閑話 マオリーン
予告よるの忘れてました(-_-;)
今日も3話投稿します!!
次は3時くらいに!!
今日でこの国での話は終わります!!
私の小さな頃は今とは違って、病弱で大人しい子だった。獣人である事、パパの子供である事は誇りに思っていたのだが、自分の体が他の子達のように軽快に動かない事に、ますます落ち込んでいった。パパはそれでも私に優しい言葉を掛けてきたが、それでも私は自分自身に自信を持ちたかった。私は獣人なんだぞと、パパの自慢の娘なんだぞと……
だから私は少しずつ少しずつ弱い体を鍛えていった。最初の頃は腕立てすら満足に回数をこなす事が出来なかった体に落ち込む事もあったし泣く事もあったが、それでも私は諦めなかった。パパもママも諦めない私を応援してくれた。そうして、少しずつ鍛えていく日々を過ごしていく内に、気が付けば同年代の子の中で一番軽快な動きが出来るようになっていた。
体が軽快に動くようになると、今度は剣術に興味を示すようになった。ママは私が護身術程度に学ぶつもりだと思っていたようだけど、パパに国の兵士達が訓練している場所に見学として連れて行かれ、その光景を見た瞬間に私は戦士としての道を歩もうと心に決めた。兵士達が凄く格好良く見えたのもあるが、私が理想とする自分の姿がそこにあると思ったからだ。
剣術を本格的に習いたいと言うと、ママに凄く怒られた。女の子なんだから剣術よりも家事の方を覚えなさいと言われた。ママの言いたい事はわかる。私の将来を心配しての事なんだろうと思うけど、私は剣術を習いたいのだ。そういうのは好きな人が出来てからでもいいんじゃないだろうかと思う。まぁ好きな人なんていないし、それに私は自分よりも強い人じゃないと嫌だ。パパからの口添えもあって、ママのお手伝いをきちんとする事を条件に私は剣術を習う事を許された。
剣術を習い始めて数年経った。その間に長剣や大剣等色々試したが、最も自分に合っていたのは速度を活かした双剣だった。双剣使いとして体付きを速度重視に調整し、それに合わせて鍛えていく。獣人同士の対戦や魔物相手に命のやり取り等、もちろんその間のママのお手伝いも決して忘れない。
そうして過ごす内に私の強さは獣人の国の中でも知られるようになった。多分、そうそう私に勝てる者は居ないだろう。しかし、この頃から別の問題も出てきた。私に求婚してくる男性が至る所から現れたのだ。もちろん全て断った。大抵の人達は私より弱いし、正直言って胸がときめかないからだ。もしかしたら、中には良い話というのもあったかも知れないけど、将来の伴侶は自分で見つけて決めたかった。
自分を鍛えながらママのお手伝いをし、求婚を断り続ける日々を過ごしている時に、パパとギオ叔父様の不穏な会話を耳にした。南近郊の村や街から行方不明になる同胞が数多くいるという話で、その原因が調査結果によると南の国が攫っているらしいと言っていた。そのまま私は飛び出した。とても許せる話ではないし、何より私には力がある。戦う力が。
飛び出した私は途中で妖しい一団を見つけた。森の中で人族の集団が何やらコソコソとやっているのだ。その様子を木の上から確認すると、何人もの同胞が縛られ捕らえられていた。私は怒りにまかせて突撃し何人かの人族を倒した後、仮面の男が現れた。自分の強さに自信を持っていた私はその仮面の男に負けてしまった。負けた事と同胞を助けられなかった事の2つの悔しさで自然と涙が出る……
「まったく……兵士共は攫う事すら出来ないのか。今回はたまたま俺が居たからいいものを……まぁ、ただコイツはゴーレムの練習相手にはうってつけだな……」
仮面の男が何やら言っていたが私の耳には届かなかった……
隷属首輪を嵌められ、仮面の男に連れられて迷路のような地下通路を通り、連れていかれた場所は広大な地下空間だった。その地下空間には何やら石で出来た人形が数えきれない程居り、何やら戦闘音が聴こえる。
「ここがお前の新しい場所だ。まぁ、せいぜい長生きして楽しませてくれよ」
仮面の男は私にそう言うと、双剣を投げ渡し通路へと戻っていった。隷属首輪を嵌められて逆らえない以上、ここから満足に出る事も出来ない。私はそのまま戦闘音が聴こえる方へと歩いていく。
そんな私の目に映ったのは石人形の拳で命を落とす同胞の姿だった。よく見れば既に死んでいる数多くの同胞が朽ち果て、そこかしこに点在していた。
「そんな……そんな……」
私は怒りに震え、双剣を抜き、石人形へと斬りかかる。石人形も反撃をしてくるが、そんな遅い攻撃が私に通用する訳がない。石人形の攻撃が私に当たる事はないが、私の攻撃が石人形に通じてもいなかった。剣で斬りつけても一切傷がつかないのだ。それでも私は攻撃の手を緩めなかった……
何日経っただろうか……こうしている内にわかった事がある。石人形は特定の時間しか動かないという事、食事は天井の穴から落とされる事、私の体調をある程度維持した上で戦わせる事から、どうやら石人形の性能の確認をしているようだ。あの仮面の男にいいように使われている感は否めないが、隷属首輪が嵌められている以上、私に選択肢はない。ただ、空いている時間に私は同胞の遺体を集め黙祷しておく。
「……必ず……連れて帰る……」
そんなある日、天井の穴から人族が1人落ちて来た。白と黒の髪をしている、平凡な顔立ち、魔物の素材を使ってそうな少しボロボロの服を着ている男。ただ、その男からパパがここに来ている事を聞かされた時は、嬉しかった。パパが来ているのなら、きっと同胞全てを救ってくれるはずだ。亡くなった同胞達も家族の元へ帰す事が出来る。その事に喜んでいると、急に白黒髪男の雰囲気が変わった。直前に何か見ていたようだけど……
私の目の前で一瞬で石人形共が潰れた……・
私の目の前で同胞の遺体の安全が確保された……
そして私をパパの元へ連れて行ってくれるという……
私はあっという間の出来事に放心しっぱなしだ。もの凄い勢いで飛んだかと思うと、轟音と共にどこかの一室に入る。というかいつの間にか髪が真っ白になっている。私は元・白黒髪男の仲間と思われる女性達に預けられた。というか女性しか居ない。一体どういう繋がりなのだろうか?
そんな私の目に入ったのは私を倒した仮面の男。だが、その仮面の男も元・白黒髪男に手も足も出ず、やられていた。どうやら、目の前に居る女性をこいつ等に傷つけられ怒っているようだ。その圧倒的強者の姿に私の胸は高鳴る。トクントクンと……
そう言えばパパが言ってたっけ……獣人は強き者に惹かれやすいと……
それによく見れば可愛い顔立ちをしていないだろうか……それに仲間を傷つけられて怒るその精神にも好感が持てる……なんか愛でたくなる……
うん!!決めた!!私の夫は……
パパと再会し、同胞を家族の元に帰すために1度国に戻る。けど、私の心は既に彼の方へ向いている。パパとママを必死に説得し、私は南の国に戻った。自分の想いをぶつけるために。それと彼の強さを肌で感じるために……
そして、愛しの男と戦ったのだが……まぁ、結果は言うまでもないな。




