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裏切り

ちょっとストックが出来たので、本日は2話投稿します!!

バーロさんの一言は自分が原因である事を証明していた。俺は一体何故?と思ったのだが、グレイブさんが腰から剣を抜く姿を見て、その考えは直ぐに霧散した。そうだ。今重要なのはこの檻から出て穏健派の人達を助け出す事だ。バーロさんの裏切りは残念だったが、理由は後だ。そしてグレイブさんが剣を構え檻に向かって剣を振るが


ガキイィィィッン!!


グレイブさんの剣は檻に弾かれた。檻には傷1つ付いておらず、むしろグレイブさんの剣が少し欠けていた。グレイブさんは自分の剣の欠けた部分を眺めると視線を檻へと移す。


「……どうやらただの鉄製の檻って訳じゃなさそうだな」


グレイブさんの言葉に俺も確認するために檻をコンコンと叩く。伝わる感触は確かに鉄だけじゃない気がする。まぁ、もう少し力を込めれば簡単に曲げられそうではあるが。


「グハハッ!!ムダダ。ヒヨワナヒトゾクデハドウニモデキンヨ。ソノオリハ、ワレワレジュウジンヨウニカイリョウサレテイル、トクベツセイダカラナ」


その言葉を発した人物はバーロさんの隣に居る獣人だった。そちらの方へ視線を向けるとやっぱりか、と思った。金色の体毛に屈強な体。金色の短髪に同じく金色の猫耳。野性味溢れる顔立ちをしているのだが、その目は黒く赤い。そして顔も体もひび割れたような痕がある。間違いなく赤い玉を飲んだ後の状態だ。マーラオが最初に国の現状を話した時、強硬派の一番上に居る者が突然人が変わったようにと言っていたのを聞いた時、もしやと思ったのだが現実に目の前の人物はその考えが正しかった事を証明している。つもり、この目の前に居る者が強硬派の一番上。確か名はデイズだったかな?


「……なるほど。アンタがデイズだな?」


グレイブさんにも以前赤い玉の事を教えていたのでピンときたのだろう。確かめるように言葉を投げかけるとデイズの顔は怒りを露わにし、もの凄い形相でグレイブさんを睨む。


「キタナイヒトゾクゴトキガ、ワガナヲヤスヤストクチニスルナァ!!」


デイズの筋肉が溢れんばかりに大きくなり、その怒れる咆哮に俺の目が勝手に反応する。写る視界はデイズの周りに漂う魔力。赤黒い魔力がぐるぐると渦巻いている。うん。食ったら不味そうに見えるんだけど、スキルの影響で美味しく感じるんだろうなぁ……デイズはフゥーフゥーと大きく息を吐きだして自分の中にある何かを発散させようとしていた。俺とグレイブさんは勢いに少し飲まれていたのだが、そんなデイズにバーロさんが声を掛ける。


「……もう行きましょう、デイズ様」

「フゥーフゥー……イイダロウ……ショセン、コノヒトゾクドモハアスマデノイノチダシナ」

「明日までの命?どういう事だ!!」


その不穏な言葉に今度はグレイブさんが食ってかかる。


「ソウイエバツタエテナカッタナ!!アス、ワレワレハミナミノクニニウッテデル。ソノマエノケイキヅケニ、ゼンヘイシノマエデオマエタチノ、コウカイショケイヲモヨオスノダ!!」


おぅ……公開処刑ときたか。さすがに大人しくしている訳にはいかないかな。俺は睨むようにバーロさんを見ると、視線に気付いたのかこちらの方へ向いて頭を深く下げた。


「……弁明するつもりはない。私は自分にとって守るべき方々を守るだけだ。そのためならどれほど非情な手段だろうがやってみせる」

「……守るべき方々……マーラオや王達ですか?」

「そうだ」

「守るために俺達を犠牲にするんですか?」

「そうだ」

「……マーラオはこの事を知ってたんですか?」

「姫様は関係ない。私の独断だ」


ふ~ん……なら暴れるのは得策じゃないか。もしマーラオもグルだったのなら、ハオスイがこうなっていたという事になる。それは許容出来る事ではないが、マーラオが関係ないというのであれば今はおとなしくして様子をみるか……信じる訳ではないが、もしバーロさんの言葉が本当ならここで暴れてデイズを逃がしてしまったり、騒ぎを聴きつけられると、どこかで人質になっている穏健派の人達に危険が及ぶかもしれない。そんな事態は避けるべきだな。


「……なら、何故俺達を犠牲にする事が守る事になるんですか?」

「今朝デイズ様は約束してくれたのだ。お前達の命を差し出せば穏健派の命を救って頂けると」

「ムロンダ。ワタシトテドウゾクヲムヤミニコロスコトヲヨシトハシナイ」


デイズが勝ち誇った笑みを俺達へと向けてくる。なるほど。交換条件って訳か。しかも今朝って事は俺達が隠れ家に居る間に勝手に交渉しにいったという事か。好き勝手やってくれちゃって。どうやら俺達への後ろ暗さでも感じてるのか素直に話してくれる内にもう1つ確認しておくか。


「……今、マーラオ達は?」

「……今頃ギオ様達と再会しているはずだ。イウラ達も無事だ。危害は決して加えさせない」

「俺達をハメたテメェがそれを言うのか」

「捕まった訳ですね……」

「命は繋がった」

「グハハ!!アンシンシロ。アスコウカイショセイノバニツレテキテ、メノマエデオマエタチガシヌトコロヲミレバ、オンケンナドトイウ、ナマヌルイシコウノケッカガ、ワカルダロウヨ」


それだけ告げるとデイズとバーロさんはこの部屋から出て行った。まぁもう聞きたい事を聞けたし、特に用も無いので別にいいけど。むしろ明日がチャンスだな。


「……まさかこんな事になるとはな……どうするワズ坊?」


グレイブさんが頭を掻きながらこちらへと近付いてきた。


「あれ?なんか余裕がありますね?明日処刑だって言うのに」

「冒険者なんて稼業だからな。いつでも死ぬ覚悟は出来てるよ。ただ奥さん達を残すのは心残りなんで悪あがきはしたい所なんだが……そういうワズ坊も余裕そうじゃないか?」

「まぁ、向こうから穏健派の人達を連れて来てくれるってんなら、大人しくしていようかなぁと。はっきり言って脱出は余裕ですしね」


そう言って俺は檻に近付き力任せに曲げて元に戻す。その様子にグレイブさんは驚き、パチパチと拍手を送ってくれた。照れるからやめてぇ。


「なら、明日の行動のために休んでおくか」


グレイブさんはゴロンと横になって寝だした。寝付きいいなこの人。俺もグレイブさんに見習ってゴロンと横になった。う~ん……明日まで暇だな……寝るか……

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