余詩 地獄
番外編みたいなものです。
地を駆け巡るかのような業火
草木も生えぬ岩だらけの地
枷に囚われ彷徨う人々
響き渡るは苦痛の悲鳴
そこは地獄
悪行を成し続けた罪人を
罰するためだけに造られた
真に無救なる世界
そこにタナトスはいた
冷徹な微笑みを浮かべて
タナトスを視た罪人たちは
ただ叫ぶ
「此処から出せ!!」
「此処から出せ!!」
「此処から出せ!!」
罰と称された苦痛のなかで
傲慢なる悲鳴を交わせて
愚かしき罪人たちは
声を揃えながら
タナトスへ向けて叫ぶ
「君たちは何を叫んでいるんだい?
君たちが受けている苦痛は
君たちが本来受けるべき罰なんだよ?
それから逃れたいだなんて
傲慢にも度が過ぎてると
ボクは思うんだけどな」
タナトスは言う
ただただ残酷に
覆われざる真実を
「我らは己が正義に準じて行動した!!
その我らが地獄で罰を受けるなど
不条理極まりない!!
ゆえに我らを釈放せよ!!」
ある罪人はタナトスに怒鳴る
己が愚行を
愚酒で酩酊したかのような
偽りの正当性を叫ぶ
「そうだそうだ!!」
「我らを釈放せよ!!」
「貴様こそが罰を受けろ!!」
周りの罪人たちは
影響を受けたかのように
己が主張を叫び出す
「君たちは自分の罪を
未だに理解してないようだね
なら、さらなる罰を受けるといいよ
鉛を背負うかのようにね」
タナトスの言葉
それをきっかけにして
罪人たちの身体は
鉛を背負っているかのような
巨岩を背負う感覚に襲われた
「重いぃ……!?」
「なぜ……こんな目にぃ……!?」
「た、助けてくれぇ……!?」
鉛の重さに罪人たちは
さらなる悲鳴をあげる
「ボクに突っかかるという
その意味がなんなのか
君たちは理解したかい?
君たちの受ける罰は
ボクの意志によって
さらに重くできるんだよ
軽くなんてしてはあげないよ
なぜなら、君たちは神の怒りに触れ続けていたのだからね
当然の報いというわけさ」
タナトスは微笑む
背筋を凍らすほどの
威圧感で
嘲笑するかのように
罪人たちに言った
此処は地獄
罪人が罰を
受けるためだけに
造られた世界
響き渡る悲鳴は
罪人たちの罰による
悲痛の叫び
地を焼き尽くす業火は
罪人たちを焼くためにあり
草木無き岩だらけの地は
罪人たちの平安を奪い去る
【君たちが地獄に来るようなことはしちゃ駄目だよ?
地獄の責め苦はこの世以上に辛いものだからねぇ……
それじゃあね
バイバイ】
end




