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ヴィットリオ・ヴェネトの場合

 海軍休日によりどこの国も戦艦を建造しなくなった。

 それはある意味で平和ではあったが、何もなかったわけではない。特に大きな衝撃を与えたのはドイツが建造した装甲艦、いわゆるポケット戦艦だろう。

 これに触発されたフランスは新戦艦の建造を始めることになる。これが後のダンケルク級だが、史実とは少し違っている。

 史実におけるダンケルク級は33㎝砲を4連装砲塔に収め、それを前方に集中する方法を採用している。

 これは英国が建造したネルソン級によってこの時期各国で研究が行われていた方法だった。


 この世界ではどうかというと。確かにネルソン級の影響から前方集中配置は変わらない。しかし、その主砲口径は33㎝ではなく、34㎝だった。わずか1㎝と思うだろうが、戦艦の主砲においてそれは大きな違いだ。

 当然のことながら、旧世代の34㎝砲ではない。改良を加えられ初速が上がり、射程も大きく伸びていた。現在イタリアが保有する戦艦は大抵が射程20㎞程度でしかなく、それを超える有効射程を持つ砲とあって危機感を持つには十分なものだった。


 当然、これまで指をくわえていた訳ではない。しかし、いくら研究や設計は出来ても、石油だけでは経済が伸び悩むようになっていた。そして、条約もあって容易に戦艦を弄れる状態でもなかったわけだが。


 ここでようやく戦艦の改装に関する話がにぎやかになってきだした。

 政治に関してはやはり、ムッソリーニが政権を握ることになっている。そして、まずはフランチェスコ・カラッチョロから改装がスタートした。

 改装内容は当然、クリストフォロ・コロンボ級に採用された防御機能の適用と、射程を延長するための改装が主として行われることとなる。


 14インチ砲搭載艦のカイオ・デュイリオ級も順次改装が決まり、防御と射程延長を中心にした改装に着手されていく。


 しかし、その一方で14インチ砲搭載艦だが、姉妹艦が戦没しているルッジェーロ・デ・ラウリヤや12インチ砲搭載のルジナ・エレナ級、ダンテ・アリギエーリ級、コンテ・ディ・カブール級については予算の都合もあり、順次退役が予定されている。


 さて、第二次大戦のイタリア海軍と言えば、タラント空襲が有名だろう。艦隊保全のために引きこもっていたところを英国海軍機に攻撃されて軍港で多大な被害を受けたアレ。

 その被害を軽減する方策としてレーダーの開発を促すことにした。1928年に発表されたアンテナとマグネトロンの技術を早速取り入れて開発を始めることになる。周りから奇異の目で見られることとなるが、必要性を考えたら避けては通れない関門だった。


 戦艦の改修は史実の大改装と比べて大人しめの改装に終わり、速力もほぼ据え置かれることになる。

 それが吉と出るか凶と出るかはこの時点ではわからなかったが。


 そのようにして行われた改装と並行するように新戦艦の設計が開始されたが、またぞろアレが起きた。

 二度あることは三度あるとは言うが、これはさすがに拙くないか?本当に帰れるのか?正直、不安ばかりが募っている。


 今回は当然あれだ。ヴィットリオ・ヴェネト級の設計チームである。ここまでくると笑えてくるんだが・・・・


 さて、その設計だが、まず大ナタを振ったのがかの水中防御方式、自分で考えたものに修正を加えるわけだからどこからも文句は出ない。

 幸いにもこの世界では他の艦にはクリストフォロ・コロンボ級と同じ方式が採用されている。当然ながら、今回もそれを採用している。


 中身は違うのだが、前任者(以前の俺)の方式をわざわざ自分(俺が入る前)の新考案に換えて採用する姿に周りが驚いていた。そりゃあ、そうだよな。説明に苦労した。

 

 他にもレーダーの搭載を考慮したり、機関を重巡と同じにするという禁じ手まで繰り出している。

 なぜそこまでするのかって?


 それは、ヴィットリオ・ヴェネト級自体は15インチ砲だが、この後に16インチ砲戦艦を出来るだけ同じ船体で作るための準備として行っている。


ヴィットリオ・ヴェネト級

排水量   42500t

全長      242m

幅      33.2m

出力  150000馬力

速力     31ノット

武装 15インチ3連装砲3基、6インチ3連装砲3基、90mm単装高射砲12基他


 これまでの間に重巡洋艦で採用されているボイラーやタービンをベースにしたものを採用し、技術力が向上している事で単一で300mmを超える装甲が実現できているので舷側装甲も二枚重ねの380mmではなく、単一の320mmに変更している。それ以外にも溶接技術やら電動関連やらの技術もあるので史実よりも大型化したのに軽量化も達成するという効果が出ている。

 副砲配置は当然のようにカイオ・デュイリオ級同様になっており、爆沈の悲劇が起きにくくなっている。その対応のために全長が伸びているが。

 そうそう、起工は1935年と史実より一年遅れだが、技術の向上で完成は早まるだろうと思われる。




 


さあ、まだトリではありません。


性能はほぼ史実の艦と同じですが若干性能は異なっています。


感想、評価の砲もお願いします。

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