンスを調べてみた。いわゆる[ブレイクダンス]というものらしく、ストリートダンスの一つらしい。
動画を検索し見てみたところ、ステージで踊っていた人達と同じくかっこよかった。
俺にもあんなかっこよく踊ることができるかな?
新たなチャレンジ、詩織ちゃんが言ってた事を思い返しながら考える。
「明日ダンス部の見学に行ってみよう」
俺はこの時初めて、自分からやりたいことを決めたのだった。
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