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The Fighters  作者: シャンプ
日常崩壊
1/1

日常

ピーポーピーポー・・


ある夜・・中学1年生の少年が自殺未遂をしたことを翌朝の新聞は小さく取り上げた





・・・・・3年後 2005年5月25日


「あっつ~」


今はちょうど夏にはいりかけで、クーラーもまだ入らないころ

下敷きで顔をあおぎながらだるそうに授業を受けているのは


赤土 芯我 しゃくど しんが


東京都都内有数の公立進学校に通う高校1年生だ


身長175cm 体重65kg

8月9日生まれ


短い黒髪 するどい目 引き締まった体 

人と一緒にいることを嫌い、日々強くなるためにトレーニングする

まるで一匹の狼のような雰囲気を出す


祖父母ともに戦争でなくしており、両親は自分が物心ついたときにはいなかった

2歳下の妹が・・・・・いた


親戚もいない、いわゆる天涯孤独というやつだ


芯我が授業に飽きて寝ようとすると

「芯我!また怒られるよ?」

と後ろから呆れた風に注意するのは


東堂 愛梨 とうどう あいり

身長168cm 体重???

5月14日生まれ


きちんとした服装、しかしお堅いというわけではなく、今風な女子だ


セミロングのさらっとした黒髪

かわいい顔をしており愛想もいいし、スタイルも悪くない

クラスでは人気が高い女子だ


芯我の幼馴染で、隣に住んでいる。何かと芯我を気にかけて、ご飯を作りにきれくれたりする

芯我いわくおせっかいなやつ


「寝てても点数とれるからいいんだよ」

と注意そっちのけで、体を前に倒す芯我



・・・コンッ!

「よくも毎日毎日寝られるな?」

とチョークを勢いよくとばし、正確に芯我の頭にあてるこの人は


坂本 姉  さかもと ねえ


これで本名なのだから驚きだ


26歳 身長170cm 体重?? 10月24生まれ



名前に負けず、アネゴと呼ぶにふさわしい人で、生徒の相談をよく受けては、

思い切りのいいアドバイスをしている


短い金髪でいつもスーツをきている。 サングラスをかけていることが多く遠くから見ると

SPみたいだ


芯我たちが高校に入ったときに採用された新米美人教師 

この人も芯我の世話をやくのが好きだ


「うっせぇ・・」

あたった頭をかきながら再び寝ようとする芯我


これがいつもの授業風景


芯我は運動神経がいい割りに部活には入っておらず


家ではひたすらトレーニング、小遣いを稼ぐためたまにバイトといった生活をおくっていた



ある夜近くのコンビニにお菓子でもと家を出る芯我


・・・その帰り

空地で一目見て・・人間ではないと分かる 何か ・・2メートルぐらいの 何か が

少女を壁に追いつめているのを目撃してしまった


買ったものを落とし、唖然とする芯我


(何だあれ・・でっけ~・・・人間・・じゃねぇって・・人・・女っ・・襲われてる?)

さまざまなことが頭を駆けめぐり、目の前の事態をじょじょに理解していく


理解していくにつれて 焦り・・異常事態、怪物に人が襲われていることにとてつもない焦りを覚えはじめた


異常事態・・・・非日常の感覚の中で芯我が思い出したのは、いや思い出してしまったのは

3年前の記憶・・・


そう目の前で殺された妹を守れなかった記憶・・・・




3年前 中学1年生の赤土芯我は両親がいなくとも、妹とたくましく生きていて、妹だけには優しかった


2002年5月25日


じめじめとした蒸し暑い夜


妹がつくった食事、まだ5年生ながらもそれなりの料理を満足げに食べ、芯我は食器洗いをしていた


ピンポーンとインターホンがなる音


「深愛、出てくれるか?」

「うんっ」

こんな時間に誰だろうと思いながらも、鍵をあけドアを開いた瞬間


1人の男が押し入ってきた


「キャーーーーーッ」

居間へ駆け込んでくる深愛


そのすぐ後に男が入りこんできて、逃げる深愛を捕まえた。


男は・・フードをかぶっていて、口元だけを覗かせていた


パリンッ 持っていた食器を落とし

「何やってんだああああああああッッ!!」と近くにあった包丁をつかみ

襲いかかる芯我


ガッシャーン


何かが光り、芯我は吹き飛ばされた


「うっ・・・」(なんだいまの・・)


