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魔王の子の子  作者: 渡戸恭介
魔界出陣
2/4

Satan2

第2話です。



 

 初めての魔界。

 そこには怪しげな草木が生い茂っていた。


「すげぇとこだな」


「どんな魔界を想像していたんですか?」


「もっとカッコいい感じだと思ってた・・・」


「?」


「こんな気持ち悪いところだとは思ってなかった」


 辺りを見渡すと頭が3つあるゴリラみたいな生物がいたり、

 奇声を発するカラスがいたりとにかく酷い。


「そこまで気持ち悪いとは思いませんけど」


「いや、アンタはこの世界を知ってるから言える事なんだって」


「そうですかね?」


「そうだよ」 


「失礼ですが、先を急ぎましょう」


「どこにだよ」


「魔王城です」


「で、魔王城ってどんな感じなんだよ」


「それはもう魔王というお言葉に相応しいほどの立派な建物です」


 セリーヌはそういうと、俺の手を握った。


「な、なんだよ」


「じっとしててください。魔王城の近くまで飛びます」


「飛ぶってどうやって・・・」


「魔界の必須アイテムの飛行石です」


「魔力は使わないのか?」


「ええ、めんどくさいので」


 なんだよ、めんどくさいって・・・。


「・・・戦闘のとき以外は力を使わないようにしています」


「お前も戦いに参加してるのか?」


「はい。いずれは貴方様も戦いに参加する事になりますよ」


「薄々は分かってた・・・」


 冴木は引きつった笑みを浮かべた。


「それでは、行きましょう」


「おう」


 飛行石が光り始めた。光が二人を包む。

 目の前が真っ白になり、体が軽くなった。


「おお!スゲーーー!」


「はしゃがないでください」


「だってよ〜、飛んでるんだぜ?」


「貴方様は今から魔王様に会われるのですよ?気を引き締めてください」


「あのさ・・・」


「なんでしょう?」


「その、貴方様ってやめてくれないかな」


「分かりました。・・・・斗真様でよろしいでしょうか?」


「その方がマシか。いいよ、それで」


 会話をしている間に巨大な建物が見えてきた。


「そろそろ着地します」


 二人は静かに着地した。


「おっと」


「大丈夫ですか?」


「ああ」


「見てください。あれが魔王城です」


 冴木は腰を抜かしそうになった。

 建物全体から威圧感が漂っている。

 入り口に近づくと3mあるであろう悪魔が立っていた。

 その悪魔が口を開く。


「セリーヌ様、その者は誰ですか?」


 かなり聞き取りづらい声で言ってきた。


「魔王様のご親族です」


「魔王様の!私はなんという無礼を!」


「あーいいよいいよ」


「魔王様は何処におられますか?」


「北大陸制圧の会議で会議室に」


「分かりました」


 そのまま、入り口から入り会議室に向かった。


「なあ、セリーヌ」


「なんでしょう?」


「城に入る前から気になっていたんだが、お前の役職はなんだ?」


「魔王様に忠誠に誓い、魔王様を側でお守りする立場です」


「ということは・・・魔王の側近?」


「はい」


「役職ってどういうシステムなの?」


「魔界は全て実力主義です。強いほど上の役職に就くことができます」


 し、信じられない・・・。彼女が強いなんて・・・。


「着きましたよ。会議室はこちらです」


「この中に魔王が・・・」


「では、入りましょう」


 扉を開ける。そこには、10人ほどの悪魔が椅子に座っており

 一番奥に腕を組んで座っているのが多分魔王だ。


「失礼します」


 一斉に悪魔たちが振り向いた。


「魔王様、冴木斗真様をお連れしました」


 魔王が立ち上がりこっちに向かってくる。

 身長は俺よりちょっと高い。


「やあ、よく来たね!」


「え・・・あ、どうも」


 想像していたよりもかなり優しそうな声だった。

 魔王は笑っていた。そして、こう言った。


「魔王って聞いて、もっと恐ろしい人を想像していただろう?」


「あ、はい」


「はっはっは、素直でよろしい!」


「あの・・・魔王様?」


「ああ、すまない。じゃあ、本題に入ろうか。」


 笑っていた魔王の顔が少しシリアスになった。

 冴木が口を挟む。


「教えてください」


「なにかね?」


「なぜ、俺が呼ばれることになったのかを」


「分かった、教えよう。今ここで会議をしていたんだ。

 魔王城の北にセンテ・レーゼという大陸があって、その大陸を制圧しようと考えているんだ。

 しかし、その大陸にはアルギネスという強力な魔力を使う者がいて迂闊に手が出せないんだ。

 そこで、私の力を授かった君に協力してほしいと思ったんだ」


「なんで俺が大陸の制圧をしなければいけないんですか?」


「君が住んでいる地球が滅亡するかもしれないと言ったら?」


「っ!?」


「この世界には大陸が20ある。その中で私がまだ制圧していない大陸が4つある。

 この4つの大陸は地球を滅亡させようと計画している。

 あと4つを制圧しないとこのままでは地球が危ない・・・」


 【地球が滅亡する】

 その言葉を聞いて背筋が凍った。


「だから、君にはその戦いに備えて訓練を積んでもらう」


「訓練ですか・・・」


「魔力を完璧にコントロールさせるためにね」


 膝に力が入らず倒れてしまった。


「大丈夫です。私がサポートいたします」


「頼む、地球の未来を変えるのは君しかいないんだ。

 大切な人を守りたくないのか」


 凛香の顔が浮かんだ。


「・・・・やります。俺が地球を守ります!」


「斗真・・・」


「斗真様・・・」


 あいつの笑顔のおかげで救われてきた。

 もうあいつの泣き顔なんて見たくない。

 今度は俺があいつを守ってみせる。



 俺は戦うことを決めた。

 人類の運命を背負って・・・・・。



読んでいただきありがとうございます。

次回はもっと内容が濃いものにしたいと思います。


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