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能力対策特務二課  作者: ころろん
一章 ~雛鳥と鳥籠~
9/12

1章/軽くお勉強

アクセスして頂きありがとうございます。

投稿が遅いのは仕様です



プシュー、ガシャンッ



「鳥籠って、なんなの?なにかの暗喩?」



書庫の扉をカードキーで開きながら、風間は富司峰に言われたことを考える。


(中二病的な例えじゃないだろうし……だってコードネームでしょ?

つまり特務二課での名称みたいなものだろうし。

それに能力名かなにかかもしれないし……)



この世界には能力者が溢れている。

棺、なんて中二チックな名称など、他にも幾らでもある。


風間は書物検索機の前で能力について思考していた。



(能力ねー。そんなのあんまりあっても変わらないような。ちょっと御堂さんのファイルよりも前に

能力についての本を読んでみよ。詳しい本がありそうだし。

なんといっても能力対策特務二課だし。能力について詳しい本があるはず)



風間の考えは当たっていた。

検索すると数えきれない数の本がヒットし、風間はその中から「能力基礎理論Ⅰ」という本を選ぶことにした。

ついでにと、「能力対策特務二課 御堂 幸音」というファイルの場所も検索しておく。

書庫が無駄に広いせいで、検索しないと新人の風間には、置いてある場所すらわからなかったのだ。



ガタッ



風間は書庫の机に探し出した「能力基礎理論Ⅰ」の本と「能力対策特務二課 御堂 幸音」のファイルを置いて椅子に座った。



「さてと、読みますかね……読むのは基本的な部分だけでいいでしょ……」




風間は眼鏡を掛けて、読書に集中していった。





ーーーーーーーーーーーー


能力



 能力とは、人が扱えるようになった超常的な現象のことである。

物理法則を無視することは当たり前であり、人によって千差万別の事象を発生させることができる。

そもそも、なぜ人間が能力というものを得ることになったのか。

原因は約100年前に地球に落下した複数の隕石によるものだという説が有力説だと言われている。

他にも様々な説が唱えられてるが、ここでは省くとする。

 前記にある通り、能力は人によって千差万別である。教科書で最初に例として紹介されるのは、

大抵が放出系の能力である。放出系、つまりは炎や雷、氷などを生成し操る能力である。

こういった能力が紹介されるのは、目で見え、超常現象としてわかりやすいからである。

この放出系についてだが、特徴としてはシンプルであるが故に…………



(あー、長くなりそう………ここらへん飛ばそう)


ペラッ、ペラッ、ペラッ



………者が世界に現れ、その数が多くなることによって能力による事件が発生し始めた。

能力発言から十数年、世界には能力者に対する法律ができ始めていた。

さらに、能力の研究に世界が尽力するようになり、各国が能力研究に莫大な研究費を投資する。

だが、能力発現初期から能力犯罪が減りはしたが、十数年経過したぐらいでは劇的な変化は訪れなかった。

そんな事態に小さな光が差し込んだ。……



(歴史を知りたいわけじゃなくて……もう少し先を見ないと)



ペラペラペラペラペラペラ……



能力ランク



 能力者を考慮した法律がある程度定まりつつあるころ、能力にはランク付けがされるようになってきていた。

ランクはEからAまでの五段階評価であり、その基準は初期のころは曖昧なものであった。

しかし、現在は個人の能力容量<キャパシティ>、出力強度、能力理解度で決まる。



(ん?付箋の張り忘れ?なにが書いてある……の……………え?)





------------------------------------------------------

能力ランクは基本的にこの三つで審査されるけど、

重要なのは、戦争にどれだけ利用できるか

どれだけ利用価値があるか、それがランクという基準評価

------------------------------------------------------





(こんなの……高校でも大学でも習ってない!? えっ、本当なの!?この情報………他に付箋は?)



風間はパラパラと勢いよくページをいっきに流し見していく。

すると付箋が張ってあるページをもう一つ風間は見つけた。



(まずは、ページの内容を読まないと……)




能力解放


能力解放とは、第二能力への覚醒を意味している。

まず能力には第一能力(First Ability)と第二能力(Second Ability)の二つに大きく区分することができる。

基本的に能力者は第一能力を有しているが、極々稀に二つ目の能力、つまり第二能力を得ることがある。

第二能力を得ることを能力解放と呼ぶ。そして第二能力を保持している能力者をダブルホルダーと呼ぶ。

能力解放の条件は、今だ解明されていないが、学会では様々な論議がなされている。

第二能力の特徴としては、第一能力の出力上昇、もしくは能力拡張が多い。この特徴は主に進化と呼ばれている。

だが、進化の他に突然変異と呼ばれる特徴が存在する。

突然変異は、第一能力とは別系統の能力が覚醒することを指す。

この事例は少なく、「進化よりも条件が厳しいのではないか」など議論がされている。




(……勉強した内容だ。それで付箋は……)





---------------------------------------------

覚醒する能力は人の願い、欲望

潜在的な願望が能力に影響する

ある程度莫大なキャパが必要かも?


進化……第一能力を気に入っている節が多い

突然変異……心理的負荷時に抱える願望に沿っている傾向あり

----------------------------------------------





(これも聞いたことがない。けど………)



風間は二枚の付箋を外し、机に並べた。



(この付箋、それに読んでて気になったけど、この本、線引きが多い。本もなんかボロいような気もする。

誰かの勉強後みたい(・・・・・・・・・)………)



その考えに行きつき、風間は本に名前が書いてないかを確認した。

そして、本の背表紙裏にきちんと書かれていた。

書かれていた名前には覚えがある。




みどう ゆきね




(これってあの子の勉強本!?ちょっと待って、ひらがな?

えっ、ちょっ。付箋は漢字、名前はひらがな。それって……)



ひらがなは小さい頃に書いたもの、付箋は漢字が書ける年齢で書いたもの。

擦れた表紙とページ、そこから考えて……



(何度も読んで、自分の考察も書いてる………………生粋の努力家)



風間は幸音の人物像を少し向上させていた。

しかし、気づかない。

ひらがなを書く年齢で、「能力基礎理論」なんてものを勉強していることがありえない、ということを。



(なんか……一冊本を流し読みしただけでいろいろと疲れが………はーーー、次)



風間は「能力基礎理論Ⅰ」の本を机に置き、最初の目的である御堂 幸音に関するファイルを手に取る。



(どれどれ…………)




--------------------------------------------------------------------

御堂 幸音  女 / 2105年7月4日生まれ

能力者ランク : S

ダブルホルダー

コードネーム:鳥籠


出生:秘匿情報


第一能力:氷雪指揮

 氷、雪を生成し、自由自在に操作することができる。

 御堂幸音の能力容量の膨大さ、能力の応用力によって

 シンプルだが強力な能力となっている。


第二能力:秘匿情報

             ・

             ・

             ・

---------------------------------------------------------------------







「………………はぁぁ?!」


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