深愛は泣きじゃくっている

「おにぃ・・・ちぁん」

フードの男は笑い、こっちを見ながら・・・まるで見せ付けるように




深愛の首を・・・・切り裂いた



辺りに飛び散る赤い・・紅い血・・


その瞬間強烈な何かがピカッと光り、芯我は気を失った



目覚めて見ると・・そこに深愛の姿・・はなく妹がつけていた十字架のペンダントと

血だけが残っていた



何がなんだか分からないまま・・妹は殺された


両親もいなく・・世界でたった一人の妹・・世界でたった一人の家族・・世界でたった一つの守るべきもの


怒り 悔しさ 無力感・・・・その大粒の涙はとても苦かった


全て・・そう全てに絶望した芯我、近くにある包丁・・・


それを手に取り・・・静かに芯我は自分の手首を切った・・・




妹の叫び声が聞こえていたんだろうか・・運よくすぐに警察、救急車がきたようだった・・


一命をとりとめた芯我


「俺は・・お前に助けられたのか・・」

また思い出すたびに大粒の涙・・


「コロス・・コロス・・・誰よりも強くなって・・あいつを絶対に許さねぇ・・」

握り締めた手は血で滲んでいた



その後

妹は行方不明として処理された

一人、庭に小さな墓を作り・・小指を出し、首の十字架を手に取り

「アイツヲコロスマデオレハツヨクナル」

芯我は妹に誓った







(どうしてっ今・・アレを思い出すんだ)

「ハァッハァッ」

過去のトラウマを思い出し、呼吸が荒くなる芯我


今まで一度たりとも忘れたことのない約束

強くなると・・


頭をめぐるさまざまな光景の中・・深愛の姿を思い浮かべたとき




               すでに走り出していた




「深愛っっっ!!」


芯我を動かしたもの・・・3年前助けれらなかった妹への思い、約束・・

はっきりと・・それが何か自身も分かっていなかった


怪物と少女の間に割ってはいる芯我


黒く大きな体

恐ろしい、おぞましい顔


「ウオオオオオオオオオオオオッ」

「うおおおおおおおおおおおおっ」

怪物と同時に叫び声を上げ、殴りかかろうとした瞬間


「どいて」

その言葉と共に、一瞬に細切れになる怪物


今日二度目の衝撃

まがいなりにも助けようとした女に、少女に事実助けられた



怪物は死に、芯我に冷静さが戻ってくる


改めて少女をよく見ると


青くさらっとしていて長い髪

上品な顔 細い体 自分よりも少し小さいぐらいの身長


深愛とは別段似ているというわけではなかった


落ち着くにつれて、いろいろな疑問が浮かんでくる

あの怪物は?お前は何者だ?なぜ襲われてたんだ?


