第6章 チートスキル《遠隔確変》発動
その夜。
ムラサカは神殿の奥、誰もいない空間で玉を一つ弾いた。
……当たらない。
もう一度。
……当たらない。
「……ハマりすぎだろ。設定ミスか?」
ふと、盤面の奥が金色に光った。
頭の中に声が響く。
> 『汝、確率を超越する者なり。
> 望む台を、望む場所で、当てよ。』
次の瞬間、ムラサカの手のひらに奇妙な紋章が浮かんだ。
スロットの「7」の形をした紋章だ。
「……これが、《遠隔確変》……!」
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翌日、王都の裏通り。
ラルフが密かに再起を図っていた。
「ふん、ムラサカめ……次こそ“爆連台”で潰してやる。」
その瞬間——ラルフの台が、勝手に回転を始めた。
バシュッ! ガシャン! 金色に光る。
「な、なんだこれは!?」
ムラサカの声が頭に響く。
> 「遠隔、発動。」
次々に爆音。
ラルフの神殿は暴走確変状態に突入。
玉が溢れ、壁が崩れ、民衆がパニックに。
「な……なぜだああ!!」
「お前が確率を冒涜したからだ。確変の神は俺だけで十分だ。」
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王国全土の台が同時に光り出す。
「おい、なんだこれ!」
「どこも当たってる!?」
「確変だぁあああ!!!」
ムラサカは王城の塔の上で、静かに目を閉じた。
「……遠隔確変、全域制御完了。」
魔力が空へと昇り、夜空に巨大な“7”が輝く。
世界は狂気の光に包まれた。
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だがそのとき、ムラサカの身体が僅かに揺れた。
掌の紋章が灼けるように光り出す。
> 『確率を操る者よ、代償を払え。』
「……チッ。
そういうオチかよ。遠隔にも、天井があんのか。」




