来る神
2つの洞窟年を重ねるうちに人数が増え始める。
その頃から、新しい洞窟は古い洞窟に人質を差し出す。神に近しいものを数人送り、状況の伝達を行う。
褒美の品を持たせ帰らせるのだが、稀に幾人かが古い洞窟に残るように言われる。
断れば目に見えて褒美の品が減る。まだまだ新しい洞窟は発展期であり、褒美の品の量は死活問題なのだ。
古い洞窟に残った弟の子孫は優秀であった。
第3の洞窟は既に人が住める状態になりつつある。
人数が増えればさらに自分達に従う新しい洞窟が増える。その時は近い。弟の子孫は優秀ゆえに、新たな洞窟を探しに行かなかった。古い洞窟の弟神自体が生きていればけしてそのような事はしなかった。
そして優秀でない兄の子孫は優秀でない故に神の真似をし危険を冒し探検家に出かける。弟の子孫もさらに規模が増えれば同じようにしたのかもしれないが、安全に探検に出られる時をまった。そして別の神の子孫と出会う。
誤解なきようにいうと、別の神の子孫と出会う時には、争いはそうそう起こらない。
起こるには起こるがが争う余力はないという矛盾した状態となる。被害なく勝てる事こそ重視する。
兄の子孫は同盟を持ちかける。古い洞窟を奪うのだ。第2の洞窟と第3の洞窟を来る神と兄神、2人の神の子孫のものとし、兄神達は古い洞窟にすむ。
弟神と兄神・来る神連合戦いは数日と経たずに終わった。洞窟を探しに行かなかった弟神の元には戦士等いなかった。第3の洞窟に住む3人の見張りのうち2人を殺し、1人をスパイとし弟神をおびき出し、古い洞窟の所有権を放棄させた後殺す。弟神は放棄する際少しの意地もみせなかった。それは来る神の予測したとおりの展開だった。
「苦難に身を置き続けたものが勝ったのだ。」
来る神のその言葉に兄神は喜び涙する。
兄神はもう神ではなかった。状況は変わっていない。貢ぐ対象が弟神から来る神に変わっただけ。
しかも兄神は自ら進んで来る神に貢いでいる。
神は神でなくなったのだ。
さて彼等の民族にはもう神は居ないのだろうか。
燻り続けた神がまだ眠っているのだろうか。
それは神のみぞ知る事なのだろう。




