episode35 : 星脈の導く場所
【惑星Earth オメガ軍 医療部】
惑星Dahlia上空でメビウスを爆発させた事で、付近一帯の宇宙域に星脈エネルギーが広がり、ゼータのミサイルは無効化され宇宙の塵となった。
惑星Zeroniaにも星脈エネルギーは影響を及ぼし、ゼータは神経リンクを無効化された状態にあると推測される。
私が乗った脱出ポッドは、Earthへ帰還し、軍に無事回収された。
軍の医療部で検査を受け、かすり傷があるものの健康状態は問題なく、お腹の子どもは無事着床している事がわかった。
これで、無事、“妊娠”の段階にたどり着いた。
だが・・・
肝心の、この子の父親。
ルークの行方がわからないままだった。
ルークは、自爆シークエンス起動後、自分も脱出ポッドに乗ると言っていた。
その脱出ポッドが発見されていない。
今も確かに私はルークの息吹の星脈を感じている。
ルークは無事だ。
「リラ、ちょっといいか」
ジアン・パクの研究室で医療ポッドに入っていた私をカイが訪ねて来た。
ルークのポッドが見つかったの・・・?
私は上半身を起こした。
「ああ、そのままで、聞いてくれ・・・」
何か、良くない予感がした。
「・・・ルークの宇宙船なんだが・・・」
なに・・・?
カイは一瞬、私から目を逸らすが、すぐに私に視線を戻す。
「機関システム部が設計図を確認したところ、脱出ポッドは一機しか無かった事がわかった」
え・・・
私の思考回路は止まった。
「ウソ・・・」
カイは、そうつぶやく私をまっすぐに見つめた。
「ウソよ・・・ルークは、自爆シークエンスを起動したら、自分もポッドで脱出すると・・・」
「リラ」
ルークは・・・?
ルークはどうなったと言うの?
「ルークは、君と“サン”の命を優先したんだ」
「ルークは生きてる!」
私はカイの言葉を遮るようにそう言った。
「感じるもの・・・彼の、星脈を・・・」
絶対に生きてる!
「リラ・・・」
カイは取り乱す私を腕に抱いた。
「カイ・・・」
私は、信じない。
彼が私や子どもたちを残して死ぬはずがない。
「カイ、なんか言ってよ・・・」
嗚咽と共に涙が次々にこぼれる。
私の左手の、指輪とブレスレットはまだ温かく、彼の存在を示しているのに。
*
【惑星Dahlia 南部】
1人の老人が、日課の散歩で砂浜を犬と歩いていた。
「ワンッ、ワンッ!」
何かを見つけて吠える犬。
「なんだなんだ、どうした」
老人は、犬をなだめながら、その視線の先を追う。
「・・・なんだありゃ・・・」
そこには、打ち上げられた、何かの機械の残骸らしき物があった。
老人は引き寄せられるように、その機械へ近づく。
「・・・大変だ、人が倒れてる・・・」
こうしてオレは、シータ族の長老に発見される。
「おぉい!誰か!来てくれ!医者を呼べ!」
・・・いや、医者はここにいるんだが。
老人のその声で、オレは気がついた。
身体中が痛い・・・
「クゥン・・・」
近寄って来た犬がオレの頬をつつく。
一瞬リアムかなと思ったが、そいつはシェパードではなく、レトリバーだった。
「ワンッ、ワンッ!」
オレが目を開けると嬉しそうに声を上げる。
静かにしろ、身体が痛い、と言いたかったが声が出なかった。
しかもそのレトリバーは、不思議な白銀のレトリバーだった。
頭のテッペンから、まるでユニコーンのようなツノが生えている。
あれ?
もしかして、オレ、死んだ?
ここは天国か?
とりあえず、Earthではない気がする。
いやそうだ、オレは、惑星Dahliaの軌道上でメビウスを自爆させた。
と言う事は、ここは・・・
どこまでも続く白い砂浜と、ピンク色の珊瑚礁。
そうか・・・
ここは、Dahliaか・・・
オレは漂流し、星脈が導いた“来るべき場所”に、たどり着いた。
その瞬間、
シータの星脈は、
かつてない強さで再び脈動を始めていた。
星脈のネクサス Season1〜The Awakening〜
-END-
【星脈のネクサス Season1 〜The Awakening〜】
を最後までお読みいただき、ありがとうございました。
新たな幕開けのSeason2は、現在執筆中です。
更新開始の際は活動報告でもお知らせしますので、
ブックマークしてお待ちいただけたらとても嬉しいです。
もし楽しんでいただけましたら、
感想・レビュー・評価などいただけると次の執筆の大きな励みになります。
ありがとうございました。




