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真面目ですが何か?  作者: 西園寺百合子


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01 真面目ですが何か?

「おはようございます、清子きよこさん」

「おはようございます、ただしさん」


❤朝の挨拶は大切だ。

 正さんと結婚して1か月。

 いわゆる、新婚だ。

 今日は、私が朝食の当番で、夕食は正さんが当番。

 本当は全部私が作ってあげたいけど、結婚前に正さんと話し合って決めたことだから守っている。


♠朝の挨拶は大切だ。

 清子さんと結婚して1か月。

 毎日が楽しい。

 こんな女神の顔を毎日見られるなんて、俺はなんて幸せ者なんだろう。

 朝食も完璧だ。

 俺が好きな焼き魚もついている、ザ・和食。

 手間がかかるだろうに、朝からこんなに美味しいご飯が食べられるなんて。


「朝は和食ですから、夕食は洋食にしようと思います」

正がそう言うと、清子は箸をおいて正を見る。

「では、ランチは中華にするようにします」

無表情のまま2人で頷いて「いただきます」と言って朝食をいただく。


❤正さんが好きなアジにしたけど、焼き加減はよかったかしら。

 もうちょっと焼いたほうがよかったかな。

 ああ、お弁当も作ってあげたい。

 でも結婚する前に、正さんからお弁当は手間がかかるからお互い外食にしましょうと言われたから。

 でも、作りたい…正さんに、あ…愛妻弁当、作ってみたい。

 そうして、正さんの職場の人に「いい奥さんですね」って言ってもらいたい。

 なんだったら、正さんを狙っている女どもをけん制したい。

 私の夫ですけどって、けん制したいっ!


♠なんて美味しい焼き魚なんだ。

 焼き加減も最高だ。

 ああ…写メ撮りたい。

 撮って、職場のみんなに見せたい。

 俺の奥さんの手料理最高って自慢したい。

 本当は愛妻弁当作ってほしいけど、さすがにそれは言い出せない。

 手間をかけたくなくて結婚前に断ってしまったから。

 本当に、俺のバカ!バカ!どうして断ったんだっ!

 今さら、やっぱり作ってなんて言えない。

 お弁当を持っていけないなら、せめて朝食写メ撮りたい。

 みんなに、全世界に、自慢したいっ!


「ごちそうさまでした」

「おそまつさまでした」

2人で静かに手を合わせる。

洗い物は食事当番が担当する。


「今日の朝ごはんも、とても美味しかったです」

「お口にあってよかったです。…正さん、あと、15分30秒でバスが出てしまいます」

「ああ、本当ですね。では、後はよろしくお願いします」

そう言って、清子は玄関まで正を見送る。


❤新婚なのに、いってらっしゃいのキスができない…


♠新婚なのに、いってきますのキスができない…


無表情のまま、2人で見つめ合い、不自然な間をあけて「いってきます」「いってらっしゃい」と声を掛け合った。


これは、超真面目な夫婦の、心の中の葛藤を描いた物語である。

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