よく考えた結果芯我は

「・・お前はいったい何者だ?」と目の前の少女のことについて質問してみる


「そんなことより・・いきなりあいつの前に立つなんて、ばかね・・」

静かな・・・冷淡なしゃべり方だ


「死ぬかもしれなかったのに・・」


さっきよりいっそう小さい声でつぶやいた言葉を芯我は聞き取ることができなかった


「今日起こったこと話さないでね・・話したらあなたを消します」

初対面の少女に、消しますなどと言われ、一歩下がってしまった芯我、

だが芯我はその言葉にびびったのではなく、言葉とともに感じた威圧感、殺気に似たものに

気圧されたのだ


何か言い返そうと思い口を開きかけたとき

少女は走りさってしまった


一人残された空地


決死の覚悟もむなしく、助けようとした少女に助けられ挙句の果てには脅される


理不尽はことばかり続き、芯我は怒りを拳で地面にぶつけた


「なんだってんだよ・・」

見るとさっきまでの怪物の死体は消えている


狐につつまれたような気分で帰宅途中の芯我がつぶやくのはいつものセリフ

「やるせねぇ・・」



朝のトレーニング、庭のサンドバッグを叩く

昨日のことを考える芯我

夢じゃないのか?いや、夢であってほしいと思うが

あの怪物の存在感は紛れもない本物


それとあの少女の強さにはとても興味があった


学校のしたくをしながらそんなことを考えていると


インターホンのなる音


愛梨だ、愛梨は毎朝芯我がおくれないように迎えにきてくれるのだ


何回もなるインターホンに返事もなしに、芯我はやって出て行く



「おはようっ芯我」


「おう・・」


昨日のせいで、何気ない朝が新鮮なものに見えてくる


「でさ、あの番組みた?」

「みてねぇ」

「え~絶対見たほうがいいよ!あれ面白いんだから」

「また今度な」

いつものように愛梨の話を受け流すようにして話す芯我


昔から愛梨はいつも自分の世話をやいてくれる・・心の奥ではそれに感謝しながらも

恥ずかしさからか、適当な態度しかとれないのであった


登校途中、昨日のことを話してみようかと何度も思うのだが、

あの少女を思い出すたびに言いかねるのであった




朝のホームルーム

担任の坂本姉

通称アネゴが唐突に宣言する

「今日は転校生を紹介する」


突然の知らせにざわめくクラス

「かわいい女子で俺の横に座る気がする」などいうモテない男子や

「美形よ!美形」と騒ぐ女子


クラスのざわめきがピークに達したところ

転校生が入ってきた


一瞬


クラスの空気が止まった


青く長い髪 上品な顔 細い体


クラスが転校生のあまりの美しさに驚いている中

芯我だけは別の驚きを隠せないでいた

「何であいつがっ・・」芯我の一言は静まりかえったあとの

クラス中の声にかき消された



「キャーきれい!!」

「一目見る前から好きでした!」

「女神だ・・」

「か、かかかわいい・・」


注目は転校生の自己紹介・・いったいその美しさに似合うどんな性格なのかと・・


転校生は静かに口を開いた

「御門 沙良 みかどさら  です。よろしく」


Kラスのみんなが思うことはいろいろあった・・

自己紹介それだけっ!?

