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跪け

わたしの斧は振り下ろされることは無く、シェリーさんの稲妻も解き放たれることは無かった。

この茶番劇を演じたのはこれで3回目。

「跪け。」

シャイロックの命令調の声に反応した伯爵とそのお付が跪く。

「神聖なる契約は破られました。よって伯爵はわたしの奴隷とします。」

堂々と神聖と称するシャイロックには笑ってしまいます。

伯爵も一定以上の鑑識スキルは持っていたはずでしょうけどそれが帰ってあだとなったようです。

シャイロックがかぶるのは、神話級の呪いのマスク。

効果は”うそを付くことができない。魔力が無くなり、生命力が限りなく瀕死状態に近づく。”の二つです。

この二つの効果のためにだれもがシャイロックを侮るのですが、考えてみてください。

うそをつくという行動には対象となる相手が必要だということを。

つまり、シャイロックと正式に契約した相手もそれを履行する義務が生じ、自ら破った場合、仮面の呪いを受け奴隷となります。

同じように契約を踏み倒した二人の貴族もシャイロックの奴隷になっています

わたしは、伯爵と行ったようなマジックアイテムである隷属のチョーカーを通じた隷属くらいでは束縛されることはありませんが、あの仮面の呪いだけは避けることができないとおもいます。


「伯爵、公には伯爵としてこれまで通り振舞うことを許すが、こちらから派遣するものに実質的な領土管理をさせる。」


わたしを奴隷として所有すれば、強力な武力を持つことになり、シャイロックを殺してしまえば、契約は反故に出来ると”考えさせるように”わざわざわたしに隷属のチョーカーをつけさせて、いつも契約の場に立たせる。

シェリーさんが攻撃できなかったのは奴隷の所有権がシャイロックに戻っただけのこと。

わたしが攻撃しなかったのは、はじめからチョーカーの影響を受けておらず、シャイロックが死ねば彼がクリスを守るという契約を私自身が破棄することになるから・・・ややこしい。

そんなわけで、引っ掛ける気満々で、絶対に払えない金額をふっかけられた伯爵が罠に落ちた。ということです。


「伯爵、おまえの娘は17歳になってたかな。」

「お前何をする気だ。」

「シャイロック様どうされるおつもりですか?と言え。」

「シャイロック様どうされるおつもりですか?」

「ふん、お前の知ったことか。」


わたしはシャイロックが嫌いです。




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