合い言葉はピッパップペピュペロ・ポポッカテペパル
「いいか野郎ども!『開けゴマ』はもう古い! 今はセキュリティの時代だ!」
盗賊のリーダーは、洞窟の前で部下たちを前に声を張り上げた。
盗賊たちのお宝は、つい先日アラジンという男に盗み出されてしまったのだ。
「『開けゴマ』という単純な合言葉だったからいけないんだ! 今日から、合言葉を変える!
『上上下下左右左右、BA』だ!!」
リーダーは魔法の扉の前で腕組みをする。
《合言葉を変更しますか。今の合言葉を入力の上、新しい合言葉をどうぞ》
女声のシステムメッセージが流れた。
(あ、いや待てよ? こんなに簡単ではまたアラジンに突破されてしまう。もっと難しいものにしなければ!)
リーダーは即席で思いついた難しい合言葉を叫んだ。
「もとの合言葉は『開けゴマ』、新しい合言葉は『ピッパップペピュペロ・ポポッカテペパル』だ!」
《新しい合言葉は『ピッパップペピュペロ・ポポッカテペパル』になりました》
さっき言ったのと違う合言葉に決めてしまったので、部下たちはざわめいた。
「そんな覚えにくい合言葉で大丈夫なんすか、お頭ぁ」
「ええい、うるさい! 盗んだお宝をまたあの男に横取りされたら元も子もないだろう!」
「でも俺達も開けられなくなるなら意味が……」
「まあとにかく! ちゃんと新しい合言葉で開くか確かめようじゃないか」
部下たちは不満そうだが、リーダーはゴリ押して確認のための合言葉を口にした。
「『ぺピッパプペペロ・ポポカテペトル、ペペロンチーノ!』」
《合言葉が違います。残り入力回数2回。3回間違えるとロックがかかります》
「な、なぜだ!!」
先程の合言葉は思いつきでテキトウに口にしたため、言ったリーダー本人も正確に覚えていなかったのである。
「次こそ!『パピプペ・ポポルン……パパパッ……パ、パピプパペッパー!』」
《合言葉が違います。残り回数1回です》
「ぐぬぬぬっ。ヒントをくれヒントを!」
《合言葉が違います。セキュリティーロックがかかりました。再挑戦できるまで30日》
扉は相変わらず単調な女性ボイスでシステムメッセージをくり返す。
「だァぁあぁぁあ!!」
悔しがって叫ぶリーダーと盗賊たち。
自分でも覚えられない合言葉にしてしまったが故に、何をどうやってもお宝取り出せなくなった。
悪いことはできないものである。
END




