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冒険者は孤塔へ消える 1名も無き旅人
これは、フラワーが王国から公国になる前の話―――――。
ある村に住んでいた男は出稼ぎに旅へ出る。
名も知らぬ、美しい花に囲まれた場所を訪れた。
「旅人さんかい?」
老人は旅の男に声をかける。
「はい、ここはどこですか?」
「ここはフラワー王国だよ。お前さんはどうしてここへ?」
「村から出稼ぎにきています」
旅人はツギハギだらけの服を着ている。
「金に困ってるのか、ならいい話がある」
老人は貧しい旅人を、不憫に思う。
旅人が訪れたフラワー王国には伝説があった。
――――――塔の地下深くに、美しい少女が眠っている。