思ったのと違うな・・


「よろしく」という言葉に似合わない・・とても冷淡・・冷たいしゃべり方だった


クラスの沈黙の中坂本先生が声をかける


「では御門、一番後ろの空いている席に座れ」

青い髪の少女、御門沙良は芯我の横を通るときにささやいた


「話したら消すから」

そうささやいたときも、御門は冷めた顔をしていて、

クラスみは知り合いと思われたらしい


「赤土、知り合いなの?」

そうはやし立てるように言った男子を睨み、だまらせる芯我

「わ、わりぃ・・・」


御門はとっても静かだった、それでもその美しさから、休み時間、昼休みには

他の学年からも見に来たほどだ


クラスの女子も明るく話しかけているが、その質問に淡々と答える


その話を聞いていると


趣味は読書、バイオリン、テニス

家はお金持ちらしい

なんと上品さを漂わせるプロフィールなんだろう


あと性格さえよかったら完璧なのに、と誰もが思っただろう



「ねぇ芯我、あの子のことを知っているの?」気がかりなことをそれとなく聞く愛梨


「・・・・全然知らねぇ」とごまかす芯我



「ふ~ん」愛梨は納得いかないような顔をしている



ガタッ

御門がいきなり近づいてきた

また耳元でささやく

「ついてきなさい」


これ以上、御門からは自分に関わってこないと思い込んでいた芯我に突然の不意打ち

芯我のほうも、聞きたいことがあったので、黙ってついていくことにした


教室を二人ででるときに、みんなどこにいくのか知りたかったが、聞く生徒はいなかった


二人は屋上へ向かった

落ち着かない愛梨を残して




屋上


太陽がきらめき からっとした風が吹き抜ける屋上


「お前が話す前に・・・俺が質問してもいいか?」先に口を開いたのは芯我だった


「・・聞いてあげるわ。」

以外にも話すなという割りに聞かせてくれるようだった


「いくつか質問するからできる限り答えろ」


芯我は大きく息を吸い、昨日から不思議に思っていたことを一気に聞く


「あの怪物はなんだ?あそこで何をしていた?なぜ襲われてたんだ?そしてお前は・・

怪物を細切れにしたお前の・・・その強さはなんだっ?」


「私もそのことを話そうと思ってたのよ」

「案外気があうんじゃないかしら」そんな気がないのが分かるくらい冷たい話かただった


「私も・・だと?」


「そう、私も。何から話そうかしら。あなたには衝撃の連続でしょうから、覚悟してね

質問はまとめて最後に」


ゴクッという音が周りに聞こえたのではないかと思うぐらい大きく唾を飲み込む

「まず私達は人間よ、私は御門沙良 最後の光 のメンバーで ファイターズ、あの怪物を

私達は ナイトメア と呼んでいるは」


これだけでも分からないことだらけだ


「あの怪物を細切れにできたのは、私がファイターズだから、ファイターズの力は見せたほうが

早いわ」


御門の青い髪が逆立ち、周囲に異様な空気が満ちる


「はぁっ!」


さしだした御門の手のひらに、透けて見えるが、白い、光る玉が見える


「!!??っ」

(この光・・・あの時と・・似ている)


物ではない、芯我は一目見て人間の’気’をイメージした


「これは エナジー 、分かりやすく言うなら気ね、この エナジー を使える人を

 ファイターズ と呼ぶのよ」


「そんな非現実的なもんがっ・・」

その言葉をさえぎる御門

「あなたは見た、見ているはずだわナイトメアを、エナジーを」



芯我は、これを以前にみたことがある・・そうあの3年前のとき・・アイツが使った何か・・


(じゃあ・・・あいつが使ったのはこのエナジーか・・?そしてあいつもっっファイターズなのか!!?)


「昨日ナイトメアを斬ったのはそれだけじゃあないんだけれども・・・」


「昨日あそこで、ナイトメアを消滅させていたのよ。いつでも倒せたけど、

精神を集中させて、一気に。」



「一通り・・・終わったかしら」


「これが、現実か」


「私からはもうひとつ」

「なぜ私を助けようとしたの?」


「別に、お前を助けようとしたわけじゃない・・体が動いた、それだけだ」

昔の事件のことは伏せて話す


「そう」


「ならよかった」


(よかっただと?こいつっ、何考えてんだ)


「それは置いといて、最後に単刀直入に言うわね」

「私達の仲間になりなさい」

今までで一番真剣な目


「仲間っていうのは、最後の光ってやつのメンバーになれってことか?」


「そう、最後の光は主に、人類の敵ナイトメアの消滅を目的とした組織よ」


「つまり、ナイトメアと戦うんだな?」




「・・・・・・」芯我は少し考えた


力が・・もっと強くなれる力が・・目の前に転がってるんだぜっ

やっとアイツの糸口を見つけた・・・間違いなくアイツはファイターズだろっ!

ナイトメアとやらに興味はねえがっ!利用できるもんは利用してやる

なら返事は決まってる


「答えは・・!」


そのとき、御門の様子が変わった


「今!?あなた、ついてきなさい」

そう言って急いで階段を下りていく御門


(なんだってんだよ!)


「ハァッハァ」

外にでたときグラウンドで芯我が見たものは


黒く大きな人型のもの・・・校舎二階分ぐらいの異形の怪物・・そう

ナイトメアだった


フシュルルルルッ

昨日とは違いよく見える


黒い大きな体、輪郭こそ人の形をしているが明らかに怪物と分かる風貌

牙や爪らしきものも見える


見ただけでナイトメアの脅威が分かる


少したじろいてしまう芯我

近くやグラウンドには人がいなかったが、校舎には生徒がいる


生徒を見ると いつもどおり何も変わらず話したり、弁当を食べたりしている

「こいつが見えてねぇのか!?」


ァァァアアアアアッ!

ナイトメアが動き出す


その先、二回には愛梨の姿


ナイトメアと校舎の間に立つ御門

「こっ・・・こいつと戦うのかっ!?し・・死ぬぞっ!?」


太陽を背に御門は振り向かずいった

「私は絶対死ねないわ」

その背にはゆるぎない決意を感じた


「ハァッ!」

昼間見て感じたエナジーを御門は身に纏っている

ブォン


御門の足元から光の輪が出現し、御門と芯我、ナイトメアを取り囲んだ








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