奴隷商人シャイロック
1と1/3異世界編 本格スタート
/////の下までかならず読んで下さい。
わたしは目の前の男、シャイロックが大嫌いです。奴隷商人なんですから。
絶対悪人に決まってます。
でもそんな悪人をわたしは命を懸けても、守らねばならないんです。
そのように契約してしまいましたから。
シャイロックはいつも灰色のマントで体を覆い、不気味なマスクを顔につけています。
マスクには強力な呪いがかかっていて、シャイロックが嘘がつけば、のろいが発動して大変なことになるそうです。
大司教様でも解呪出来ない呪いって・・・
たぶん人にうらまれる何かをしたんでしょう。
初夏の麦が金色に実った畑の間の道を奴隷に買い付けにいくシャイロックのお供で、荷物を背負って歩いています。吹き渡る心地よい風にも私の心は重くなるばかり。今日買い付けるのは村長の孫娘のルンさん。
以前村に立ち寄ったときには、わたしにもお茶を出してくれた、笑顔のかわいい女の子。・・・
「私が買い取ると言うことでよいのですね。」
シャイロックの事務的な冷たい声に黙って首を縦に振るだけの村長。
「言葉に出していただきたいのですが。」
冷酷なやつ。
「お願いします。」
ルンさんの身を案じて集まった村人がたくさん取り巻いているにもかかわらず。
「服を脱ぎなさい、値段を決めます。」
なんてやつ。
村の人たちもわたしもあわてて目をつぶった。
「ジョー、お前まで目を閉じてどうする。しっかり見張れ。」
ルンさんの口を開けさして匂いをかいだり、胸の張りを確かめてみたり、あと・・・
身振りだけでルンさんに服を付けさせてシャイロックは言った。
「健康ですので、農奴として金貨8枚。娼妓として25枚。魂まで売り渡すなら80枚と言うところでしょうか。」
大規模な魔法のうち禁呪と呼ばれているものの中には魂で契約するというものがあるらしい。
それだろうか?
真っ青になった村長が搾り出すように言った。
「80枚でお願いします。」
「ルンさんもそれでいいですね。」
「はい。」
わたしには口を挟め無い。・・
「では、直接今転移させます。」
「もうですか?せめて今夜は・・」
「今です。ここに金貨80枚あります。お納めください。契約は成りました。」
ルンさんは足元に一瞬きらめいた魔方陣を残して消え去った。
わたしはシャイロックが嫌いだ。
オチが付いちゃいましたが、まじめに進行しているつもりです。




