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3.

3.


「何をやっているんだ!おまえら、二人そろって遅刻するとは」

俺と波音はあの後、ギリギリ間に合わなかった。

おかげで生活主任に説教される破目はめになった。

「えーと。俺がこいつに迷惑かけただけなんで、

とりあえず、こいつは勘弁してやってくれないっスか?」

今にも泣き出しそうな顔の彼女をかばうような形で教師に話す。

「ほう。おまえが他人を庇うとはな。本当なのか?」

教師が波音に問う。

うつむいたまま何も答えない彼女の為に、あれこれと嘘をつく。

「こいつ、俺と目が合ったら、ビビッちゃって、

少しからかってたらこんな事になっちゃったんです」

スゲー矛盾した話だな。

自分で思う。というか、もしこいつが正直に話したらまずい。

……まぁ、大丈夫だろうが。

「まぁ、話にも信憑性しんぴょうせいもある。これ以上何も言わない。

それで、波音の遅刻は見なかった事にしよう」

まさかの返答。

驚いて波音が口を開こうとしたのを見て、慌てて俺は口をふさぐ。

「あ、ありがとうございますっ。 ほら、行くぞ!」


* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 


「嘘は良くないと思います」

そのまま退散しようとした俺のそでつかんで、波音が言う。

「いや、俺はおまえを庇ってだな……」

「それでもダメですっ。確かに、何も言えなかった私も悪いですけど。嘘はいけません」

こいつ、どんだけ真面目なんだよ。

このままでは、もっと面倒めんどうな事になりそうなので、話を有耶無耶うやむやにする事にした。

「なぁ。おまえ、かわいいいな。学年で五本の指に入るかも知れないぞ?」

すると、少しうつむいて波音が言う。

「私、かわいくなんて無いです。それに、藤崎さんの方が、背も高いしカッコいいです」

恥ずかしい事を普通に言う。

俺が返答に困っていると、波音も自分が何を言ったのか気づいたのか、急いで目をらす。

顔が赤い。

少々罪悪感はあるが、チャンスを逃すわけにはいかない。

「じゃあ、俺もう行くから。また後でなっ」

強行突破。

後ろから呼び声が聞こえたが、この際無視だ。


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