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冒険者は孤塔へ消える 2


塔に眠りし少女は、とても美しく永遠なる命を持つ。

しかし、その姿を見た男は必ず絶命するのだ。


それこそ、不死者でもない限りは生きて塔を出ることは叶わない。

なぜなら少女は――――



「ごちそうさまでした」


カラリ、コロンと白くなったそれが背骨から折れて転げる。


「あまり骨の栄養状態がよくないから、魚を食べたほうがいいよ」


すでに手遅れ、物言わぬ骸骨となった中年の男。

何度も見てきたのに、毎度よくわからない感情が芽生える。


「ねえ、誰か答えてよ」


そう言うと、階段を登る音が聴こえる。


「また誰か来たの?」


冒険者など金目当てに人間ならざる私を拐いに来るのだから、容赦なく殺してしまえばいい。

私を作った錬金術士の女は、私にそう教えてからどこかに行ってしまった。


「本当にいるんだな……」


黒く長い髪をした男は、私を観ると驚いて以降の言葉を失った。


「お前なにか用でもあるの、やっぱり私を売り飛ばして金にする気かしら?」

「俺はただの冒険者、現地の観光に土産を買うくらいで商売はしない」


――そういうの大体が嘘なので信用しない。


「あっそ、お前が私に危害を加えない証拠は?」

「ないな」


そこは普通、危害を加える気はないから信じてくれ。

とか言う場面だろうし、大半の冒険者くずれはその場凌ぎでそういう。


「自慢じゃないが、俺って金持ちの次男坊で金には困ってないんだ」

「それが証拠?」


随分と信憑性のある高等な手口を考えたものだわ。


「お前が去るなら命はとらないわ」

「村人から聞いたんだが、この塔に一人でいるらしいな。寂しくないのか?」


唐突に男からたずねられ、私は面をくらったように不思議な感じがした。


「寂しい……?」


さっきまでの疑問が、少しだけわかったような気もする。

ひょっとしたら私は寂しいのかもしれない。


「お節介かもしれないが、いくら煩わしい人間関係を避けたくても一生を一人なんて辛いだろ」

「それは、たしかに」


冒険者が定期的に私の噂を聞き付けて連れ去りに来るから完全な一人ではない。

だが私の身近な他人は私を利用するのが大半で殺すか逃がすかなのだ。


「あんた名前はなんていうんだ?」

「そんなの無い。ただの錬成功物よ」


男は少し考え、ひらめいたように口をひらく。


「この花やるよ」

「なにこれ」

「名前のない花だ」

「そこは花には名前があって私にその花の名をくれる場面じゃないの?」


錬金術士が置いていった恋愛書物にそんな感じの話があった。


「正式にはそこらへんに咲いてたから名前なんて知らないんだ」

「ふーん」

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