レディ・ブラッド~前世で殺されましたので、今度は私が殺ることにしました! その1
私は誰かに殺されて真っ白な世界が視界を覆い尽くす。幾ばくか過ぎて意識を取り戻すとそこは森の中だった。
体は人間のものより軽く、背には硬めの羽が生えている。
近くの川を探し自身の姿を確認してみると、それは人に近く濃い桃の髪、緑の目はかつての自分と同じものだった。
口に牙のある怪物……世に聞く吸血鬼になっているようだが、今は朝だというのに、日の光は平気だわ。
私は輪廻転生というものをしたのかしら? 西には転生という概念はなく、死した魂は永劫に冥界に留まる。
私は東の民ではないから、どうも違う気がする。けれど人間が吸血鬼になるなんて、やはり転生なのかし……
「うぐぅ……!」
いきなり傷はないのに、胸部へ鋭い刃物で刺された痛みがはしる。
思い出そうとしても誰が私を殺したのか、どうして吸血鬼に転生したのかも分からない。
「そこにいるのは誰だ!?」
「あ……あの……」
黒髪の男と彼より若そうな金髪の男が、物珍しそうにこちらを見ている。
「吸血鬼がこのような明るい時間に、城の近くをうろついているとは……」
「よほど命知らずなのでしょう。殿下、捕えますか?」
吸血鬼になったら、どう戦うのが正解なんて元人間だから知らない。
空を飛ぼうにも、背の羽は飾りかと思うほどこわばっていて、動かすのに練習がいる。
「待て、彼女は使えそうだ」
「もしや……」
何を企んでいるのかしら。二人だけで納得されても困るわ。