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カイオ・デュイリオの場合

 14インチ砲戦艦は順調に建造が進んでいる。

 だが、オーストリアが14インチ級かそれ以上の超ド級戦艦の建造に動くという情報がもたらされた。

 建艦競争ではイタリアが不利だ。

 

 つか、この時代の日本ってなんであんなにボコボコ超ド級戦艦建造してんだ?

 イタリアにはそれを支える経済力がないが、ちょうど今、トルコとの戦争でリビア獲得が目の前だ。あそこには石油が眠っている。あれを掘り当てればイタリアは富を得る道が開けるだろう。

 目の前にあるチート装置によりどこに油田があるのかを探り、それとなく政治家や海軍高官の耳に入れる。


 ただ、すぐに原油が噴出してイタリアが潤うという話でもない。とは言え、この話には政治も乗り気らしい。


 さて、戦艦についてなのだが、すでに10隻を有するまでになった。それはそれだけ経済的負担も大きいことを意味する。原油が見つかるまで自重が必要かな?


 そうとも思ったが、海軍内部ではそんな悠長な話はして居られないらしい。オーストリアだけでなく、フランスがド級戦艦16隻建造という計画をぶち上げてきた。すでにド級戦艦の就役が始まっており、今は超ド級戦艦の建造に移行しているとさえ伝えられている。

 ダントン級は準ド級ではなかったかね?


 俺がイタリアの歴史を捻じ曲げた結果、オーストリアに次いでフランスまでもその歴史が変わってしまっている。

 ダントン級はオーストリアのラデツキー級同様、副砲として24cm連装砲を6基積んだ準ド級戦艦のはずだった。それがどうだろう、12インチ砲戦艦に設計変更されて今まさに次々就役している最中だ。

 これに続くクーベル級はうん、3連装になってやがる。3連装2基に背負い式で連装2基、挙句に舷側にも連装各一基とかフザケた仕様だ。

 次のプロヴァンス級は3連装4基、34cm砲との情報がある。

 

 つまり、戦艦が10隻あるから安泰なんて場合ではない。リビアに石油の可能性がある以上、地中海の東を完全に支配できなければフランスに輸送ルートを侵されかねないという疑念がある。下手をしたらリビアを奪われかねない。


 史実でのイタリア海軍は戦略の構築がなされることなくフラフラしていたが、今のイタリアにはリビア死守という目標が出来た。

 オーストリアをアドリア海に閉じ込め、フランスをリビアに近づけてはならないという経済無視の二正面作戦すら必要になった。いや、経済のためなんだけどね?


 ただ、、バルカン半島の混迷は史実通りである。まあ、そんなものはオーストリアに任せておけばいい。原因がイタリアにあるとしてもだ。

 

 バルカン半島混迷の原因でもある伊土戦争において、艦艇の速力こそが命という教訓がもたらされている。これはベイルート港突入作戦の戦果が華々しかったことにもよるだろう。

 史実以上の戦艦戦力を揃え、その技術的恩恵は巡洋艦にも波及している。より一層の韋駄天化に拍車がかかりそうな勢いだったが、巡洋艦以下は俺の管轄ではない。優秀な技官なら他に沢山居るんだから彼らがやってくれるだろう。


 そんなこんなで新戦艦の構想に入ったが、まあ、正直、未来を知る身としては、答えはすぐそこにあった。

 3連装砲の利点を有効に活用させてもらうこにとする。


 連装砲塔の利点は、すでに形式として実績があり、余裕をもって砲を配置出来る事だろうか。

 それに対し、3連装はどうしても中が窮屈になる欠点がある。しかも、揚弾機構が複雑になるので被弾時の被害も大きくなりやすい。

 しかし、連装砲塔で艦艇を作ると例えば日本の戦艦扶桑型のような船体の広域に砲塔を配置することで被弾リスクを大きくし、装甲帯も冗長になる、それに対し、大和型は巨砲を備える割にコンパクトにまとまられている事に気づいているだろうか?

 何事も完璧はない。が、より良い選択というのは存在する。

 連装砲塔を4基積むよりも砲門数を多く、そして、連装5基積むよりも1門少ないがコンパクトにまとめることが出来る。これをメリットと見るかデメリットと見るか。


 もちろん、日本のように水圧機の問題で3連装への転換が遅れた例もある。そして、極度に集弾性を求めたならば、3連装は分が悪い。日本はその二点の理由で3連装に二の足を踏んだ可能性が高そうだ。とは言え、ワシントン条約以後の新世代の話ではやはり3連装が当然とされている。


 長々と無駄話を語ったが、プロバンス級に対抗する戦艦として14インチ3連装砲3基の戦艦を作ろうという話だ。


カイオ・デゥイリオ級

排水量  25600t

全長     185m

幅     28.5m

出力  48000馬力

速力    23ノット

武装 14インチ3連装砲3基、6インチ連装砲3基他


ちなみに、後部だけではあるが、副砲を大和型よろしく主砲との背負い式にしている。これにより、史実でローマ爆沈の原因になった副砲と主砲の弾薬庫が近すぎるという問題を改善している。そして、副砲数を減らして大口径化と重量の節約を達成してみたのだが、海軍からは不満も多く寄せられている。解せぬ。


搭載砲が違うではないかというあなた、これは架空の戦艦です。


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