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俺は元々、親父と母さん、妹と四人で暮らしてた。
その頃の親父は、ある程度の安定した収入のある仕事をしてたんだ。
でも、数十年前に色々、いや、いくつか問題が起こった。
一つは、親父の会社の上層部が不正な事をしたとかで倒産したんだ。
まぁ、家には貯金もあったし、親父もすぐに小さな会社に
就けたから、大した問題は無かったんだ。
でも、その次の年になって、母さんが体を悪くしてさ。
そんでその何年か後位に病気で死んだ。
それからだよ。こんなのになったのって。
親父は一気に荒んで行った。
タバコに酒。そんな物に頼って、現実を忘れようとしてたんだ。
親父は、いつしか俺と妹との関係もこじれて行った。
「って、波音?」
ふと、顔を上げて彼女を見てみると、その頬には涙が伝っていた。
「す、すみません。私、その……ごめんなさい」
しゃっくりをしながら波音が俺に謝る
ったく。本当にこいつは…。
「何でおまえが泣くんだよ。ほら、またつねるぞ?」
サラサラの髪に手を乗せてかき混ぜる。
そうすると、シャンプーのいい匂いがした。
「ありがとうございざいます。話してくれて、その、嬉しいです」
キーンコーンカーンコーン
朝の予鈴だ。あと十分位で門が閉まる。
「って、おおっ!?波音、走れ!門が閉まっちまうっ」
「え、えぇ!?」
あたふたとしている波音の手を取って駆け出す。
校門に向かっては走る中、振り返ると、そこには波音の笑顔があった。
気が付くと、俺もつられて笑っていた。




